岡田雅勝 清水書院 2018.12.17(なお書かれたのは1985年)
読書日:2021.4.20
「新しい哲学入門」でウィトゲンシュタインに興味を持ったので、横浜市立電子図書館で探したところ、この本を発見したので借りてみた次第。ほんと、電子図書館って便利。
ウィトゲンシュタインについては、大昔に評伝を読んだことがあり、そのときには大体の人生の流れについては理解したものの、何をしたのかまったく理解していないままだった。(その評伝の題名を探そうとしたが、昔すぎてよく分からず。)
この本は人生と思想内容をコンパクトにまとめたものだが、まあ、人生については二度目だったこともあり、それほど新味はなかった。しかし、彼はゲイだったと思うのだが、それについてはほとんど述べられていない。(以前読んだ方にはけっこう突っ込んで書いてあったように記憶している)。
思想内容についても、もちろん案内程度なので、分かったのは、だいたい次のところ。
(1)ウィトゲンシュタインは、新しい思想を起こしたと言うよりも、議論できることとできないことを整理した。(「語り得ないものについては黙さなければならない」という有名なフレーズ。)なお、ウィトゲンシュタインは、自分の仕事は「再生」だといっている。昔からあったものをリメイクしたということだ。
(2)前期では、日常的な言語に頼らずに論理記号的に対応しようとした。後期では日常語でも議論できるとしたが、通常の言語で議論するときに生じる混乱について説明した。(例えば「知っている」という表現でも、慎重に使わないと混乱する。)
わかったのはこの程度で、あとは実際にウィトゲンシュタインを読むしかないのかな。余り興味がわかないけど(苦笑)。
この本を読んでいると、まるで人間の言語は、本来明晰なのに人間の経験を表しているうちに不明瞭になったかのような印象を受けたが、実際には逆でしょうね。言語活動は論理以外の不明瞭な部分を含んで発生して、そのうち論理の部分だけを取り出すことに成功した、というのが正解なんでしょうね。
そうでないと、社会脳仮説に反しちゃうからね。
★★★☆☆