ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

怪獣保護協会

ジョン・スコルジー 訳・内田昌之 早川書房 2023.8.15
読書日:2024.3.17

(ネタばれあり。注意)

パンデミックで職を失いフードデリバリーをしていたジェイミーが、偶然得た仕事は、パラレルワールドのもう一つの地球で怪獣を保護する仕事だったが……というおばかSF。

スコルジーって「老人と宇宙(そら)」という本で有名なんだそうだ。知りませんでした(笑)。もともと小説には疎いが、たまに読むSFについてすら、ほとんど知らないんだね、わし。

まあ、それは置いといて、この人SFマニアらしくて(そうでしょうね)、スタートレック愛にあふれた作品とかも書いているんだとか。それで日本の怪獣映画についても詳しくて、この本は楽しく書けたそうだ。基地名とかに日本のゴジラ映画関係者の名前がたくさん使われている。

怪獣について誰もが思うであろう疑問についても考察がされていて、なんであんな大きな生物が動き回れるんだ、という疑問には、怪獣は進化の結果、生物原子炉を持っていて、食料を食べなくてもエネルギー使い放題なんだそうだ。まあ、この辺はゴジラからの類推したんだろうから分からないでもない。笑ったのは、怪獣が死ぬと体内原子炉が暴走して爆発するというところかな。わしは子供のころ、なぜ生物である怪獣はやられると爆発するんだろうと思っていたが、これで納得だ(笑)。

別の重要な設定は、もう一つの地球とわしらのいる地球の境界が薄くなるのは核分裂エネルギーの結果というところかな。そんなバカなと思うけど、この辺さえ飲み込めれば、あとは人間のドタバタを楽しめればそれでいい。

で、怪獣映画で展開される人間のドラマって、あんまり面白くないという印象がわしにはある。まあ、この作品でもその辺はどうかな、という感じだった。一般的な展開としては、怪獣を利用して一儲けしたい金持ちが悪人となって、という展開が多いような気がするけど、この作品でもその辺を踏襲しているようだった。

アマゾンの書評とかを読むと、ジョーク満載の軽いタッチを楽しんでいる人が多いようだけど、正直に言って、その辺はあまり面白くなかったな(笑)。でもまあ、これまでの設定をうまく生かしたラストの盛り上がりは、なかなかよかった。

主人公のジェイミーは最初は女の子かと思っていたんだけど、読んでいるうちにどっちかわからなくなって、男にスイッチして読み進めたけど、訳者の解説では、どちらにも設定されていないんだそうだ。これは最近はやりのスタイルだね。

★★★☆☆

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