大人の週末起業 本物の「稼ぐ力」が身につく

藤井 孝一/[著] -- クロスメディア・パブリッシング 2019.6
読書日:2019年7月8日

かつて週末起業という言葉が話題になったことがあって、わしも感化されたものでした。著者はITツールを駆使して、ビジネスを生み出しており、すごいなあと思ったものです。しかし、なんだか敷居が高そうで、なにをしたらいいか分からず、いつの間にか忘れてしまいました。

その続編となる今回の「大人の週末起業」は、50歳代を対象にしていて、人生100年時代に定年後に仕事を確保することを目標にしています。

そのために、リスクを極力排除、無理をしない、というふうに、50代ならではの起業を目指すというふうになっています。

とはいえ、業務終了後、週末の時間を使って、起業するのはそれなりに大変だなあ、と思いました。リスクは少ないかもしれないけど、お金が稼げるようになるためには3~5年ぐらいは覚悟しなくてはいけないようで、その期間の情熱を保てるだけの「好き」を事業にしないと持たないでしょう。

というか、起業しようとしなくてもどちらにしろやってしまう、ぐらいのものが望ましいのかもしれません。でも、わしが日々情熱を燃やしているものって、投資は別にすれば、なんかお金にならないものばかりなんですよね。

なんだかもんもんとしてしまいます。

★★★☆☆


大人の週末起業

カメラ?カメラ!カメラ?!―計算をはじめた未来のカメラたち (丸善ライブラリー)

2016/4/1 児玉 和也 (著), 財部 恵子 (著), 国立情報学研究所 (監修)、丸善出版
読書日:2019年7月7日

ちょっと前、ライトフィールドカメラとか、不思議なカメラが出てきた。興味を持っていたので、今頃だが、参考になるかと思って読んでみた。

昔からフーリエ変換が苦手で、(フーリエ変換自体は理解できるんだけど、フーリエ変換後に計算するという行為が、何を意味しているのかいまいち納得できないの)、この本でもその辺は同じだった。もしかしたら、自分で実際にいろいろ計算してみれば分かるのかもしれないけど、これまでフーリエ変換に縁がなかったんで、なんか面倒くさいので、たぶんやらない。

しかし、ピンホールカメラにさかのぼって考えることで、新しいカメラのコンセプトができたとか、基本的な考え方は理解できたように思う。

最後にカメラの未来が見えるのかと思ったら、なぜか多視点の表示装置の話になっていて、まあ、こういうのを一度で撮影できるカメラが必要という意味なんですかね。よく分かりませんが。

さらさら読めるように書いてあって、ときどき図面をにらんで考えるようなことが適度に配分されてて、読む分にはいいんだけど、書く方はきっと大変だろうな、と思いました。特に編集の人は。

★★★☆☆


カメラ?カメラ!カメラ?!―計算をはじめた未来のカメラたち (丸善ライブラリー)

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

レンタルなんもしない人 晶文社 2019年4月17日
読書日:2019年7月6日

自分自身を貸し出すが、何もしない、という人の体験談。現在いまも絶賛貸出中らしい。料金は無料だが、交通費となにか食べた場合の実費はもらうというスタイル。非常に人気で、日に数件の依頼があるらしい。

何もしないので、ただ存在していればいいという使い方に限定される。なので、借りる側の想像力が必要とされる。最初は行列並びとかゲームの員数合わせなどの使われ方を想定していたが、だんだん多様化していくのが面白い。

例えば、駅で待ち合わせをするというだけのレンタルがある。学校へ行きたくないが、レンタルなんもしない人と待ち合わせていれば、なんとか行こうとするというわけだ。

家で仕事をしていると、遊んでしまうので誰かそばにいてほしいとか、創造的な使われ方が開発されていく。

入ってみたい店があるが一人では入りづらいので一緒に入ってくれ、というのは非常に定番の使い方で、これはめずらしいメニューの店の場合は、いろんな食べ物が食べられて、ちょっとうらやましい。

このように使い方はユーザーが勝手に考えてくれるので、なんにもしていなのに、どんどん仕事の内容が開発されていくという、不思議な発展をしている。

面倒くさそうな依頼やヤバそうな依頼は断るので、これまで危険な目には会ったことがないという。

結婚していて、1歳の子供がいるという。嫁は面白がっているそうだけど、親は嘆いているらしい。

基本的にツイッターに書かれたことをまとめるという体裁を取っている。それなりに内容にバラエティーがあるので、読めないことはないけど、続けて読むにはちょっと辛い。やっぱり、ときどきツイッターでつぶやかれたことを読んで、笑うぐらいがちょうどいいのではないかと思う。

わしは全部読んだが、この本は全部読む必要はないと思います。ぱらぱら面白そうなところを読んで終わればいい。

現代ではこんなビジネスも成り立つというところなんだけど、江戸時代もキセルのかっこいい吸い方を教えるだけの人とか不思議な商売が成り立っていたそうだから、単に江戸時代の日本に先祖返りをしているだけという見方もできるのではないかな。

★★★☆☆

 


レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

このままだと、日本に未来はないよね。 ひろゆき流時代を先読みする思考法

ひろゆき/著 -- 洋泉社 -- 2019.3
読書日:2019年6月31日

読書する楽しみのひとつに、自分がこれまで思ってもみなかった発想に出会えるというのがある。ひろゆきも、映画を観るのはそのためだそうだ。そういう意味では、この本にかかれてあることはそうとう微妙。なんか普通なんで。

とくに前半がひどい。第2章までは読む価値があるのか微妙。iphoneは売れないと予測したが、最初のiphoneが出た時点ではその予測はあってた、などとどうでもいい言い訳を聞かされても困る。

後半になるほど面白い。思いつきレベルだけど、すくなくとも笑いは取れるアイディアが披露されている。3章の国際情勢の予測に関しては、それなりに参考になった。

しかしまあ、全体として読んでも読まなくてもいいレベル。さくっと1時間ほどで読めばいいのでは。

★★☆☆☆


このままだと、日本に未来はないよね。

日本国紀

百田 尚樹 幻冬舎 2018年11月12日
読書日:2019年6月22日

コピペとかが話題になっているが、この本はどう見ても歴史書ではないし、たんに百田の見方を語っているだけだから、あまりその辺を強調しても仕方がないのではないか、という気がする。

たぶん百田氏の言いたいのは明治以降の現代史にあるのであって、それ以外のところはそれを説明するための前提条件程度なのではないかと思う。実際に江戸時代には3分の1程度で達して、明治以降は約半分ある。

で、現代史の中でも特に言いたかったのは、まるで無かったことのようになっている戦前の歴史をもう一度取り戻し、日本人の誇りを取り戻してもらいたいというところなのだろう。

それで、GHQの教育で日本人に罪の意識を植え付けたというところが、強調されている。(「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(WGIP:War Guilt Information Program))

しかしながら、わしがもっともうなずいたのは、日本人の言霊信仰が影響しているという説明だ。こっちの方が納得する

日本人には具合の悪いことはあえて口にしないという傾向がある。それはなぜかというに、日本人には言霊信仰があり、口にしたことが現実化するという発想があるというのだ。

これは百田氏が初めて言ったことではないだろうが、この本でとても納得することができた。

だから戦争中も悪いニュースについては語らないようにしたし、戦後も、戦前のことはあまり語らないようにしてきたように思う。まずは意識に上ること自体が良くないとする傾向だ。

都合の悪いことは意識に上らせないようにする、というのは特に日本人だけの特性ではなく、人間一般の特性の一つであるとは思うが、日本人の場合は言霊信仰と結びついていっそう強力だ、というのは、説明としてよくできていると思う。

最近では、年金だけでは2000万円足りないという金融庁が報告を出すと、じゃあどうするかという議論になるのかと思ったら、逆に炎上する結果になってしまい、報告書自体がなかったことになってしまった。これなんかも言葉にすること(=意識に上ること)事態を穢(けが)れとする、日本人的な発想だと思った。

この説明は応用範囲が広いので、とても便利だ。このような発想ができるのも、百田氏が物語を語る作家だからなのかもしれない。

この本は歴史書ではないかもしれないが、物語作家がみた日本史という意味ではよい本ではないかと思う。

★★★★☆


日本国紀

使える脳の鍛え方 成功する学習の科学

ピーター・ブラウン, ヘンリー・ローディガー, マーク・マクダニエル エヌティティ出版 2016年4月14日
読書日:2019年6月21日

どうすれば効率的な学習ができるかということについて述べた本。

具体的には、
(1)想起練習を組み込む。繰り返し読むよりも、軽いテストをする。
(2)間隔を開けて再度確認する。
(3)同じ練習を繰り返さず、少し異なった角度の練習を組み合わせる。
(4)単純に覚えるのではなく、概念を理解するようにすれば、応用が利く。
などなど。
あと、記憶の効果を高める「記憶の宮殿」の方法を教えている。(BBCドラマのシャーロックにも出ていたが、記憶の宮殿ってほとんど普通名詞だったんだね)。

しかし、これって普通のことなんじゃないの? 子供の頃からこういうふうに勉強すればいいと教えられていた気がする。

科学的な文献に基づいて書かれてるんだけど、その元の文献は1970年代のもの。40年以上前の研究だ。これじゃあ、すでに知っていて当たり前。

だめじゃん。

投資に興味がある人は、この本の中に、ブルース・ヘンドリーという男が子供の頃からお金の稼ぎ方を学んで、一人前の投資家になるまでの話があって(第6章「学び方」を越える、p139)、そこのところは少しは参考になるので、そこだけ読めばいいんじゃない?

★★★☆☆

 


使える脳の鍛え方

書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで

フェルナンド・バエス 紀伊國屋書店
読書日:2019年6月16日


書物や図書館が破壊された歴史を振り返る本。分厚い本だけど、意外に面白くて、長さを気にせずに読めた。本に興味のある人には楽しめると思う。

昔、この本でも紹介されているブラッドベリの「華氏451度」を読んだことがある。本というものが否定された架空の世界で、そこでは人々は割り当てられた本を丸暗記して、未来に伝えようとする。いつか再出版できる日のために。

こんなことはSFの話かと思っていたら、世界史ではごくありふれた話だということがわかってびっくりした。秦の始皇帝焚書坑儒で有名だが、その本を燃やす焚書は徹底していたらしく、本当に全ての本を燃やしてしまった。始皇帝が死んだあと、学者たちが記憶をもとに再現したしたとのこと。(完璧に暗記していたのだ)。

生物の種が途絶えてしまうように、一冊も残さずに消滅してしまった多くの本に愕然とする。けれど、それも最初のうちだけで、あまりにも多いので、そのうちに不感症になってしまった。

だいたいパターンは一致していて、ある国が平和な時代を過ごすと、文化も発展し、図書館も充実する。ところが国が不安定になり、戦争などで負けると、図書館も壊滅状態になり、文書が燃やされ、略奪をうける。

戦争も単に勝つだけではなく、ある民族を消し去ろうという動機がある場合、意図的に図書館や行政文書の保管庫などを攻撃し、全ての民族の記憶を消し去ろうとする。日本も例外ではなく、日中戦争では多くの公立図書館を意図的に破壊したという。

現代では、本はたくさん生産されるので、一冊も残らないという本は少ないけど、行政の記録文書みたいなバックアップがなくオリジナルしかないような文書は、失われるともう取り返しがつかない。

こうしたことが、現代でも起きていることに本当にびっくりする。例えば、米国とイラクの戦争でも、多くの図書館、博物館が壊滅してしまった。21世紀になっても、何も変わっていないことに本当に驚く。

こうした事態を避けるためには、電子的に記録を取って、世界中に分散して保管するしかないのではないかと思う。だからグーグルが図書館の全ての本のデジタル化を進めるのは、とても有意義なことではないかと思う。

だが、デジタル化には弱点がある。そのシステムに何かあると、全てが一挙に失われる可能性があるのだ。この本ではテロとか核攻撃とかがあげられていたけど、わしは太陽フレアを思い浮かべた。ある日、超強力な太陽フレアが襲ってきて、地球上の全てのコンピュータやネットワークが破壊され、メモリに蓄えられた記録も消えてしまうことにならないだろうか?

最後にこの本に何度も出てきた言葉を記す。

 「本を燃やす人間は、やがて人間も燃やすようになる」  ハインリッヒ・ハイネ

★★★★☆


書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで

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