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江戸のことば絵事典 『訓蒙図彙』の世界

石上阿希 KADOKAWA 2021/3/2
読書日:2021.5.23

江戸時代に出版された日本初の絵入り事典『訓蒙図彙(きんもうずい)』は子供向けだったが、大人も含めてベストセラーになり、絵入り事典というフォーマットを作り出し、類似の事典も多数出版されて、明治までのロングセラーになったことを紹介する本。

訓蒙図彙の作者は京都の儒学者、中村てき斎で、自分の子供ために作ろうと思ったのがきっかけだそうだ。集めた項目数1400だそうで、その全部に絵がついている。江戸時代になって、出版技術が進歩しないと出てこない類の本で、江戸文化の成熟ぶりを示すものと言える。とくに京都では、狭い範囲に儒学者と出版する本屋が集まっていたことが良かったようだ。

著者の石上さんは、訓蒙図彙のデジタルデータベースを構築した人だそうで、この本は半分は訓蒙図彙のなかから抜き出して内容を紹介するものになっており、残り半分は、作者中村てき斎のこと、本が生まれた経緯、図の元ネタ、出版した本屋の細かい検証、その後続いた他の事典への影響、この本から影響を受けた有名人(南方熊楠など)などの話からなっている。

しかし、まあ、わしは江戸文化にはそんなに興味がないので、へーっ、という程度で終わってしまいました。

しかし読んでいたら、子供の頃を思い出した。

わしの家は子供の頃は畑の中にぽつんと建っているようなところで、周りに同年齢の子供が少なすぎた。歯医者に行くにも散髪もスーパーも学校もうちからは遠かった。

そんな環境だから、友達と遊ぶことも少なくて、それでどうなったかというと、土日はすることがなくて暇だった。

家には子供向けの百科事典があった。「あ」から始まる五十音順で10巻ぐらいだったと思う。たぶん子供への教育効果を狙って、親が買ったのだろう。

なにしろすることがなかったので、わしはよくその百科事典を読んでいた。項目別ではなくて、五十音順だったので、いろんなトピックスがランダムに出てくるから、楽しめたのだ。たぶん、少なくとも10回以上は繰り返したんじゃないかな。

こんなことすっかり忘れていたが、この本を読んで思い出した。いまでもいろんな分野の本を興味本位に読んでいるのは、こういう体験があったからかもしれない。文学にあまり興味がわかないのもそのせいかな(笑)。

★★★☆☆

 

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