甲田光雄(医学博士) 春秋社 1976.5.30第3版 2001.3.10新装第1版
読書日:2021.5.12
医学的に正しい断食を実行することで、さまざまな体質を改善することができると主張する本。
なにしろ古い本で、こんなに古い本がまだ再版されて人々に読まれているというのは、実に不思議な気がする。図書館で予約がいつも付いている状況なのだ。きっと断食に関して、科学的な本が少ないということだろう。
しかし、書いてある中身は、インスリンという言葉は出てこないが、少し前に読んだ「トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ」に出てくることと結構重なる部分がある。
例えば、人間は原始時代は不安定な食生活だったのだから、断食というのが当たり前の状況だった、だから断食しても問題ないし、逆にそのおかげで体の持つ生命力が活性化されて、体調が良くなる、などという主張はそっくりだ。
もしかしたら、この言い草は、断食派の人々の間で、昔から使い古されているテーゼなのかもしれない。
甲田医師は自分の体調がずっと悪かったのだが西洋医学では直すことができず、断食を中心とする西式健康法という民間療法で直すことができたという。それを自分で極めたのが本書の内容で、断食することでいろいろな病気が治せると主張している。
現代では飽食により、次から次へと食料を取るので、消化吸収されなかった食料が宿便として溜まっているという。そこで断食を行うと、胃腸が活性化されて胃腸に溜まっていた宿便が出てくるのだという。こうなると、非常に少ない食料で十分な栄養を取れる状態になるので、野菜食や玄米食の少しの食料で元気に暮らすことが可能になるのだという。
面白いのは、痩せていて太りたいという人にも断食を勧めていることだ。やはり、胃腸が弱っているので、それを活性化するために断食するのだ。するともちろん最初は体重が減るが、やがて宿便が出ると、こんどは少量の食料を取るだけで、逆に体重が増えていくという現象が生じるのだという。
同じように、冷え性を直したい人には冷やすのがいいといい、塩を取らないと不調になる人には塩断ちを勧めて、少ない塩で生きていいけるように身体を改善するのがいいという。まあ、ともかく普通言われていることの反対のことをすればいいという考えのようだ。
陰性体質、陽性体質などという聞いたことのない、たぶん東洋医学の言葉らしい言葉も出てくるし、酸性体質、アルカリ体質という懐かしいような言葉も出てきて、そんなに科学的とは言えないんだろうけど、断食を進める人のロジックは西洋でも日本でもなんかよく似ているなあ、というのは確認できたのではないか。
まあ、それなりに面白かった。爽やかな空腹感、という表現が記憶に残った。空腹ってさわやかなんだ。
さて、わしのダイエットの話だ。
最近、体重は順調に減少して、半年前に80キロ後半だったのが、71キロ台まで落ちてきた。断食関係の本に書いてあるとおり、食べている量を減らしても、別段なんともない。それにお腹もそんなに空かなくなってきた。空腹という感覚から解放されたのは朗報か? もちろん、糖尿病にはいい効果が出てるんだろうけど、でもなんかこんな食生活、つまんない気がするなあ。
まあ、いいか。
★★★★☆