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ヤンキーと地元 ー解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち

打越正行 筑摩書房 2019/3/25
読書日:2021.4.18

最近、社会学にはまっていて、この本は「ハマータウンの野郎ども」つながりで読んだ。

沖縄は、「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」で述べたように、けっこう特殊な社会だ。だから社会学のフィールドリサーチにはなかなかぴったりなところなのだが、しかし、この著者である打越さんのリサーチの仕方は、すごすぎる。

普通は外側から観察するとともに、インタビューを行うところなのだが、この打越さんの場合、文化人類学者がよく行う「参与観察(実際に現地人と生活すること)」を実行し、なんと暴走族の仲間に入ってしまうのだ。もちろんハマータウンの場合と同じように対象は労働者階級、というかヤンキーなので上下関係が厳しい。打越さんはこのとき20代の後半みたいで、彼らよりも年上だが、それでも新入りなので、まずはヤンキー集団のパシリになって、いろんなことをするはめになる。

まあ、そこまでずぶずぶの関係になれば、単なるインタビューではうかがい知れないところも得ることができるのだろうが、一方では、あんまり近すぎると、特定の人間や状況ばかりの知識が集まって、全体が見えなくなることはないだろうか、とちょっと気になる。(でもインタビューとかは苦手なんだそうだ。社会学者として致命的?)。

辺境冒険家の高野秀行も現地のひとと濃い関係を作って、そこから真実を掴みだす手法なので、まあいいのかも知れない。学問的にはどうか知らないが、読み物としては間違いなく面白くなる。

そういうわけで、沖縄のゴーパチ(58号線)にたむろってるヤンキーの仲間入りをして、一緒に肉体労働を行う場面など、けっこう笑ったりしてたんだが、後半はなんだか沈痛な面持ちになってしまった。

ちょっとこちらの想像以上に、沖縄の底辺のヤンキーたちの実態は過酷だったからだ。単なる肉体労働者の生活というレベルを越えて、まあまあの普通の家族を築くことすら相当困難なのである。

高校も出ていない状況では沖縄を出ることも難しいから、地元に残った彼らは、先輩後輩の厳しい上下関係、家庭内暴力、職場の暴力、早すぎる結婚と出産、そんな現実に絡め取られて身動きが取れなくなってしまう。そしていつのまにか、いなくなってしまう人が多すぎる。麻薬と自殺の話も多い。

ふかく関係する調査方法だけに、ここまで切実な状況が分かったというところか。

この実録は、2000年代の話で、もうすでに沖縄は次の状況に移っているようだ。だからある一瞬の断片なのだが、しかし、想像以上の世界だった。

なんとも重い気持ちで本を閉じることになった。

★★★★☆ 


ヤンキーと地元 (単行本)

 

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