SF
海老原豊 小鳥遊書房 2024.7.9読書日:2024.9.6 繁栄している人類はその裏でディストピアを欲望しているという著者が、ディストピアSFから現代のユートピアを読み解こうとする本。 かなり前だが、会社でディストピア作品を専門にしている人に会ったことが…
オルダス・ハクスリー 訳・黒原敏行 2013.6.20 光文社 2013.6.20読書日:2024.6.12 (ネタバレあり、というか内容はだいたい知ってるよね?) 2540年の未来、戦争はなく平和な時代で、人類は安定的な階級社会を作っている。子供は工場で生産され、睡眠学…
安野隆弘 早川書房 2022.1.20読書日:2024.6.7 (ネタバレあり。注意) 2029年、自動運転プログラムを開発する会社の社長の坂本は首都高を走る自動運転車内に拘束される。彼を拘束した男は、坂本の自動運転プログラムがマイノリティの命を軽視していると…
間宮改衣(まみや・かい) 早川書房 2024.3.10読書日:2024.5.1 (ネタバレあり。注意) 機械の体になる融合手術を受けて歳を取らない身体になったわたしが、亡くなっていった家族の話を語り、本当の自由を得るまでの物語。第11回ハヤカワSFコンテスト特…
長谷敏司 早川書房 2022.10.25読書日:2024.4.25 (ネタバレあり。注意) バイク事故で右足を失ったコンテンポラリー・ダンサーの後藤恒明は、AI搭載の義足で再起を決意するが、義足はダンサーの思うように動いてくれない。はたして、AIは非言語的なダン…
デイヴィッド・ウェリントン 訳・中原尚哉 早川書房 2024.1.15読書日:2024.3.29 (ネタバレあり。注意) 防衛警察(防警)の警部補サシャ・ペトロヴァは、元防警トップだった母親エカテリーナの七光から抜け出そうだと功を焦り、捜査に失敗して、僻地の植民…
ジョン・スコルジー 訳・内田昌之 早川書房 2023.8.15読書日:2024.3.17 (ネタばれあり。注意) パンデミックで職を失いフードデリバリーをしていたジェイミーが、偶然得た仕事は、パラレルワールドのもう一つの地球で怪獣を保護する仕事だったが……というお…
立原透耶[編] 新紀元社 2023.12.13読書日:2024.1.19 (ネタバレあり。注意) 中華SFのマニア向けのアンソロジー15編。 やっぱり今1番面白いSFは中国かもしれない。読んでいて感心した。21世紀に入って大きく発展した中国の、科学に対する楽観的…
キム・チョヨプ 訳・カン・バンファ ユン・ジヨン早川書房 2020.12.15 (ネタバレあり。注意) 1993年生まれのキム・チョヨプが2017年の18歳のときに出した、かなり衝撃的なSF短編集。 これはもしかしたら最近読んだSF短編集の中でいちばん面…
オラフ・ステープルドン 訳・浜口稔 国書刊行会 1990.5.20初版 2004.1.30新装版読書日:2023.10.26 (ネタバレ注意) イギリスのヒースの丘に座っていた「わたし」は、霊体となって地球を飛び出すと宇宙を飛び回り、宇宙の端から別の宇宙すら覗き込み、テレ…
アンディ・ウィアー 訳・小野田和子 早川書房 2021.12.20読書日:2023.9.22 (ネタバレあり。注意) 自分の名前すら忘れた記憶喪失状態で目覚めたぼくは、自分が宇宙船の中にいて、どうやら別の星系にいるらしいことに気がつく。どうやら人類の危機を救うた…
シーラン・ジェイジャオ 訳・中原尚哉 早川書房 2023.5.25読書日:2023.8.25 (ネタバレあり。注意) 謎の異星人、渾沌(フンドゥン)からの攻撃を受けてから2000年後、地球人の国、華夏(ホワシア)は渾沌の亡骸を材料に戦闘機械・霊蛹機(れいようき)…
アン・レッキー 訳・赤尾秀子 東京創元社 2015.11.20読書日:2023.6.21 (ネタバレ注意) 星間国家ラドチの戦艦<トーレンの正義>は艦にも属躰(アンシラリー)と呼ばれる人間の死体を利用した兵士にも同時に存在するAIであったが、好意を寄せる副官オー…
カイフー・リー(李開復)、チェン・チウファン(陳楸帆)、訳・中原尚哉 文藝春秋 2022.12.20読書日:2023.6.21 グーグルでAI研究をしていたカイフー・リーが2041年のAIが世の中に広がった世界を、実際に起こり得る10の未来を予想・解説し、それ…
冬木糸一 ダイヤモンド社 2023.2.28読書日:2023.5.25 はてなブログの「基本読書」でSF書評専門の冬木糸一が、SFは未来予測のための良質なツールであり、SF初心者のために56の書籍を分野別に紹介した本。 冬木さんの「基本読書」を読むときっと読み…
最相葉月 新潮社 2007.3.10読書日:2022.12.28 星製薬の御曹司として生まれながら、SF作家に転身して、ショートショートを1001話作った星新一の評伝。 まあ、正直に言って、前半の星製薬の話は興味深くはありましたが、そんなに面白くはなかったです。…
押井守 立東舎 2022.7.15読書日:2022.8.31 押井守が続編という縛りの中で映画について話す本。 押井守は独自の映画論を持っていて、それは自分の個人的な欲望を満たしつつ監督としてサバイバルする、という視点から得られたものなので、なかなか含蓄が深い…
サラ・ピンスカー 訳・市田泉 竹書房文庫 2022.6.7読書日:2022.8.12 音楽と不思議な言葉の結びつきから生まれる詩情あふれるフィリップ・K・ディック賞受賞のSF短編集。 サラ・ピンスカーはシンガー・ソングライターでもあり、いままで4枚のCDをリリー…
テッド・チャン 訳・大森望 早川書房 2019.12.15読書日:2022.3.7 (ネタバレあり。注意) 寡作で知られる人気SF作家、テッド・チャンの短編集。 テッド・チャンの日本での人気はすごいらしく、この本も増刷を重ねているようです。というわけで、読んでみ…
マーサ・ウェルズ 訳・中原尚哉 東京創元社 2021.10.15読書日:2022.1.15 「幣機」の一人称で語る、マーダーボットシリーズの初長編。 いや、去年読んだマーダーボット・ダイアリーがあまりに面白かったので、続編を楽しみにしていました。でもこの長編はそ…
劉慈欣 訳・大森望、ワンチャイ、光吉さくら、泊功 早川書房 2021.5.25読書日:2021.8.10 (ネタバレあり、注意) 地球は暗黒森林の原理を使って三体人の地球侵略を抑止することに成功するが(三体Ⅱ)、その面壁計画の陰で極秘の階梯計画が進行、その発案者…
筒井康隆 新潮社 2021.2.15読書日:2021.6.13 筒井康隆の死の影があふれる最新短編集。 表現の仕方は筒井康隆特有のアドリブ的なものだけど、ほとんどがそれぞれのテーマごとに昔を振り返る感じのもので、びっくりするくらい死の影が濃い。 ご自身がもう死を…
劉慈欣(リウ・ツーシン) 訳・大森望、立原透耶、上原かおり、泊功 早川書房 2020.6.25読書日:2020.9.9 (ネタバレあり。注意) 大ヒット中華SFの第2部である。第1部のレビューは下記に書きました。 www.hetareyan.com 第1部では大迫力ではあるものの…
N・H・ジェミシン 訳・小野田和子 東京創元社 2020.6.2読書日:2020.8.26 (ネタばれあり。注意) シリーズ三作がヒューゴー賞を三年連続で取ったという、鳴り物入りのSFファンタジーの1作目。(最近こういうのが多いな、三体とか)。 何しろ聞いたこと…
マーサ・ウェルズ 訳・中原尚哉 東京創元社 2019.12.13 読書日:2020.6.26 (ネタばれあり。注意) 過去に殺人事件を起こした警備ユニット(=マーダーボット)が、連続ドラマに耽溺しながら、自分の生き方を探して放浪する話を一人称の「弊機」で語るSF。…
陳楸帆(チェン・チウファン、スタンリー・チェン) 中原尚哉・訳 早川書房 2020.1.20読書日:2020.2.26 (ネタばれあり。注意) 前にも言ったが、そもそも小説はあまり読まないし、ましてやSFはほとんど読まない。だが最近、中国のSFにはまりつつあるよ…
劉慈欣、訳:大森望、光吉さくら、ワン・チャイ、監修:立原透耶、早川書房、2019.7.15読書日:2019.12.9 (ネタばれあり。注意) SFは年に1,2冊しか読まないと言ったばかりなのに、なめらかな世界とその敵、に続いて、今月2冊目のSFである。でも、…
伴名練 早川書房 2019.8.20読書日:2019.11.30 小説を読むことがそもそも少ない上に、SFはたぶん年に1、2冊しか読まない。この本に関しては、新聞の書評で「現代SFの到達点のひとつ」みたいなことが書かれてあって、読んでみた次第。 わしはミステリー…
塵理論はグレッグ・イーガンの順列都市に出てくる、<コピー>たちが永遠の命を得るための要となる理論です。なのに、なんだかいまいちよく分かりません。それで、頭の中に???が飛び交う状態で読み続けることになり、読んでいる間は隔靴掻痒な感じです。…
1999 早川書房 グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真読書日:2019年1月21日 *****ネタバレあり。注意***** 2045年にはシンギュラリティ(技術的特異点)が起こり、AIが人間を越える知性を持つとか、人間の意識を機械にアップロードし、肉体を…