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個人投資家目線の読書録

コンビニ人間

村田沙耶香 文藝春秋 2016.7.30
読書日:2026.1.7

(ネタバレあり……でも、有名すぎて誰でも概略は知ってるよね?)

他人との共感に乏しいキャラの古倉恵子は大学時代にコンビニのバイトを始めて、自分にぴったりな職場だと感じて、ハマってしまう。18年間バイトを続けて、裕福ではないがパーフェクトな毎日を送っていたが、周りの人は30代後半の女性の普通を押し付けてくるのだった……。

コンビニ人間」ですが、日本だけでなく世界中に翻訳されてベストセラーなわけで、常に読まなければいけないリストに入っていましたが、ようやく読みました(笑)。わしの場合、小説は後回しになってしまうんだよね。

コンビニという小宇宙の中に完璧にはまり込んで、その中で役割を果たして、世界とつながっていることを実感している古倉さんに、多くの人は共感することでしょう。コンビニだろうがなんだろうが、人は自分にぴったりとはまって、役割を果たしているという実感を得たいのです。

まあ、普通の人間にとっては、仕事だけでなく、結婚して家族を設けて育てるというようなことも含めて、パラレルでいろんな役割を担っているわけではありますが、彼女の場合はコンビニに特化しているというわけですね。コンビニで働いていない時間ですら、コンビニで働くための準備時間にすぎず、次の日のために早く寝るというようなことをしているし、常にコンビニの周りの状況をチェックしているし(新しいビルが建ったとか)、お天気も確認しているし、食事はコンビニの売れ残りでほぼできているようです。

彼女にはアスペルガーチックなところがあって、共感力が乏しくて、他の人がどんなふうに感じるかを想像することができないし、友達とか恋人とかの必要性を感じていないわけです。しかし、自分が周りと違うらしいことは自覚していて、真似できる部分は真似しようとしています(話し方とか、服装や持ち物とかを真似している)。身体を動かすような仕事はできますが、彼女には人を監督することは不可能なので、長年バイトをしているのにバイトのチーフにもなれません。もちろん、彼女はそれを気にしていませんが。

しかし彼女は、人間の心の声は聞こえませんが、コンビニの声が聞こえ、コンビニが何をしてほしいのかが完璧に分かるのです。

そんな彼女に、周りの人間はなんとか恋人を見つけて結婚するという幸せを掴んでほしいと考えて、介入します。うんざりした彼女は、結婚しさえすればこの攻撃は止むのだろうと考えて、どうにもダメ男である白羽さんと結婚することにして、コンビニを寿退社することまで演じます。が、やっぱりコンビニなしでは生きられないと実感して、新しいコンビニのバイトを探さなきゃと決意したところで終わり。

でもこの後半の物語よりも、みんな古倉さんのパーフェクト・デイズに憧れているんだと思うのだけど、違う? 日本人って(もしかしたら世界中のひとも)職人のように何かひとつのことに没頭する人生に憧れのようなものを感じるんじゃないかしら。

国際的ベストセラーにふさわしい傑作。

★★★★★

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