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年収100万円で生きる -格差都市・東京の肉声-

吉川ばんび 週刊SPA取材班 芙蓉社新書 2020.5.1
読書日:2020.10.11

いろんな理由で貧困レベルに落ちてしまった人のルポルタージュ

例えば夫が突然のリストラをきっかけに家庭内暴力化して離婚した妻とか、ブラック企業うつ病発症して失業とか、とても本人のせいとは思えない事例が多く、何とかならないのだろうかと思う。

自己責任をいう人がいるが、人生に失敗は付き物で、失敗したら即貧困に陥り、そこから抜け出せないということになると、おちおち失敗なんかできないではないか。

貧困の人は昔からいたが、現代では貧困を放置するのは許されないのではないかという気がする。憲法に保障された、最低限の文化的生活を送る権利を厳密に実施しなければならないと思う。

わしは自分がリベラルだと思っていないし、どちらかというと保守だと思うが、たとえ貧乏だろうがみんなが健康的で楽観的で笑顔で人生を送れるようになってほしいと切に思う。

そうすると、やはりベーシックインカムだろうか。

ところが、この本には、13万円の生活保護を受けているのに貧困の人がでてくる。13万円あれば、厳しいだろうがなんとか暮らしていけるはずだが、部屋はゴミ屋敷と化しており、毎日コンビニの総菜パンを食べて栄養失調。そもそも家賃が11万円のところに住んでいるのが信じられない。完全に自己管理能力を欠如している状態で、こういう人は貧困の問題というよりも、一種の精神疾患じゃないかという気がする。この場合、ベーシックインカムでも解決不可能である。

貧困に陥る人にはこういう人が多いという。最初からそうだというわけではなく、貧困に陥ると、追い詰められ、精神が鈍くなってしまうと著者はいう。追い詰められた結果だというのなら、これも貧困の結果なのだろうか。

著者の吉川さんも貧困の家庭の出身だそうだ。中卒でがんばってきた両親の運命は阪神・淡路大震災で暗転したんだそうで、自然災害なんだから、もちろん本人たちにはどうしようもない話だ。

でも、ご飯が出てこなかったことはないので、かなり大きくなるまでは自分の家が貧困だということに気が付かなかったという。ほかのうちと比べるようになって気が付いたのだ。

高校を卒業した時、就職を希望したのは自分ひとりだったということで、考えを変えて大学進学をしたという。(どうも関西大学らしい)。

大学を卒業後も試練は続く。ブラック企業に勤める羽目になり、身体も精神も壊してしまったという。厳しい生活が続いたが、とりあえずいまは何とかなっているようだ。

ともかく、貧困はわしも反対。ほとんどの貧困は本人のせいではない。貧困は必ずなくせると信じている。

★★★★☆


年収100万円で生きる―格差都市・東京の肉声― (SPA!BOOKS)

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