読書録
筒井康隆 新潮社 2023.10.30読書日:2024.6.4 筒井康隆の最後の短編集と言われているもの。 まあ、これが最後ということですので、読んでみたわけですが、これまでのいろんなパターンをとりあえず取り揃えてみました、という感じでしょうか。残念ながら、わ…
ヨハン・ハリ 訳・山本規雄 作品社 2024.2.20読書日:2024.5.30 うつ病に悩まされてきたジャーナリストのヨハン・ハリが、プロザックなどの抗うつ剤に科学的根拠はないという驚くべき事実を知り、近年のうつ病は社会的な原因によるものが増えており、その解…
トム・マスティル 訳・杉田真 柏書房 2023.11.10読書日:2024.5.20 動物の話す言葉を解析する最新の科学を紹介する本。 2015年、カリフォルニアの沖でカヤックに乗っているときに、ザトウクジラのブリーチング(海から飛び出してダイブすること)に巻き…
喜多川泰 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019.3.30読書日:2024.5.17 (ネタバレあり。注意) 人生の全てに行き詰まっている修一は一台のタクシーに乗るが、そのタクシーは謎のポイントをメーターに表示し、そのポイントが残っている分だけ、修一の運命…
ウリケ・シェーデ 訳・渡部典子 日経BP、日経新聞社 2024.3.8読書日:2024.5.13 失われた30年と言われているが、日本経済は遅くとも着実に体質転換を図っており、悲観することはないと主張する本。 わしは日本経済について悲観したことはないのではある…
宮脇昭 講談社 2013.6.1読書日:2024.5.16 植物生態学者の宮脇昭が、スギ、ヒノキ、マツの林は偽物だと主張し、全国の植生を調査した結果からその土地にあった森を再生していく実践の様子を述べた本。 ともかく、宮脇さんは現場第一主義のひとらしい。日本中…
立花隆 講談社 2021.3.1読書日:2024.5.14 立花隆が1996年に東大で行った講義をまとめたもので、テイヤール・ド・シャルダン(1881−1955)の進化に対する考え方に基づいて、人類の進化の進んでいく方向を述べたもの。 未来のことに興味があるわしではあるが…
石井暁 講談社 2018.10.16読書日:2024.5.13 自衛隊の中に首相も防衛大臣もその存在を知らない、旧日本陸軍の流れを継いだ情報部隊「別班」の存在を世の中に知らしめた著者による、取材の経緯を書いた本。 ほとんどの人は別班のことは、テレビドラマ「Vivant…
中山淳雄 日経BP 2024.2.26読書日:2024.5.7 エンタメは社会の矛盾を心理的に昇華させる逃避世界だという著者が、アップロードネイティブ世代であるZ世代(1995〜2010生まれ)のエンタメについて語った本。 日本は世界に冠たるエンタメ大国なんだ…
間宮改衣(まみや・かい) 早川書房 2024.3.10読書日:2024.5.1 (ネタバレあり。注意) 機械の体になる融合手術を受けて歳を取らない身体になったわたしが、亡くなっていった家族の話を語り、本当の自由を得るまでの物語。第11回ハヤカワSFコンテスト特…
松本真由美 ワニブックス 2023.12.25読書日:2024.4.30 元国連職員でロンドン在住の松本真由美が、日本人に知られていない外国のニュースや実際に体験したことをもとに、日本人がありがたがっている他の先進国もじつはダメダメで、日本のシステムがいかによ…
長谷敏司 早川書房 2022.10.25読書日:2024.4.25 (ネタバレあり。注意) バイク事故で右足を失ったコンテンポラリー・ダンサーの後藤恒明は、AI搭載の義足で再起を決意するが、義足はダンサーの思うように動いてくれない。はたして、AIは非言語的なダン…
リュウジ 河出書房新社 2023.10.20読書日:2024.5.3 よく「味の素」を使うので批判され、そのたびに反論してきたユーチューバーで料理研究家のリュウジが、味の素についての自分の見解をまとめた本。 味の素の主成分はグルタミン酸ナトリウムで、人間の身体…
竹内繁樹 講談社 20052.20読書日:2024.4.23 量子コンピュータの計算の仕組みを解説した本。 量子力学関係の話って人間の普通の感覚に反する現象が起きるから、一度分かったつもりになってもすぐにまた分からなくなる。それでまた本を読むことになる。 わし…
衣笠彰梧 KADOKAWA 2015.5.13読書日:2024.4.24 (ネタバレはほとんどありませんが、いちおう注意) 平等とはなにか、本当の実力とはなにか、という疑問の答を得るために東京都高度育成高等学校に進学した綾小路清隆は、友達作りに苦労しながら、孤高の美少…
スコット・レイノルズ・ネルソン 訳・山崎由美 日本経済新聞 2023.10.13読書日:2024.4.19 帝国は穀物の通る道にできる、というネルソンが、ロシアとアメリカの小麦の生産とがとくにヨーロッパに与えた影響を述べた本。 たぶんこの本が翻訳されたのは、ウク…
ジャック・アタリ 訳・林昌宏 プレジデント社 2023.10.17読書日:2024.4.10 ジャック・アタリがその驚異的な知識により、2050年の世界の状況を予測し、読者の行動を求める本。 この本では2050年の世界について非常に多くのことが語られているが、大…
凪良ゆう 講談社 2022.8.2読書日:2024.4.4 (ネタバレあり。注意) 伝統的な家族観を破壊する作風の凪良ゆうが、地方と都会と恋人たちというベタなテーマの物語に、なかなかあり得ない家族構成を絡めることに挑戦した本。 凪良ゆうはたぶん普通の家族という…
ジェレミー・リフキン 訳・柴田裕之 集英社 2023.9.30読書日:2024.4.8 「限界費用ゼロ社会」で有名なリフキンが、進歩と成長が絶対だった文明が終わり、レジリエンスの時代が来る、と主張する本。 まあ、この手の本は多いわけですが(苦笑)、リフキンが書…
シヤ・コリシ 訳・岩崎晋也 東洋館出版社読書日:2024.4.2 ポートエリザベスのタウンシップ(黒人居住地)出身のシヤ・コリシが、食べるのにも苦労するような境遇からラグビーでチャンスを掴んで成功し、南ア代表チーム、スプリングボックスの主将に選ばれて…
懲役太郎、草下シンヤ 彩図社 2022.4.21読書日:2024.3.31 裏社会のことを語っている人気バーチャルYouTuberの懲役太郎と裏社会の本をいろいろ書いている草下シンヤが裏社会について語る対談形式の本。 ここでは反社会勢力として、ヤクザと半グレ、外国人マ…
デイヴィッド・ウェリントン 訳・中原尚哉 早川書房 2024.1.15読書日:2024.3.29 (ネタバレあり。注意) 防衛警察(防警)の警部補サシャ・ペトロヴァは、元防警トップだった母親エカテリーナの七光から抜け出そうだと功を焦り、捜査に失敗して、僻地の植民…
ブレイディみかこ 角川書店 2023.10.26読書日:2024.3.18 (ネタバレあり。注意) イギリスの労働者階級についていろいろ教えてくれるブレイディみかこが、自分の経験したシット・ジョブに基づいて書いた短編小説集。 全般的にとても面白かったです。こうい…
アナニヨ・バッタチャリヤ 訳・松井信彦 みすず書房 2023.9.19読書日:2024.3.21 ハンガリー出身の数学の天才で、数学の力を量子力学、コンピューター、ゲーム理論、AIなど、純粋数学の枠を越えて貢献し、手がけた分野のすべてがその後大きく発展して、い…
ジョン・スコルジー 訳・内田昌之 早川書房 2023.8.15読書日:2024.3.17 (ネタばれあり。注意) パンデミックで職を失いフードデリバリーをしていたジェイミーが、偶然得た仕事は、パラレルワールドのもう一つの地球で怪獣を保護する仕事だったが……というお…
ウォルター・アイザックソン 訳・井口耕二 文藝春秋 2023.9.10読書日:2024.3.13 著名人の伝記を次々発表するウォルター・アイザックソンの最新作であるイーロン・マスクの伝記。 ウォルター・アイザックソンといえば、著名人の伝記を次々発表していて、いち…
岩尾俊兵 光文社 2023.10.30読書日:2024.3.4 日本発の経営戦略がアメリカ経由で逆輸入され、もともと持っていた経営戦略を日本企業が捨てている現状を憂え、日本自身が世界に広めなければいけないと主張する本。 日本で流行っているアメリカ由来の経営戦略…
逢坂冬馬 早川書房 2021.11.25読書日:2024.2.21 (ネタバレあり。注意) 第2次世界大戦、モスクワ近くのイワノフスカヤ村にドイツ軍が現れ、村人が虐殺される。一人、生き残った少女セラフィマは、もと女性狙撃兵イリーナに導かれ、狙撃兵として訓練を積み…
ジョエル・コトキン 訳・寺下滝郎 解説・中野剛志 東洋経済新報社 2023.11.14読書日:2024.2.24 一握りの超富裕層が世界の富の大半を握り、グローバル社会のなかで中流層は没落してデジタル農奴となり、このような状態が世襲化して引き継がれる結果、社会的…
養老孟司 聞き手・鵜飼哲夫 中央公論社 2023.11.25読書日:2024.2.25 養老孟司が自分の過去を振り返った語り書きの自伝。 養老孟司って、わしにとっては「バカの壁」で突然出てきた人のように見えていたけど、なぜ東大の解剖学の先生がこんな感じで世の中に…