ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

読書録

シンプルで合理的な人生設計

橘玲 ダイヤモンド社 2023.3.7読書日:2023.9.28 金融資本(資産)、人的資本(収入)、社会資本(評判、人間関係)の3つの資本を備えた人が幸福だと定義する橘玲が、人生設計を指南する本。 橘玲はこの手の本を20年ぐらい前から数年おきに出していて、感…

ぼくはあと何回、満月を見るだろう

坂本龍一 新潮社 2023.6.20読書日:2023.9.27 2023年3月に亡くなった坂本龍一が、2009年の「音楽は自由だ」以降について語った回想録。 音楽家と思えないような端正な文章で、インタビューだから編集者の腕もあるんだろうけど、坂本龍一の話す言葉…

誰も語らなかったジブリを語ろう 増補版

押井守 構成・渡辺麻紀 東京ニュース通信社 2021.818読書日:2023.9.24 押井守がジブリについて語った2017年版に、押井守作品のプロデューサーをやっているプロダクション・IG社長の石川と、ジブリの鈴木敏夫の懐刀と呼ばれた高橋望との鼎談、それに鈴…

プロジェクト・ヘイル・メアリー

アンディ・ウィアー 訳・小野田和子 早川書房 2021.12.20読書日:2023.9.22 (ネタバレあり。注意) 自分の名前すら忘れた記憶喪失状態で目覚めたぼくは、自分が宇宙船の中にいて、どうやら別の星系にいるらしいことに気がつく。どうやら人類の危機を救うた…

ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く

ナオミ・クライン 訳・幾島幸子・村上由見子 岩波書店 2011.9.8読書日:2023.9.17 ミルトン・フリードマンの唱える新自由主義は自由のみに価値を置く過激な経済思想だが、過激すぎるゆえに民主主義の世界では受け入れ不可能で、最初は独裁国家のみで実現され…

植物に死はあるのか 生命の不思議をめぐる一週間

稲垣栄洋 SBクリエイティブ 2023.7.15読書日:2023.9.7 植物学を教える大学教授のところに植物をめぐる質問メールが一週間にわたって届くが、いずれもすぐに答えるのが難しい問題で、教授がいろいろ考えを巡らせる本。 この本の最初の質問は植物と動物の違…

台湾漫遊鉄道のふたり

楊双子 訳・三浦優子 中央公論新社 2023.4.25読書日:2023.9.6 (ネタバレあり。注意) 太平洋戦争前に植民地だった台湾を訪れて、気兼ねのない鉄道と食事の旅を望む女流作家の青山千鶴子は通訳として似た名前の王千鶴に出会うと、王千鶴は通訳の枠を越えて…

安倍晋三回顧録

安倍晋三 聞き手:橋本五郎 聞き手・構成:尾山宏 監修:北村滋 中央公論社 2023.2.10読書日:2023.9.2 2022.9.27にテロにより亡くなった、安倍晋三さんが、後世のために残してくれた回顧録。 なんというか、安倍晋三さんって、本当に戦略的に考えて行動する…

街とその不確かな壁

村上春樹 新潮社 2023.4.10読書日:2023.8.30 17歳のときに当時の恋人から幻想の街の存在を教えられた私は、大人になってその街で訪ね図書館で<夢読み>となるが、一方、街に入るときに引き離された私の影は現実の世界に戻り、自分が影だったことも忘れて…

鋼鉄紅女

シーラン・ジェイジャオ 訳・中原尚哉 早川書房 2023.5.25読書日:2023.8.25 (ネタバレあり。注意) 謎の異星人、渾沌(フンドゥン)からの攻撃を受けてから2000年後、地球人の国、華夏(ホワシア)は渾沌の亡骸を材料に戦闘機械・霊蛹機(れいようき)…

奇書の世界史 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語

三崎律日 KADOKAWA 2019.8.23読書日:2023.8.23 ニコニコ動画で配信した「世界の奇書をゆっくり解説」をまとめた、世界の奇書に関する本。 副題の通り、歴史を動かした本から、これも奇書?というような本も含まれている。たとえばコペルニクスの「…

名著の予知能力

秋満吉彦 幻冬舎新書 2023.5.30読書日:2023.8.21 NHK Eテレの「100分de名著」のプロデューサーが、名著には現代に通じる視点があり、生きていくための参考になると主張するとともに、企画を進めていくためのコツのあれこれを述べた本。 「100分…

官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則

デヴィッド・グレーバー 訳・酒井隆史 以文社 2017.12.10読書日:2023.8.17 たとえ規制緩和してもますます規制が増え、官僚が増える結果になるという「リベラリズムの鉄則」があり、いまや全面的官僚化の世界になってしまったが、このような官僚制を議論する…

ルワンダでタイ料理屋をひらく

唐渡千紗 株式会社左右社 2021.3.28読書日:2023.8.9 自分には何の取り柄もないと思っていたシングルマザーがルワンダでタイ料理屋を開くことに決めて、悪戦苦闘する本。 「自転車に乗れるようになったら乗ろう、ではいつまでたっても自転車に乗れない」とい…

禁城 死の沈黙の武漢で、本当に起きたこと

ムロン・シュエツン 編・クライブ・ハミルトン 訳・森孝夫 飛鳥新社 2023.3.31読書日:2023.8.7 世界で最初にコロナのロックダウンを経験した武漢市民の体験談。 コロナでは世界中がロックダウンしたのだから、武漢の市民が体験した医療体制が崩壊し、マスク…

押井守の人生のツボ 2.0

押井守 構成・文/渡辺麻紀 株式会社東京ニュース通信社 2023.3.31読書日:2023.8.4 映画監督の押井守が、どうせ他人事だから、という立場で他人の人生相談にのる本。 まあ、いつものように、渡辺麻紀と押井守がだべっているだけの本なのですが(笑)。 お二…

天路の旅人

沢木耕太郎 新潮社 2022.10.25読書日:2023.8.3 第2次世界大戦末期に密偵として内モンゴルに潜入し、そのまま戦争が終わってもチベットやインドを放浪し、帰国後は「秘境西域八年の潜行」という本を出版した以外は、死ぬまで岩手県で美容関係の卸の仕事を坦…

非正規公務員のリアル 欺瞞の会計年度任用職員制度

上林陽治 日本評論社 2021.2.25読書日:2023.7.26 民間以上に悲惨な雇用実体である非正規公務員のリアルな状況を報告した本。 そもそも非正規公務員は民間の法律が適用されず、その結果、民間以上に悲惨な状況だと聞いていたが、この本を読む限り、想像して…

酔いどれクライマー 永田東一郎物語 80年代 ある東大生の輝き

藤原章生 山と渓谷社 2023.3.10読書日:2023.7.23 1984年にヒマラヤK7の初登頂を成し遂げた東大スキー山岳部遠征隊の隊長で周囲に強い印象を残し、K7後は登山から引退するも、最後は酒に飲まれて46歳で亡くなった、永田東一郎の評伝。 著者が永田…

超加速経済アフリカ LEAPFRPGで変わるビジネス地図

椿進 東洋経済新報社 2021.6.10読書日:2023.7.21 爆速的に成長しているアフリカのリアルを紹介し、日本人にアフリカでのビジネスを勧める本。 近年、最も売れたアフリカの本なんだそうだ。著者はルワンダでナッツビジネスをしていて、アフリカのリアルに詳…

#真相をお話します

結城真一郎 新潮社 2022.6.30読書日:2022.6.30 真実が分かると、状況がすべて反転し、細かく配置された伏線も回収される、楽しめるミステリー短編集。 ミステリーがちっとも面白くないたちなので、ほとんど読まないが、なぜかこれは図書館で予約してしまっ…

アメリカは内戦に向かうのか

バーバラ・F・ウォルター 東洋経済新報社 2023.4.6読書日:2023.7.15 独裁政治と民主主義の間には中間のアノクラシーという状態があり、アノクラシーの状態が一番危険で内戦に陥る可能性が高く、アメリカはいまアノクラシーに入ってしまった状態だと主張する…

キツネとわたし ふしぎな友情

キャサリン・レイヴン 訳・梅田智世 早川書房 2023.4.25読書日:2023.7.13 (ネタバレ注意) 親から虐待を受けて15歳から一人で暮らしてきた著者が、モンタナ州の丘にコテージを建てて暮らし始め、そこに訪れる<キツネ>と友だちになる話。 著者のレイヴ…

わしが経験したヒステリー 「眠り続ける少女たち」を読んで思い出したこと

「眠り続ける少女たち」には、実際には健康なのに、自分の体の不調はこの病に違いないと主張して、どんどんその症状が起きてしまうという現象が紹介されている。 これって誰にでも経験あるのではないだろうか。恥ずかしながら、わしも経験があるので、そのと…

眠り続ける少女たち 脳精神科医は<謎の病>を調査する旅に出た

スザンヌ・オサリバン 訳・高橋洋 紀伊國屋書店 2023.5.10読書日:2023.7.8 心と身体は繋がっており、心により身体はヒステリー状態を起こして、身体はどこも悪くないのに、特殊な病気になってしまうことを示した本。 マトリックスという映画では、仮想空間…

母親になって後悔している

オルナ・ドーナト 訳・鹿田昌美 新潮社 2022.3.25読書日:2023.6.26 自分は母親になるべきではなかったし、別の人生を与えられたら子供は産みたくないと考えており、母親になったことを後悔している女性がいることを述べた本。 わしは母親になったことを後悔…

捨てられる日本 世界3大投資家が見通す戦慄の未来

ジム・ロジャーズ 監修・翻訳 花輪陽子 SBクリエイティブ 2023.2.15読書日:2023.6.21 冒険投資家のジム・ロジャーズが、日本はこのままでは世界から捨てられるとし、日本人は国を当てにしないで生きていかなくてはいけないと主張する本。 ジム・ロジャー…

叛逆航路

アン・レッキー 訳・赤尾秀子 東京創元社 2015.11.20読書日:2023.6.21 (ネタバレ注意) 星間国家ラドチの戦艦<トーレンの正義>は艦にも属躰(アンシラリー)と呼ばれる人間の死体を利用した兵士にも同時に存在するAIであったが、好意を寄せる副官オー…

千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話

済東鉄腸 左右社 2023.2.10読書日:2023.6.18 大学を卒業したものの就職しないまま引きこもりになり、膨大な映画を見て英語をマスターして未公開映画を中心に紹介するオンラインメディアを運営し、ルーマニア映画にハマってからはルーマニア語の勉強を始め、…

AI 2041 人工知能が変える20年後の未来

カイフー・リー(李開復)、チェン・チウファン(陳楸帆)、訳・中原尚哉 文藝春秋 2022.12.20読書日:2023.6.21 グーグルでAI研究をしていたカイフー・リーが2041年のAIが世の中に広がった世界を、実際に起こり得る10の未来を予想・解説し、それ…

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