ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

社会学

目的に合わない進化 進化と心身のミスマッチはなぜ起こる

アダム・ハート 訳・柴田譲治 原書房 2021.3.22読書日:2021.10.16 ヒトが作り上げた社会や文化のイノベーションが早すぎて、ゆっくりと進む進化は追いつけず、ミスマッチが起きていることを書いた本。 いくつかのトピックスについて、人間の進化が社会変化…

新ジャポニズム産業史 1945−2020

マット・アルト 訳・村井章子 日経BP 2021.7.26読書日:2021.9.19 80年代のアメリカで日本の文化に耽溺して成長した著者が、戦後の日本文化がいかに世界、特にアメリカに影響を与えてきたかを検証した本。 いちおう2020年まで書かれているけど、中身の…

新基礎情報学 機械を越える生命

西垣通 NTT出版 2021.6.21読書日 2021.9.7 生命と機械は別の情報システムであり、コンピュータから人間を越えるスーパーインテリジェンスが誕生する可能性はなく、生命を中心とする新しい情報学が必要と主張する本。 2010年代に入ってからシンギュラ…

混迷の国ベネズエラ潜入記

北澤豊雄 産業編集センター 2021.3.22読書日:2021.8.28 無能な左派政権により国家が破綻寸前と言われるベネズエラに潜入して、国民の生活は意外に普通であることを報告した本。 昔(19世紀ぐらいまで?)の冒険者というのは、未知の土地にでかけて、そこ…

良いデジタル化 悪いデジタル化 生産性を上げ、プライバシーを守る改革を

野口悠紀雄 日本経済新聞社 2021.6.18読書日:2021.8.13 日本のデジタル化が進まないのは、日本の組織構造にあり、意識を変えない限り不可能と主張する本。 野口悠紀雄はわしの敬愛する経済学者で、仕事の生産性をあげようという意欲に溢れた人でもある。彼…

スピルオーバー ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか

デビッド・クアメン 訳・甘糟智子 明石書店 2021.03.31読書日:2021.8.4 動物からヒトに病原体が伝染る人獣共通感染症(ズーノーシス)に魅せられたジャーナリストの著者が近年盛んに起こるようになったズーノーシスについて、アウトブレイク(急激な感染)…

万引き 犯人像からみえる社会の陰

伊東ゆう 青弓社 2021.5.20読書日:2021.7.22 万引きGメンを20年以上やり、5000人以上を捕捉し、映画「万引き家族」の監修もしたベテランが、最近のコロナ禍を含めた最近の万引き状況を多数の実例をあげて報告する本。 わしはけっこう貧困問題に関心が…

ビリオネア・インド 大富豪が支配する社会の光と影

ジェイムズ・クラブツリー 訳・笠井亮平 白水社 2020.9.10読書日:2020.5.29 いまのインドの発展段階はアメリカの金ぴか時代(19世紀後半)の段階にあり、経済発展により大富豪が誕生する一方、政治との癒着により腐敗が蔓延しており、インドが次の発展段…

オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

オードリー・タン プレジデント社 2020.11.29読書日:2021.5.9 まだ30代という若さで台湾のデジタル担当政務委員に就任し、台湾のコロナ・パンデミックを抑え込んだ立役者であるオードリー・タンが、プレジデント社のインタビューに応え、民主主義とAIの…

ケーキの切れない非行少年たち

宮口幸治 新潮新書 2019.7.12読書日:2021.5.9 IQは普通なのに、認知力の低い子供たちが15%程度存在し、その子達は学校の授業どころか社会生活も困難で、そのため犯罪を犯しがちであるが、一日五分程度のわずかな訓練で多くの子どもたちを救えると主張…

ヤンキーと地元 ー解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち

打越正行 筑摩書房 2019/3/25読書日:2021.4.18 最近、社会学にはまっていて、この本は「ハマータウンの野郎ども」つながりで読んだ。 沖縄は、「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」で述べたように、けっこう特殊な社会だ。だから社会学のフィールドリ…

げんきな日本論

橋爪大三郎 大澤真幸 講談社現代新書 2016.11.1読書日:2021.4.1 二人の社会学者が日本の歴史を振り返って、日本の社会構造がどのように構成されてきたのかを議論する本。 じつは横浜市立図書館の図書カードを持っているのですが、なんと横浜市立図書館は2…

ハマータウンの野郎ども 学校への反抗 労働への順応

ポール・ウィリス 訳・熊沢誠、山田潤 筑摩書房 1985.3.30読書日:2021.3.27 1960年代、なぜ労働者階級の子供たちが中産階級を目指さずに親と同じ手工業の肉体労働者を目指すのか、という疑問に対して、イギリスの工業都市の労働者階級の子供たちを調査…

ブループリント 「良い未来」を築くための進化論と人類史

ニコラス・クリスタキス 訳・鬼澤忍、塩原道緒 NewsPicks 2020.9.27読書日:2021.3.24 人間には良い社会を築くための設計図(ブループリント)があらかじめ遺伝的に埋め込まれていると主張する本。 最近、ヒトの脳は社会的な生活を行うために進化したとする…

2030年:すべてが「加速」する時代に備えよ

ピーター・ディアマンディス、スティーブン・コトラー、訳・土方奈美 株式会社ニューズピックス 2020.12.24読書日:2021.2.28 進化するテクノロジーがお互いの進化を加速することで、2030年にはとんでもない時代が訪れる主張する本。 2030年に何が起…

AI時代の新・ベーシックインカム論

井上智洋 光文社新書 2018年4月17日読書日:2018年07月30日 ベーシックインカムについて、総括的に学べる良書。単にベーシックインカムについて説明しているだけでなく、貨幣制度に与える影響、政治的な位置関係について説明しており、この点が新しい。 貨幣…

トーキング・トゥ・ストレンジャーズ 「よく知らない人」について私たちが知っておくべきこと

マルコム・グラッドウェル 訳・濱野大道 光文社 2020.6.30読書日:2021.2.6 マルコム・グラッドウェルが、未知の人とのコミュニケーションがいかに困難かを述べた本。 思い込みと誤解で事態が人の命に関わる方向に容易に向かってしまうことをこの本は述べて…

なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか アメリカから世界に拡散する格差と分断

渡瀬裕哉 株式会社すばる舎 2019.12.31読書日:2021.1.17 選挙のプロである著者が、分断は政治家が選挙のために仕掛けていると主張しつつ、民主主義の将来について今後の展開を予想する本。 著者は選挙のプロ。選挙を仕掛ける側からのリポートというのが新し…

ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち

ブレイディみかこ 筑摩書房 2020.6.5読書日:2021.1.10 英国の労働者階級の暮らしを地べたからレポートするブレイディみかこが、自分のまわりのおっさんたちの生態を伝えるエッセイ本。 ブレイディみかこのことは「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブル…

2030年 ジャック・アタリの未来予測 不確実な世の中をサバイブせよ!

ジャック・アタリ 訳・林昌宏 プレジデント社 2017.8.15読書日:2021.1.6 フランスのジャック・アタリが、このまま何もしないと2030年までに起きることを予測し、読者に立ち上がることを求める本。 ジャック・アタリの本は実は初めて読んだ。日本に住ん…

中村元選集 決定版 第2巻 東洋人の思惟方法 / シナ人の思惟方法

中村元 春秋社 1988.12.8読書日:2021.1.4 中村元が述べる東洋人の思惟方法については、第3巻の日本人の思惟方法について、すでに読んでいる。このとき、あまりに納得性が高かったので、シナ人の思惟方法についても今回読んでみようと思った次第。 ただ、日…

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

細谷 功 東洋経済新報社 2007.12.7読書日:2009年01月15日 この本が出た頃、ある書評にこの本に載っている「日本に電柱が何本あるか」というフェルミ推定の問題が書いてあったので、さっそくやってみたことがある。本に書いてあるのと違ったアプローチを取っ…

昭和漫画雑記帳(ショウワマンガノオト)

うしおそうじ 同文書院 1995.7.15読書日:2020.11.16 映画、漫画、特撮、アニメの世界で活躍したうしおそうじが、昭和の時代を絵と活字で振り返った本。 出久根達郎が新聞に書いていたコラムで絶賛していて、うしおそうじにそれなりに興味があったので、図書…

ポストキャピタリズム 資本主義以後の世界

ポール・メイソン 訳・佐々とも 東洋経済新報社 2017.10.5読書日:2020.11.15 イギリスの左派ジャーナリストが、資本主義はもうすぐ終わると主張する本。 ポール・メイソンのことは、「資本主義の終わりか、人類の終焉か? 未来への大分岐」で知って、その発…

リスクに背を向ける日本人

山岸 俊男, メアリー C・ブリントン 講談社 2010年10月16日読書日:2018年08月18日 最初に「冒険やリスクを求める」に自分が当てはまらない、と考えている人の割合が国別に出ています(2005-2008年調査)。日本人はダントツの1位で実に70%以上の人が、自…

年収100万円で生きる -格差都市・東京の肉声-

吉川ばんび 週刊SPA取材班 芙蓉社新書 2020.5.1読書日:2020.10.11 いろんな理由で貧困レベルに落ちてしまった人のルポルタージュ。 例えば夫が突然のリストラをきっかけに家庭内暴力化して離婚した妻とか、ブラック企業でうつ病発症して失業とか、とても…

資本主義の終わりか、人類の終焉か? 未来への大分岐

齋藤幸平、マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソン 集英社新書 2019.8.14読書日:2020.10.12 気鋭の経済思想家、齋藤幸平が3人のビジョナリーたちと資本主義、民主主義の未来について語り合った本。 これは面白かった。3人と話している…

沖縄から貧困がなくならない本当の理由

樋口耕太郎 光文社新書 2020.6.30読書日:2020.8.31 沖縄から本当に貧困がなくならない理由は、日本の社会の悪いところが最も濃密につまったところだからと主張する本。 日本は同調圧力の高い社会だと思っていたが、その中でもとびきりに高い地域は沖縄らし…

自由の命運 日本はどうなのか?

自由の命運で、著者たちは日本についてどのような評価を下しているのか、気になるところです。ですが、日本についてはほんの少ししか述べておらず、こんなようなことが書かれてあるだけです。 ーー日本は第2次世界大戦の敗戦までは典型的な専横型の国家だっ…

自由の命運 国家、社会、そして狭い回廊

ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン 訳・櫻井祐子 早川書房 2020.1.25読書日:2020.6.20 人が自由であるためには、国家と社会がお互いに牽制し合ってバランスを取った状態でなければならず、そのバランスを取った状態に入ることも、持続させる…

にほんブログ村 投資ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ