森永卓郎 角川新書 2022.1.10
読書日:2022.06.10
年金財政の破綻で将来は1ヶ月13万円の年金しかもらえないと主張し、その中で生活していくためにはトカイナカ生活(都会+田舎、都会の近くの田舎)がもっとも良いと主張する本。
森永卓郎さんは経済学者としてはたぶん本物ではないと思うが、将来に対する危機意識は大変なもので、生活感あふれる説明は説得力がある。
その森永さんは、2050年には年金は月に13万円にまで減るという予測をしている。その計算方法は、しごく簡単なもので、人口統計から2050年には1.32人で一人を支えるので、現在の2.05人から42%給付が減少するというものだ。というわけで、そうなる可能性はもちろん高い。
で、13万円で生活するには、まず都会では不可能で、かと言って全くの田舎でも老後になってから移住するには厳しい。というわけで、都会の近くのそれなりに自然が残っている田舎で、持ち家を持って生活するのがもっともよい、という結論になる。しかも、食料は半分ぐらいは自分で育てて自産自消を勧める。このようにすると、13万円でも生活できるという。
全くそのとおりだなあ、と思う。森永さんは都会では固定資産税すらも1ヶ月1万円以上かかり、しかもマンションぐらしだと、マンションの管理費だけで3万円ぐらいとられ、それを避けるには、普通の大学生のような狭い部屋で、外食もできずに一日中スマホをいじるだけの生活しかできないという。
わしもこの前、固定資産税を払ったばかりで、この税にはうんざりである。老後にずっとこの国への高い賃料を払わなくてはいけないと思うとうんざりする。
森永さんは住民税も槍玉に挙げる。13万円だからといって、住民税を払うほど働いてはいけないという。コロナでも住民税を払えない住民ほど恩恵が大きかった。住民税を払うほど働いても何も得るものはないのだ。
驚くのは、森永さんの危機管理意識の高さで、トカイナカに暮らしても立地を間違えてはいけないという。住民税はもちろんだが、強調しているのは災害への備えなのだ。間違っても軟弱な地盤などの家を買ってはいけないし、できれば水道の断水があっても生きていけるように、井戸を作れるほうがいい。
わしが親近感が湧くのは、森永さんも糖尿病経験者であるというところだ。高血糖で苦しんでいた頃、ちょうどライザップのダイエットを体験できることになり、糖質制限の食事と筋トレの結果、糖尿病を克服したのだという。しかも最近の農業のおかげで、筋肉量は過去最大だそうだ。わしも会社の健診で糖尿病と言われ、あわてて体重管理をして、やはり糖質制限ダイエット+筋トレで克服したので、とても親近感が湧く。
わしは本当に年金が月13万円になったら、日本の物価はいま以上に下がるんじゃないかと思うので(地価も含めて)、それほど都会での生活に悲観的ではないが、でも、森永さんのような生活もいいかもしれないね。
★★★★☆