ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

2020-01-01から1年間の記事一覧

「第二の不可能」を追え! 理論物理学者、あり得ない物質を求めてカムチャッカへ

ポール・J・スタインハート 訳・斉藤隆央 みすず書房 2020.9.1ポール・J・スタインハート 訳・斉藤隆央 みすず書房 2020.9.1 読書日:2020.12.26 あり得ないと言われていた準結晶を理論的に予想していた理論物理学者が天然の準結晶を求めてロシアのカムチャ…

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

細谷 功 東洋経済新報社 2007.12.7読書日:2009年01月15日 この本が出た頃、ある書評にこの本に載っている「日本に電柱が何本あるか」というフェルミ推定の問題が書いてあったので、さっそくやってみたことがある。本に書いてあるのと違ったアプローチを取っ…

負債論 貨幣と暴力の5000年

デヴィッド・グレーバー 監訳・酒井隆史 訳・高祖岩三郎、佐々木夏子 以文社 2016.11.15読書日:2020.12.17 貨幣の起源は負債にあり、負債の起源は人間のモラルにあると主張する本。 貨幣の起源について述べるのは普通なら経済学者である。しかし、クレーバ…

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの

ジャレド・ダイアモンド 訳・楡井 浩一 草思社 2005.12.21 読書日:2009年06月04日 「文明崩壊」という題名がついているのだが、ちょっと違うんじゃないかと思う。この題名では、ローマ文明はほろびヨーロッパは中世に入った、などという話と勘違いしてしま…

菌世界紀行 誰も知らないきのこを追って

星野保 岩波現代文庫 2020.9.15(オリジナル単行本は2015.12)読書日:2020.12.12 雪腐病菌(ゆきぐされびょうきん)というきのこの研究者が、きのこを追って北極や南極の極地をめぐる体験を述べた本。 申し訳ないがほとんどの人と同様に、きのこを含む菌類…

凡人として生きるということ

押井守 幻冬舎 2008年7月読書日:2008年09月23日 押井守はアニメ界でこそ有名な監督だが、説教をたれる文化人ではなかったはずだ。だが、自他共に認める「オヤジ」となったいま、その資格を得たようだ。 ここで述べられていることは、押井がこれまで一生をか…

財政赤字の神話 MMTと国民のための経済の誕生

ステファニー・ケルトン 訳・土方奈美 早川書房 2020.10.15読書日:2020.12.7 MMT(現代貨幣理論)は財政赤字の神話を突き崩し、国民の幸福のために国家財政を使うことを可能にすると主張する本。 ケルトンは、経済学を学んでいた修士のときにMMTに出…

モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには

本田直之、四角大輔 株式会社ライツ社 2017.4.17読書日:2020.12.1 世界中を旅しながら仕事をし、好きなところに住み、自由に生きることを勧める本。 本田直之はハワイで生活し、四角大輔はニュージーランドで生活しているという。東京をビジネスの拠点にし…

反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー

ジェームズ・C・スコット 立木勝・訳 みすず書房 2019.12.19読書日:2020/11/30 農業が誕生すると人類がそれ待ちかねたように定住し、国家を作り、文明化にまい進したという物語は幻想にすぎず、実際には定住が起こっても国家はなかなか存在できず、できて…

科学は仮説の集まり 「若い読者に贈る美しい生物学講義」を読んで思い出したこと

「若い読者に贈る美しい生物学講義」の最初に述べられるのは、そもそも科学とはなにか、ということである。そこで言われるのは、科学は仮説の集まりであるということである。 つまり科学とは観察(実験)から帰納的に仮説をたてて、その仮説がどれだけ普遍的…

若い読者に贈る美しい生物学講義--感動する生命のはなし

更科功 ダイヤモンド社 2019.11.27読書日:2020.11.23 生物学者の著者が少しでも一般の人に生物学に興味を持ってもらおうと書いた、生物学の本質について書いた本。 生物学の本というと、いきなり不思議な生物の話や著者の体験談なんかが話されることが多い…

地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史

ウィル・ハント 訳・棚橋志行 亜紀書房 2020.9.4読書日:2020.11.14 子供の頃にトンネルの中を冒険して地下世界に取り込まれた著者が、世界中で地下の冒険をして、人類における地下の意味を考察した本。 ウィル・ハント(意志狩り?)というかなりふざけたペ…

昭和漫画雑記帳(ショウワマンガノオト)

うしおそうじ 同文書院 1995.7.15読書日:2020.11.16 映画、漫画、特撮、アニメの世界で活躍したうしおそうじが、昭和の時代を絵と活字で振り返った本。 出久根達郎が新聞に書いていたコラムで絶賛していて、うしおそうじにそれなりに興味があったので、図書…

世界一高い木

リチャード・プレストン 日経BP社 2008年7月24日 読書日:2008年09月09日 リチャード・プレストンのホット・ゾーンを読んだとき、出だしの描写でたちまちその世界に引き込まれた。まるで見てきたかのような描写で、その本のテーマが単純明快、ストレートに提…

喧嘩両成敗の誕生

清水克行 講談社 2006.2.11読書日:2016.04.11 世界でもめずらしい喧嘩両成敗という制度について述べた本。 これはけっこう面白かったです。喧嘩両成敗という考え方が世界的にも珍しいらしいのですが、それが中世の人間が激しい性格で激昂しやすく攻撃的なひ…

ポストキャピタリズム 資本主義以後の世界

ポール・メイソン 訳・佐々とも 東洋経済新報社 2017.10.5読書日:2020.11.15 イギリスの左派ジャーナリストが、資本主義はもうすぐ終わると主張する本。 ポール・メイソンのことは、「資本主義の終わりか、人類の終焉か? 未来への大分岐」で知って、その発…

リスクに背を向ける日本人

山岸 俊男, メアリー C・ブリントン 講談社 2010年10月16日読書日:2018年08月18日 最初に「冒険やリスクを求める」に自分が当てはまらない、と考えている人の割合が国別に出ています(2005-2008年調査)。日本人はダントツの1位で実に70%以上の人が、自…

発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47

借金玉 ダイヤモンド社 2020.7.29読書日:2020.11.4 発達障害の著者が何とか生きていきためのライフハックを紹介する本。 これはとても参考になった。 わしは発達障害ではない(と思うが)、発達障害の人が困る点と普通の人間が困る点というのは、そのレベル…

ヘタレイヤン 億り人に

コロナ禍のなか、世界中で金融緩和が行われ、行き場を失った金で株価が上昇しています。そしてアメリカ大統領選に決着が付き、不透明感が払拭されたことを歓迎して、日本株はさらに上昇、29年ぶりの高値を付けました。 そういうわけで、わしの株資産も上昇…

コロナ大戦争でついに自滅する習近平

福島香織 徳間書店 2020.5.31読書日:2020.10.25 中国関連のスタージャーナリストである福島香織がコロナ・パンデミックはコロナ大戦争といっていい状況であり、習近平はグラスノスチを行わざるを得ず、これにより中国共産党は自滅する、と主張する本。 なに…

魂は社会脳仮説で説明できる? 人類はなぜ<神>を生み出したのか、で考えたこと

人類はなぜ<神>を生み出したのか、の著者アスランは、人類は古くから人には肉体と魂があると信じてきた、という。魂があると考えるのは、民族などによらない人類の普遍的な発想なのだという。そしてなぜ魂というものを人間が信じるのか、アスラン自身は分…

人類はなぜ<神>を生み出したのか?

レザー・アスラン 訳・白須英子 文藝春秋 2020.2.10読書日:2020.10.27 イスラム教からキリスト教に改宗し、さらにイスラム教に回帰した宗教学者が自伝的な要素も交えて、神とは人間そのものだ、と主張する本。 著者によれば神とは人間そのものなのである。…

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

ジャレド・ダイアモンド, Jared Diamond, ジェイムズ・A・ロビンソン, James A. Robinson 慶應義塾大学出版会 2018年6月6日読書日:2018年07月15日 これってジャレド・ダイヤモンドが監修していなかったら、絶対に翻訳されなかっただろうな。まったく一般人…

告発 フェイスブックを揺るがした巨大スキャンダル

ブリタニー・カイザー 染田茂+道本美穂+小谷力+小金輝彦(訳) ハーパーコリンズ・ジャパン 2019.12.20読書日:2020.10.23 トランプの選挙キャンペーンでフェイスブックのデータを違法使用したケンブリッジ・アナリティカ(CA)の社員の回想記。 著者の…

クビでも年収1億円 人生を好転させる11のリスト

小玉歩 角川学芸出版 2012.9.25読書日:2020.10.12 サラリーマンはまったく理不尽な世界であり、自分で稼いだ方がはるかにもうかり、時間も自由になると主張する本。 この本は8年前のものだが、いま読んでも面白い。 どうもネットビジネスで儲けたら、その…

年収100万円で生きる -格差都市・東京の肉声-

吉川ばんび 週刊SPA取材班 芙蓉社新書 2020.5.1読書日:2020.10.11 いろんな理由で貧困レベルに落ちてしまった人のルポルタージュ。 例えば夫が突然のリストラをきっかけに家庭内暴力化して離婚した妻とか、ブラック企業でうつ病発症して失業とか、とても…

資本主義の終わりか、人類の終焉か? 未来への大分岐

齋藤幸平、マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソン 集英社新書 2019.8.14読書日:2020.10.12 気鋭の経済思想家、齋藤幸平が3人のビジョナリーたちと資本主義、民主主義の未来について語り合った本。 これは面白かった。3人と話している…

食えなんだら食うな

関大徹 ごま書房 2019.6.3読書日:2020.10.7 曹洞宗の禅僧で、光源寺や吉峰寺の住職をした関大徹が75歳の時に著した自伝的著作の復刻版。初刊は昭和50年らしい。 関大徹なんてしらないから、最初、題名みたとき、摂食障害に関する本かと思ってしまいまし…

サルは大西洋を渡った 奇跡的な航海が生んだ進化史

アラン・デケイロス みすず書房 2017年11月11日読書日:2018年09月03日 『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』で、ナスDが活躍した「部族アース」なんかを観てると、アマゾンのジャングルにサルがいっぱいいるので驚く。南米はサルの王国なのだ。 普通…

スノーデン独白 消せない記録

エドワード・スノーデン 川出書房 2019.11.20読書日:2020.10.5 米国の諜報機関NSAがインターネットの全データを傍受していることを内部告発し、ロシアに亡命したスノーデンの自伝。 でも、あの事件を赤裸々に語ってくれているかというとそういうわけでは…

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