ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

2021-01-01から1年間の記事一覧

「古代日本の官僚」を読んで思い出したこと

「古代日本の官僚」を読んで思い出した小ネタを書く。 わしは若い頃、なぜか役所が嫌いで、役人に自分からなりたいと思ったことは一度もないが、大学を卒業する少し前に、国家公務員試験を受けるという人がまわりになぜか多数いたので、じゃあ受けてみるかと…

古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々

虎尾達哉 中公新書 2021.3.25読書日:2021.7.11 日本の官僚は勤勉で長時間労働も厭わない印象があるが、古代の日本ではそうではなかったと立証する本。 日本では律令国家になってからの式部省(いまの人事)の文書が多数残されていて、そこには官人(律令時…

会社に人生を振り回されない武器としての労働法

佐々木亮 株式会社KADOKAWA 2021.3.31読書日 2021.7.6 会社から理不尽な目に合わされても泣き寝入りせずに、法律を武器に戦う方法を教える本。 法律の本はあまり読まないのだが、こういうのを読んでおくのもいいかも、と思って読んでみた。 さて、わ…

南極探検とペンギン 忘れられた英雄とペンギンたちの知られざる生態

ロイド・スペンサー・デイヴィス 訳・夏目大 青土社 2021.5.10読書日:2021.7.5 ペンギンが専門の生物学者がペンギンの生態と極地探検家の生態を同列で観察し記述するという奇妙な書。 著者はニュージーランド人で、南極探検家の冒険を読んで南極にあこがれ…

ほめるのをやめよう リーダーシップの誤解

岸見一郎 日経BP 2020.7.29読書日:2021.6.23 リーダーシップというのは先頭に立って人を引っ張ることではなく、部下を教育して自立させることだと述べる本。 アドラー心理学というのは、人の感情はその人がなにか目的があって起こすものだという解釈だから…

アダプティブ・マーケット 適応的市場仮説 危機の時代の金融常識

アンドリュー・W・ロー 訳・望月衛、千葉敏生 東洋経済新報社 2020.6.11読書日:2021.6.21 これまでの経済学は物理学を模倣して「効率的市場仮説」で理論を組み立てていたが、実際の経済活動は生態学との親和性が高く、ダーウィンの適者生存の法則を模倣した…

教養としての地政学入門

出口浩明 日経BP 2021.3.1読書日:2021.6.13 立命館アジア太平洋大学学長の出口さんが、豊富な教養をもとに、地政学の基本的な考え方を、実際のマハンやマッキンダーの著作に基づいて解説した本。 きっとこの本に地政学を期待して読み始めたら、なんのこと…

ジャックポット

筒井康隆 新潮社 2021.2.15読書日:2021.6.13 筒井康隆の死の影があふれる最新短編集。 表現の仕方は筒井康隆特有のアドリブ的なものだけど、ほとんどがそれぞれのテーマごとに昔を振り返る感じのもので、びっくりするくらい死の影が濃い。 ご自身がもう死を…

ポール・ローマーと経済成長の謎

デヴィッド・ウォルシュ 訳・小坂恵理 日経BP 2020.1.27読書日:2021.6.10 経済成長というダイナミックな現象を経済学が理論的に取り入れる過程を通じて、経済学がどういう発想の人達で発展し、その学説の戦いがどんなふうに進行していくのかを垣間見せて…

あやうく一生懸命生きるところだった

ハ・ワン 訳・岡崎暢子 ダイヤモンド社 2020.1.15読書日:2021.5.30 人生に正解などないと主張し、親や世間の期待という荷物をおろして、他人と比べることをやめ、一度立ち止まってゆるく生きることを勧める本。 うーん、と読みながら考え込んでしまった。内…

ビリオネア・インド 大富豪が支配する社会の光と影

ジェイムズ・クラブツリー 訳・笠井亮平 白水社 2020.9.10読書日:2020.5.29 いまのインドの発展段階はアメリカの金ぴか時代(19世紀後半)の段階にあり、経済発展により大富豪が誕生する一方、政治との癒着により腐敗が蔓延しており、インドが次の発展段…

江戸のことば絵事典 『訓蒙図彙』の世界

石上阿希 KADOKAWA 2021/3/2読書日:2021.5.23 江戸時代に出版された日本初の絵入り事典『訓蒙図彙(きんもうずい)』は子供向けだったが、大人も含めてベストセラーになり、絵入り事典というフォーマットを作り出し、類似の事典も多数出版されて、明治まで…

世界史は化学でできている 絶対に面白い化学入門

左巻健男 ダイヤモンド社 2021/2/17読書日:2021.5.19 世界史に化学が果たしたエピソードを述べた本。 これはある意味、とても賢い視点だ。なにしろ人間が火を使ったときから、人間の暮らしや歴史と化学はまったく途切れることなくつながっているから、ある…

家は生態系 あなたは20万種の生き物と暮らしている

ロブ・ダン 訳・今西康子 白揚社 2021.2.28読書日:2021.5.18 生態学者がひとの家の生物を調べたら、とんでもない量の新種が発見され、人間が生物に囲まれて生活していることを実感する本。 身の回りにどんな生物がいるかという問題は、生態学者の興味をまっ…

小説家になって億を稼ごう

松岡圭祐 新潮社 2021.3.17読書日:2021.5.16 ベストセラー作家が読むに値するストーリーの作り方をおしげもなく伝授し、しかも成功したあとの心得まですべて教える本。 わしとしては、小説をほとんど読まないので、このお方がどなたなのかまったく知らなか…

断食療法の科学 体質改善の実際

甲田光雄(医学博士) 春秋社 1976.5.30第3版 2001.3.10新装第1版読書日:2021.5.12 医学的に正しい断食を実行することで、さまざまな体質を改善することができると主張する本。 なにしろ古い本で、こんなに古い本がまだ再版されて人々に読まれているという…

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

河野啓 集英社 2020.11.30読書日:2021.5.9 登山をエンターテイメントビジネスにした栗城史多を身近で見てきた著者による評伝。 何年か前に飛行機の中で「エベレスト3D」という映画を見たことがある。1996年のエベレスト登山における大量遭難事件を扱っ…

オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

オードリー・タン プレジデント社 2020.11.29読書日:2021.5.9 まだ30代という若さで台湾のデジタル担当政務委員に就任し、台湾のコロナ・パンデミックを抑え込んだ立役者であるオードリー・タンが、プレジデント社のインタビューに応え、民主主義とAIの…

ケーキの切れない非行少年たち

宮口幸治 新潮新書 2019.7.12読書日:2021.5.9 IQは普通なのに、認知力の低い子供たちが15%程度存在し、その子達は学校の授業どころか社会生活も困難で、そのため犯罪を犯しがちであるが、一日五分程度のわずかな訓練で多くの子どもたちを救えると主張…

ハチはなぜ大量死したのか

ローワン・ジェイコブセン 文藝春秋 2009年1月27日読書日:2009年09月11日 「WHAT IS LIFE? 生命とは何か」のレビューで述べた、蜂群崩壊症候群については、この本で知ったのでした。短いレビューが残っていたので、掲載する。 ********* なんだかいま欧米…

WHAT IS LIFE? 生命とは何か

ポール・ナース 訳・竹内薫 ダイヤモンド社 2021.3.10読書日:2021.5.7 細胞分裂の周期を制御するcdc2遺伝子を発見し、ノーベル賞を受賞した学者による初めての著書で、生物について分かっていることを優しい言葉で一般人に解説した本。 内容的には、た…

超訳 ケインズ「一般理論」

ジョン・メイナード・ケインズ 超訳・山形浩生 東洋経済新報社 2021.3.5読書日:2021.5.5 山形浩生がケインズの「一般理論」を大幅に圧縮、ポイントをまとめて読みやすくした本。 わしはだいたい新刊書ばかりを読む方で、あまり古典を読まないのだが、やはり…

日本人の勝算 人口減少✕高齢化✕資本主義

デービッド・アトキンソン 東洋経済新報社 2019.1.24読書日:2021.5.2 日本に在住30年の元金融マンで現在会社社長のアトキンソンが、日本が今後それなりの存在感のある国家を維持するには、経済の生産性をあげて経済成長するしかなく、そのためには最低賃…

超訳 易経 陰 −坤為地(こんいち)ほかー

竹村亞希子 新泉社 2020.10.2読書日:2021.5.1 易経は社会や個人や組織などが変化していくものごとの循環を表しており、いまが易経の循環のどこに当たたるかを考えることでそのときの対処法がわかると主張し、易経を現在の社会に照らし合わせて解説した本。 …

三体問題 天才たちを悩ませた400年の未解決問題

浅田秀樹 講談社ブルーバックスB−2167 2021.3.20読書日:2021.4.30 天体が3つ以上関係する三体問題は原理的には解けないが、特殊な状況では解くことができ、しかも最近ではスーパーコンピュータにより数値計算が可能となり、特異な解も見つかっている…

ヤンキーと地元 ー解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち

打越正行 筑摩書房 2019/3/25読書日:2021.4.18 最近、社会学にはまっていて、この本は「ハマータウンの野郎ども」つながりで読んだ。 沖縄は、「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」で述べたように、けっこう特殊な社会だ。だから社会学のフィールドリ…

幻のアフリカ納豆を追え!そして現れた<サピエンス納豆>

高野秀行 新潮社 2020.08.27読書日:2021.4.24 納豆は日本やアジアだけではなく、世界中で食されており、ホモ・サピエンスとともにあったことを報告する本。 高野秀行の行動力はとどまることを知らない(笑)。前著、「謎のアジア納豆」では、納豆が日本独特…

ウィトゲンシュタイン 新装版(Century Books 人と思想76)

岡田雅勝 清水書院 2018.12.17(なお書かれたのは1985年)読書日:2021.4.20 「新しい哲学入門」でウィトゲンシュタインに興味を持ったので、横浜市立電子図書館で探したところ、この本を発見したので借りてみた次第。ほんと、電子図書館って便利。 ウィトゲ…

日本経済入門

野口悠紀雄 講談社現代新書 2017.4.1読書日:2021.4.13 日本経済の問題点は、高齢化と情報産業への産業構造転換に成功していないことであり、デフレは問題ではなく、日銀の金融緩和は的はずれな政策だと主張する本。 わしはなにしろ敬愛する野口先生のゆるー…

議論の技法 トゥールミンモデルの原点

スティーヴン・トゥールミン 訳・戸田山和久、福澤一吉 東京図書 2011.5.25読書日:2021.4.11 論理学を現実の議論に拡張して適用するには、蓋然性を導入して、推論が展開できるようにしなければいけないと主張している本。 と、上のようにいちおう一言でまと…

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