ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

食品の裏側

安部司 東洋経済新報社 2005.11.10
読書日:2022.2.23

添加物を販売する商社に勤めていた著者が、作った製品を自分の子供が食べているのを見て衝撃を受け、会社を辞めて、日本の食品業界で起きている真実を報告する本。

この本は2005年の発売なのに、まだ売れ続けているベストセラーだ。こんな古い本なのに、いまだに図書館では予約がはいり、何ヶ月も待たなくてはならなかった。これはすごいことだ。

著者は化学系の学部を出たあと、添加物を販売する商社に入社する。30年前のことだ。そして添加物の威力に驚く。著者は、添加物は生産者も消費者も喜ぶ魔法の粉と信じ、日本一の添加物屋になると頑張り、食品製造に関わる困りごとを抜群の添加物の知識で解決していくようになる。麺の日持ちがしないと聞くとPH調整剤を勧め、餃子の皮が機械にくっつくと聞くと乳化剤を勧め、やがて「神様」と呼ばれるようになる。

ところが、どうしようもないクズ肉を美味しいミートボールに変える開発を行って、いつもどおりに顧客に喜ばれたあと、自分の子供がそのミートボールを好んで食べているのを見て、衝撃を受ける。そのミートボールは著者の自信作だった。だが、自分の子供が食べているのを見たとき、食べてほしくないと強く思ったのだ。

罪悪感に駆られた著者は、もうこの仕事はできないと悟り、次の日には会社をきっぱりと辞めたのだ。

それからの著者は、逆の行動をとる。食品添加物の弊害を説く側にまわり、食品添加物を使わない方法を開発するようになるのである。なにしろ神様と呼ばれるくらいの抜群の知識と、しかも食品の味をみただけでなんの添加物が使われているかをたちどころに突き止める舌を持っている著者は、講演会に引っ張りだこの存在になり、現在に至るわけだ。

食品添加物を使う弊害は、健康だけではなく、食卓を破壊してしまうことにあるという。味覚を壊してしまい、自炊の味がおいしく感じられなくなるのだ。その結果、市販のやはり添加物だらけのソースやタレなどを使って、料理を作ることになる。著者によれば、味噌汁に使う出汁の粉すらも使っちゃだめになる。

わしはショックを受けて、普段買っているものを調べてみたが、毎日飲んでいるカップスープに著者の指摘する添加物がたくさん入っているのに困ってしまった。また毎日のように食べているキムチやウインナー、さらには調味料のナンプラーにもたくさん入っているようだ。これらは近所の「業務スーパー」で安く買ってくるものが多く、どうやら業務スーパーを使うときにはそうとう注意が必要なようだ。

ほとんどの食品に添加物が入っているのはしょうがないのだろうが、添加物を避けようとすると、できるだけ素材に近いものを買ってきて自分で調理するしかなさそうだ。

わしは最近ますます粗食になってきており、まあ、それでもいいか、という気分になってきています。かつては暴飲暴食、B級グルメ三昧だったのに、ものすごい変わりようです。もうはやりのおいしいものを食べて満足することはないでしょうね。厳選された素材のものを少量だけ食べるという方向になっていくでしょう。

まあ、仕方ないですね。

★★★★★

(参考)

www.hetareyan.com

にほんブログ村 投資ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ