経済学
唐鎌大輔 日経BP 2024.7.8読書日:2024.10.23 日本は経常黒字であるが、経常黒字のほとんどは海外における第一次所得であり、その大部分は現地に再投資されて日本に戻ってこないので日本円に替えられることはなく、その結果お金はキャッシュフローベースで日…
坂本貴志 講談社 2024.10.15読書日:2024.10.16 「ほんとうの定年後」の姿をデータで示した著者が、人口動態を用いて、これから日本経済に起こることを示した本。 バブル崩壊後の日本経済(の停滞)についていろいろな話を読んできたが、この本の人口動態、…
幸田昌則 日経BP 2024.3.19読書日:2024.8.7 日銀の異次元緩和により不動産への投資がすでにバブルの様相を呈していたが、在庫水準が増える傾向にあり、いまバブルが静かに崩壊していると主張する本。 この本には膨大な図表が載っている。これらは国土交通…
ウリケ・シェーデ 訳・渡部典子 日経BP、日経新聞社 2024.3.8読書日:2024.5.13 失われた30年と言われているが、日本経済は遅くとも着実に体質転換を図っており、悲観することはないと主張する本。 わしは日本経済について悲観したことはないのではある…
高島正憲 吉川弘文館 2023.9.1読書日:2023.10.30 賃金とは生活そのものであるから、賃金を通して過去の生活の水準や質を考えるとともに、その分析方法に種々の方法があることを伝える本。 そもそも古代の賃金をどうやって測定するのか、とか、その水準や質…
中島精也 講談社 2023.6.19読書日:2023.10.27 グローバリゼーションの間、日本に不利だった状況が新冷戦の世の中になってすべて逆転し、日本は勝者になると主張する本。 ほんの数年前まで、わしは日本の景気が良くなるという本は好んで読んでいたものである…
新谷大輔 講談社現代新書 2019.9.1読書日:2023.10.11 近代の歴史を、ロック的なもの(自由)とルソー的なもの(平等)で読み解けば理解ができ、どちらにもとらわれない資本主義の次の時代も見えてくると主張する本。 本の中でも述べられているが、この2つ…
ナオミ・クライン 訳・幾島幸子・村上由見子 岩波書店 2011.9.8読書日:2023.9.17 ミルトン・フリードマンの唱える新自由主義は自由のみに価値を置く過激な経済思想だが、過激すぎるゆえに民主主義の世界では受け入れ不可能で、最初は独裁国家のみで実現され…
バートランド・ラッセル 訳・堀秀彦、柿村峻 平凡社 2009.8.10読書日:2023.4.7 人類の生産性はすでに十分高いから、一日の労働時間は4時間で十分で、余った時間を有効に使えば豊かで幸福な人生を送れると主張する本。 まあ、実質1日2時間ほどしか働いて…
最近読んだエマニュエル・トッド「我々はどこから来て、今どこにいるのか」と柄谷行人「力と交換様式」などを読み比べて、未来の社会がどうなるのか考えてみたい。 「我々はどこから来て、今どこにいるのか」から次のようなことを学んだ。 家族の形式が社会…
柄谷行人 岩波書店 2022.10.5読書日:2023.3.8 人類の歴史はその交換様式で区別でき、そのスタイルは4つしかなく、いまは商品や権力に関連した交換様式が強いが、将来は個人に関係した交換様式の世界になると主張する本。 最初はそれがどうしたという感じで…
チャールズ・グッドハート マノジ・プラダン 訳・澁谷浩 日本経済新聞社 2022.5.19読書日:2023.1.31 今後は世界の労働年齢人口が減少するというこれまでと逆転する局面になり、労働力不足から供給が減ってインフレが起こる一方、労働力が貴重になり労働者の…
野口悠紀雄 日経BP 2022.9.8読書日:2022.11.17 日銀や政府のやっている通貨緩和政策は日本の安売りであり、賃金を上げるには一人あたりの創出する付加価値を上げる以外はないと主張する本。 野口悠紀雄はこれまでも日銀と政府の通貨緩和政策を非難してき…
水野和夫 東洋経済新潮社 2022.2.10読書日:2022.9.16 資本主義は蒐集のシステムであるが、金利がゼロ以下になったことでこの蒐集のシステムは崩壊しており、これ以上の生産、供給が必要なくなったことを示しているから、これから100年ほどをかけて次のシ…
グレート・ナラティブのなかに興味深いことが書いてあった。 人口減少と成長率0の絶望的なケースのはずの日本で、生産性が伸びているというのだ(p43)。それによると、2007年以降のG7の中で、生産人口一人あたりのGDPはどの国よりも伸び率が大…
クラウス・シュワブ ティエリ・マルレ 訳・北川蒼 日経ナショナルジオグラフィック 2022.7.4読書日:2022.8.13 ダボス会議で有名な世界経済フォーラムの創設者のクラウス・シュワブが、アフターコロナ後の世界で世界を動かすであろうナラティブを語った本。 …
トーマス・オーリック 訳・藤原朝子 ダイヤモンド社 2022.3.29読書日:2022.7.5 何度も崩壊すると言われながら中国経済が崩壊しなかったのは、中国共産党が過去の世界経済を反面教師とした柔軟で独創的とも言える対応をしたことだったとし、一方、今後もその…
ジョン・キャリールー 訳・関美和、櫻井祐子 集英社 2021.2.28読書日:2022.6.16 スティーブ・ジョブズを崇めるセラノス創業者、エリザベス・ホームズが、現実歪曲フィールドに関してだけはジョブズを越えたことを報告する本。 エリザベス・ホームズとその会…
森永卓郎 角川新書 2022.1.10読書日:2022.06.10 年金財政の破綻で将来は1ヶ月13万円の年金しかもらえないと主張し、その中で生活していくためにはトカイナカ生活(都会+田舎、都会の近くの田舎)がもっとも良いと主張する本。 森永卓郎さんは経済学者と…
トーマス・セドラチェクの「善と悪の経済学」を読んで感銘を受けたことに、ユダヤ人の独自性がある。 わしはもともとユダヤ人は独自性があると思っていたが、そこは宗教の一神教における神との関係に限定されると思っていた。つまり、次のようである。 ある…
トーマス・セドラチェク 訳・村井章子 東洋経済新報社 2015.6.11読書日:2022.5.13 経済学は倫理学から出発したのに、そのルーツを忘れて数学のみを語る学問になってしまっているが、倫理という魂をもう一度取り入れ、人の限りない欲望を抑えるような学問に…
渡辺努 講談社 2021.1.11読書日:2022.4.22 物価は経済学の基礎概念にもかかわらず、その計測方法から、何が物価を動かすか、物価に対して何ができるのか、など今も未知な部分が多く、現在の経済学が到達している地点について解説してくれる本。 著者はかつ…
「世界を貧困に導くウォール街を超える悪魔」を読んでわかったのは、結局のところ、例外の場所や制度を利用して、税金を納めることなしに利益を搾り取って行く金融産業の姿だった。 これを読んでわしが思い出したのが、フリーポート(保税倉庫)と呼ばれる、…
ニコラス・ジャクソン 訳・平田光美、平田完一郎 ダイヤモンド社 2021.11.2読書日:2022.3.20 金融業が国の経済の中心になると、国民になんの利益ももたらさず、かえってその国の経済を衰退させ、国民を貧困に陥れると主張する本。 この本で書かれているのは…
ノリーナ・ハーツ 訳・藤原朝子 ダイヤモンド社 2021.7.13読書日:2022.3.1 人類史上例のない規模で「孤独」が広がっており、人々の健康に影響を与えるだけでなく、なにより民主主義の根幹を揺るがしており、コミュニティを生み出すインフラへの投資を行わな…
安部司 東洋経済新報社 2005.11.10読書日:2022.2.23 添加物を販売する商社に勤めていた著者が、作った製品を自分の子供が食べているのを見て衝撃を受け、会社を辞めて、日本の食品業界で起きている真実を報告する本。 この本は2005年の発売なのに、まだ…
ヤニス・バルファキス 訳・江口泰子 講談社 2021.9.13読書日:2022.2.20 2008年のリーマン・ショックのあと、資本主義が倒れたあとのあり得たもう一つの世界を描く小説。 左派の人たちのおめでたさには呆れることが多いけど、どのへんで呆れるかというと…
ロシアのウクライナへの侵攻は、予想以上に西側諸国の結束が高く、ついにロシアの銀行をSWIFTから締め出すことに成功しました。しかし、これがどのくらいの効果があるのでしょうか。そして何より気になる、中国に台湾への侵攻を思い止まらせる効果があるので…
勝間和代 宝島社 2021.7.27読書日:2022.2.6 勝間和代が健康でゆとりある老後をロジカルに考えて実践している内容をまとめたもの。 このところの長寿関係の読書をしており、その延長で本書を選んでみた。長寿関連はとりあえずこれで終了かな。 ここ数年、勝…
「ナラティブ経済学」を読んでいるうちに、いま日本で一番強い経済的なナラティブといえば、デフレのナラティブではないかという気がしてきました。 1990年代、バブルが崩壊したときに、多くの企業が苦境に立たされました。リストラが普通になり、就職氷…