ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

経済学

日本経済の死角 収奪的システムを解き明かす

野龍太郎 ちくま新書 2025.2.10読書日:2025.12.1 日本は21世紀中に生産性が30%も上がっているにも関わらず賃金が上がっていないのは、日本の企業が収奪的な経済になっているからであり、収奪的な経済を包摂的な経済に変化させなければ、たとえイノベーショ…

なめらかな社会とその敵 PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論

鈴木健 筑摩書房 2022.10.10(オリジナルは勁草書房、2013年)読書日:2025.10.19 複雑な世界を複雑なままに生きられる社会は可能なのか。300年後に可能となるかもしれない社会をラディカルに検討してみせた本。 資本主義の基本原理である私的所有や新しい投…

課税と脱税の経済史 古今の(悪)知恵で学ぶ経済学

マイケル・キーン、ジョエル・スレムロッド 訳・中嶋由華 みすず書房 2025.1.16読書日:2025.8.30 税金について、テーマごとに過去の事例を取り上げて、あるべき課税の仕方や未来の課税について述べた本。 そもそも国家が税金を取る意味とは何なのか、などと…

アメリカ経済政策入門 建国から現在まで

スティーヴン・S・コーエン J・ブラッドフォード・デロング 訳・上原裕美子 みすず書房 2017.3.1読書日:2025.7.2 アメリカは建国以来、政府が実利的な方針で経済を再設計し、産業を保護して、それに乗った市民が大きくそれを広げることで成長してきたが、…

物価を考える デフレの謎、インフレの謎

渡辺努 日本経済新聞出版 2024.11.22読書日:2025.4.12 1990年代にデフレはなぜ起こり、2022年にインフレはなぜ起こったのか、異次元金融緩和はなぜ失敗したのか、について考察した本。 渡辺さんによれば、日本で起きたこれだけ強固なデフレは他の国とは違い…

ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界

梶谷懐 高口康太 文藝春秋 2025.1.20読書日:2025.2.19 中国経済には、新エネルギー車(NEV)の発展という肯定的な側面と不動産バブルの崩壊という負の側面が混在しており、現状を把握するのが難しいが、両者は同じもののコインの裏表の現象であり、今後も同…

資本主義が人類最高の発明である グローバル化と自由市場が私たちを救う理由

ヨハン・ノルベリ ニューズピックス 2024.9.30読書日:2025.2.5 脱グローバル化、製造業の国内回帰が叫ばれる今という時代に、もう一度グローバル化、自由市場がこれまで人類にもたらした多大な恩恵を見つめ直し、資本主義が過去の問題を解決してきたのと同…

入門 シュンペーター 資本主義の未来を予見した天才

中野剛志 PHP研究所 2024.11.29読書日:2025.1.12 創造的破壊という概念を作ったシュンペーターだが、日本政府はこの言葉を曲解し真逆の方法をとったため日本を長期停滞させたとし、さらに、シュンペーターの透徹した目は、資本主義が成功しすぎるため資本主…

遺言 絶望の日本を生き抜くために

森永卓郎 岸博幸 宝島社 2024.9.27読書日:2024.12.27 余命数ヶ月で怖いものがなくなった森永卓郎が、やはり余命10年で小泉内閣で竹中平蔵の補佐官をしていた岸博幸に当時のことを訊くとともに、持論を展開する本。 いくら余命数ヶ月でも、最近の森永卓郎は…

弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

唐鎌大輔 日経BP 2024.7.8読書日:2024.10.23 日本は経常黒字であるが、経常黒字のほとんどは海外における第一次所得であり、その大部分は現地に再投資されて日本に戻ってこないので日本円に替えられることはなく、その結果お金はキャッシュフローベースで日…

ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」

坂本貴志 講談社 2024.10.15読書日:2024.10.16 「ほんとうの定年後」の姿をデータで示した著者が、人口動態を用いて、これから日本経済に起こることを示した本。 バブル崩壊後の日本経済(の停滞)についていろいろな話を読んできたが、この本の人口動態、…

不動産バブル 静かな崩壊

幸田昌則 日経BP 2024.3.19読書日:2024.8.7 日銀の異次元緩和により不動産への投資がすでにバブルの様相を呈していたが、在庫水準が増える傾向にあり、いまバブルが静かに崩壊していると主張する本。 この本には膨大な図表が載っている。これらは国土交通…

シン・日本の経営 悲観バイアスを排す

ウリケ・シェーデ 訳・渡部典子 日経BP、日経新聞社 2024.3.8読書日:2024.5.13 失われた30年と言われているが、日本経済は遅くとも着実に体質転換を図っており、悲観することはないと主張する本。 わしは日本経済について悲観したことはないのではある…

賃金の日本史 仕事と暮らしの一五〇〇年

高島正憲 吉川弘文館 2023.9.1読書日:2023.10.30 賃金とは生活そのものであるから、賃金を通して過去の生活の水準や質を考えるとともに、その分析方法に種々の方法があることを伝える本。 そもそも古代の賃金をどうやって測定するのか、とか、その水準や質…

新冷戦の勝者になるのは日本

中島精也 講談社 2023.6.19読書日:2023.10.27 グローバリゼーションの間、日本に不利だった状況が新冷戦の世の中になってすべて逆転し、日本は勝者になると主張する本。 ほんの数年前まで、わしは日本の景気が良くなるという本は好んで読んでいたものである…

資本主義に出口はあるか

新谷大輔 講談社現代新書 2019.9.1読書日:2023.10.11 近代の歴史を、ロック的なもの(自由)とルソー的なもの(平等)で読み解けば理解ができ、どちらにもとらわれない資本主義の次の時代も見えてくると主張する本。 本の中でも述べられているが、この2つ…

ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く

ナオミ・クライン 訳・幾島幸子・村上由見子 岩波書店 2011.9.8読書日:2023.9.17 ミルトン・フリードマンの唱える新自由主義は自由のみに価値を置く過激な経済思想だが、過激すぎるゆえに民主主義の世界では受け入れ不可能で、最初は独裁国家のみで実現され…

怠惰への讃歌

バートランド・ラッセル 訳・堀秀彦、柿村峻 平凡社 2009.8.10読書日:2023.4.7 人類の生産性はすでに十分高いから、一日の労働時間は4時間で十分で、余った時間を有効に使えば豊かで幸福な人生を送れると主張する本。 まあ、実質1日2時間ほどしか働いて…

最近読んだ本で未来の社会を想像する

最近読んだエマニュエル・トッド「我々はどこから来て、今どこにいるのか」と柄谷行人「力と交換様式」などを読み比べて、未来の社会がどうなるのか考えてみたい。 「我々はどこから来て、今どこにいるのか」から次のようなことを学んだ。 家族の形式が社会…

力と交換様式

柄谷行人 岩波書店 2022.10.5読書日:2023.3.8 人類の歴史はその交換様式で区別でき、そのスタイルは4つしかなく、いまは商品や権力に関連した交換様式が強いが、将来は個人に関係した交換様式の世界になると主張する本。 最初はそれがどうしたという感じで…

人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小

チャールズ・グッドハート マノジ・プラダン 訳・澁谷浩 日本経済新聞社 2022.5.19読書日:2023.1.31 今後は世界の労働年齢人口が減少するというこれまでと逆転する局面になり、労働力不足から供給が減ってインフレが起こる一方、労働力が貴重になり労働者の…

どうすれば日本人の賃金は上がるのか

野口悠紀雄 日経BP 2022.9.8読書日:2022.11.17 日銀や政府のやっている通貨緩和政策は日本の安売りであり、賃金を上げるには一人あたりの創出する付加価値を上げる以外はないと主張する本。 野口悠紀雄はこれまでも日銀と政府の通貨緩和政策を非難してき…

次なる100年 歴史の危機から学ぶこと

水野和夫 東洋経済新潮社 2022.2.10読書日:2022.9.16 資本主義は蒐集のシステムであるが、金利がゼロ以下になったことでこの蒐集のシステムは崩壊しており、これ以上の生産、供給が必要なくなったことを示しているから、これから100年ほどをかけて次のシ…

日本の労働生産性向上率はG7で最高? グレート・ナラティブに書いてあった興味深いこと

グレート・ナラティブのなかに興味深いことが書いてあった。 人口減少と成長率0の絶望的なケースのはずの日本で、生産性が伸びているというのだ(p43)。それによると、2007年以降のG7の中で、生産人口一人あたりのGDPはどの国よりも伸び率が大…

グレート・ナラティブ 「グレート・リセット」後の物語

クラウス・シュワブ ティエリ・マルレ 訳・北川蒼 日経ナショナルジオグラフィック 2022.7.4読書日:2022.8.13 ダボス会議で有名な世界経済フォーラムの創設者のクラウス・シュワブが、アフターコロナ後の世界で世界を動かすであろうナラティブを語った本。 …

中国経済の謎 なぜバブルは弾けないのか?

トーマス・オーリック 訳・藤原朝子 ダイヤモンド社 2022.3.29読書日:2022.7.5 何度も崩壊すると言われながら中国経済が崩壊しなかったのは、中国共産党が過去の世界経済を反面教師とした柔軟で独創的とも言える対応をしたことだったとし、一方、今後もその…

BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル全真相

ジョン・キャリールー 訳・関美和、櫻井祐子 集英社 2021.2.28読書日:2022.6.16 スティーブ・ジョブズを崇めるセラノス創業者、エリザベス・ホームズが、現実歪曲フィールドに関してだけはジョブズを越えたことを報告する本。 エリザベス・ホームズとその会…

長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋

森永卓郎 角川新書 2022.1.10読書日:2022.06.10 年金財政の破綻で将来は1ヶ月13万円の年金しかもらえないと主張し、その中で生活していくためにはトカイナカ生活(都会+田舎、都会の近くの田舎)がもっとも良いと主張する本。 森永卓郎さんは経済学者と…

ユダヤ人の独自性 「善と悪の経済学」を読んで感銘を受けたこと

トーマス・セドラチェクの「善と悪の経済学」を読んで感銘を受けたことに、ユダヤ人の独自性がある。 わしはもともとユダヤ人は独自性があると思っていたが、そこは宗教の一神教における神との関係に限定されると思っていた。つまり、次のようである。 ある…

善と悪の経済学 ギルガメッシュ叙事詩、アニマルスピリット、ウォール街占拠

トーマス・セドラチェク 訳・村井章子 東洋経済新報社 2015.6.11読書日:2022.5.13 経済学は倫理学から出発したのに、そのルーツを忘れて数学のみを語る学問になってしまっているが、倫理という魂をもう一度取り入れ、人の限りない欲望を抑えるような学問に…

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