ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

小説

ようこそ実力至上主義の教室へ

衣笠彰梧 KADOKAWA 2015.5.13読書日:2024.4.24 (ネタバレはほとんどありませんが、いちおう注意) 平等とはなにか、本当の実力とはなにか、という疑問の答を得るために東京都高度育成高等学校に進学した綾小路清隆は、友達作りに苦労しながら、孤高の美少…

汝、星のごとく

凪良ゆう 講談社 2022.8.2読書日:2024.4.4 (ネタバレあり。注意) 伝統的な家族観を破壊する作風の凪良ゆうが、地方と都会と恋人たちというベタなテーマの物語に、なかなかあり得ない家族構成を絡めることに挑戦した本。 凪良ゆうはたぶん普通の家族という…

私労働小説 ザ・シット・ジョブ

ブレイディみかこ 角川書店 2023.10.26読書日:2024.3.18 (ネタバレあり。注意) イギリスの労働者階級についていろいろ教えてくれるブレイディみかこが、自分の経験したシット・ジョブに基づいて書いた短編小説集。 全般的にとても面白かったです。こうい…

同志少女よ、敵を撃て

逢坂冬馬 早川書房 2021.11.25読書日:2024.2.21 (ネタバレあり。注意) 第2次世界大戦、モスクワ近くのイワノフスカヤ村にドイツ軍が現れ、村人が虐殺される。一人、生き残った少女セラフィマは、もと女性狙撃兵イリーナに導かれ、狙撃兵として訓練を積み…

「若者の読書離れ」というウソ 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか

飯田一史 平凡社 2023.6.15読書日:2024.1.22 2000年代に入ってから中学生の読書は増えており、読書離れとは言えない状況であり、さらに読書の内容も以前と異なりラノベ中心ではなくなっていることを報告した本。 読書が急回復している背景は、「朝の読…

私とは何か 「個人」から「分人」へ

平野啓一郎 講談社 2012.9.20読書日:2023.12.8 作家の平野啓一郎が、人間とは「個人」という分けられないひとつの人格ではなく、相手によって別の人格がたち現れる「分人」の集合体であり、こう考えることで多くの人間関係が理解でき、悩みも解決すると主張…

ドゥルガーの島

篠田節子 新潮社 2023.8.20読書日:2023.11.14 (ネタバレあり。注意) 建設会社に勤めているもうすぐ50歳になる男が、インドネシアで未知の文化遺産に出会い、これを人生後半の生きがいにしようと奮闘する話。 篠田節子って名前だけ知っていたけど、どん…

影の王

マアザ・メンギステ 訳・粟飯原綾子 早川書房 2023.2.25読書日:2023.10.14 (ネタバレあり。注意) 1935〜41年、イタリアがエチオピアに侵攻したとき、祖国防衛に立ち上がった女性兵士たちの物語。 内容はフィクションだが、女性兵士がいたことは事実…

台湾漫遊鉄道のふたり

楊双子 訳・三浦優子 中央公論新社 2023.4.25読書日:2023.9.6 (ネタバレあり。注意) 太平洋戦争前に植民地だった台湾を訪れて、気兼ねのない鉄道と食事の旅を望む女流作家の青山千鶴子は通訳として似た名前の王千鶴に出会うと、王千鶴は通訳の枠を越えて…

街とその不確かな壁

村上春樹 新潮社 2023.4.10読書日:2023.8.30 17歳のときに当時の恋人から幻想の街の存在を教えられた私は、大人になってその街で訪ね図書館で<夢読み>となるが、一方、街に入るときに引き離された私の影は現実の世界に戻り、自分が影だったことも忘れて…

#真相をお話します

結城真一郎 新潮社 2022.6.30読書日:2022.6.30 真実が分かると、状況がすべて反転し、細かく配置された伏線も回収される、楽しめるミステリー短編集。 ミステリーがちっとも面白くないたちなので、ほとんど読まないが、なぜかこれは図書館で予約してしまっ…

意味の変容

森敦 ちくま文庫 1991.3.26(オリジナルは1984年)読書日:2023.5.5 数学的なパラドックスの表現と自分の人生を重ね合わせて、パラドックス(矛盾)を含んでこそ世界全体を表現することができる、と文学的に表現したらしい本。 知り合いでときどき本を貸し借…

流浪の月

(ネタバレあり注意) 凪良ゆう 東京創元社 2019.9.30読書日:2023.3.26 男女関係ではないが、一緒にいると自由になれる二人が人生を共にするようになるまでの物語。 2020年本屋大賞受賞作で、映画化もされた作品である。帯の惹句は「愛ではない、けれど…

異常【アノマリー】

エルヴィエ・ル・テリエ 訳・加藤かおり 早川書房 2022.2.15読書日:2023.1.31 (ネタバレあり。注意) ニューヨークに向かうエールフランス機が危険な積乱雲に入り無事に脱出したが、三ヶ月後にまったく同じ旅客機が同じ乗客を乗せて出現し、大混乱になる様…

掃除婦のための手引書

ルシア・ベルリン 訳・岸本佐知子 講談社 2019.7.8読書日:2022.11.25 高校教師、掃除婦、電話交換手、看護婦などをしてシングルマザーとして4人の子供を育てつつ、アルコール依存症に苦しんだ、ルシア・ベルリンの自分の人生を題材とした私小説。 実際に起…

奇跡

林真理子 講談社 2022.2.14読書日:2022.10.22 芸術家・田原桂一と梨園の妻であった博子の、出会ってしまった二人が激しい愛を貫いた実話。 うーん。どのへんが奇跡なのか読んでもよく分からなかった。 みなさんも人妻が夫以外の男を好きになって、夫と離婚…

千代田区一番一号のラビリンス

森達也 現代書館 2022.3読書日:2022.10.19 (ネタバレあり。注意) ドキュメンタリー映像作家が天皇をテーマにドキュメンタリーを企画するものの、当然天皇とは接触できずうまくいかないが、ある超自然的な現象で天皇、皇后と繋がりができて、一緒に皇居の…

正義の教室 善く生きるための哲学入門

飲茶 ダイヤモンド社 2019.6.19読書日:2022.7.6 小説仕立てで、正義とはなにか、善い人生とはなにかについて哲学の全体像を語ってくれる本。 うーん、これはとてもわかりやすい。どんな哲学の本を読むよりも、この本を読む方が哲学の全体像を把握できるんじ…

引力の欠落

上田岳弘 角川書店 2022.3.29読書日:2022.7.3 (ネタバレ注意) これまで3社の上場に成功し一生困らないだけのお金も貯めた上場請負人の会計士、行先馨(ゆきさきかおる)が、人間からはみ出した存在UEH(未確認生存人間、なんか霊的な存在)の集団の一…

原郷の森

横尾忠則 文藝春秋 2022.3.25読書日:2022.6.30 画家の横尾忠則が死者の集う「原郷の森」にアブダクト(拉致)され、そこで過去の画家、文学者など歴史上の彼が話したい人と自由に議論した内容を記録した本。 横尾忠則のことはあまり良く知らないが、わしは…

オーラの発表会

綿矢りさ 集英社 2021.8.30読書日:2022.4.14 (ネタバレあり。注意) 社会性に問題があって周りと合わせることができず友達も恋人もいない海松子(みるこ)が、奇跡的になんのトラウマもなく大学生になると、独自の考えと確信を持つ彼女が少しずつ輝きを増…

作家で億は稼げません

吉田親司 エムディエヌコーポレーション インプレス 2021.12.1読書日:2022.3.8 架空戦記ものの作家である吉田親司が、天才でなく平凡な小説家がサバイバルする方法を具体的に伝授する本。 最近、この手の創作の手法とか作家で生きていく方法とかの本がやた…

息吹

テッド・チャン 訳・大森望 早川書房 2019.12.15読書日:2022.3.7 (ネタバレあり。注意) 寡作で知られる人気SF作家、テッド・チャンの短編集。 テッド・チャンの日本での人気はすごいらしく、この本も増刷を重ねているようです。というわけで、読んでみ…

クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの社会

ヤニス・バルファキス 訳・江口泰子 講談社 2021.9.13読書日:2022.2.20 2008年のリーマン・ショックのあと、資本主義が倒れたあとのあり得たもう一つの世界を描く小説。 左派の人たちのおめでたさには呆れることが多いけど、どのへんで呆れるかというと…

マーダーボット・ダイアリー ネットワークエフェクト

マーサ・ウェルズ 訳・中原尚哉 東京創元社 2021.10.15読書日:2022.1.15 「幣機」の一人称で語る、マーダーボットシリーズの初長編。 いや、去年読んだマーダーボット・ダイアリーがあまりに面白かったので、続編を楽しみにしていました。でもこの長編はそ…

BUTTER(バター)

柚木麻子 新潮文庫 2020.2.1読書日:2021.11.30 (ネタバレ注意) 梶井真奈子(カジマナ)は男をたぶらかして次々に殺した容疑で収監中だが、痩せていなくてむしろ太っており、美しくもないのに、男が夢中になることが世間の女性たちを苛立たせ、注目を集め…

ジャックポット

筒井康隆 新潮社 2021.2.15読書日:2021.6.13 筒井康隆の死の影があふれる最新短編集。 表現の仕方は筒井康隆特有のアドリブ的なものだけど、ほとんどがそれぞれのテーマごとに昔を振り返る感じのもので、びっくりするくらい死の影が濃い。 ご自身がもう死を…

小説家になって億を稼ごう

松岡圭祐 新潮社 2021.3.17読書日:2021.5.16 ベストセラー作家が読むに値するストーリーの作り方をおしげもなく伝授し、しかも成功したあとの心得まですべて教える本。 わしとしては、小説をほとんど読まないので、このお方がどなたなのかまったく知らなか…

光車よ、まわれ!

天沢 退二郎 ブッキング 2004.8.1読書日:2010.10.06 1970年代の名作の復刊、らしいが、わしは知りませんでした。作者は宮沢賢治に心酔している詩人だそうで、イメージ力とそれを記す文章力がまずすばらしい。感心した。面白いので、1日で読み終わって…

フリーダム

ジョナサン フランゼン, Franzen Jonathan 早川書房 2012年12月19日読書日:2013年07月14日 まあ、一言でいえば、家族の崩壊と再生の物語、ということになるんだろうけど、なんだかそんな一言では終わらせたくないというくらい豊穣な内容。その崩壊の原因と…

にほんブログ村 投資ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ