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リスクに背を向ける日本人

山岸 俊男, メアリー C・ブリントン 講談社 2010年10月16日
読書日:2018年08月18日

最初に「冒険やリスクを求める」に自分が当てはまらない、と考えている人の割合が国別に出ています(2005-2008年調査)。日本人はダントツの1位で実に70%以上の人が、自分はリスクを取らないと答えています。

なぜリスクを取らないのか。この本は、社会心理学者の山岸俊男さんと社会学者のメアリー・C・ブリントンさんの対話で進んでいきますが、2人とも、日本社会の方がアメリカ社会よりもリスクが高いということで一致します。つまり日本社会のリスクが高すぎて、日本人はリスクを取れないというのです。

一般には、アメリカの方がリスクが高いということになっていますが、事実は逆であると言います。アメリカ社会では1度失敗しても、2度目のチャンス、3度目のチャンスと何度もやり直すことができる。なので、個人はリスクを取ることができる。ところが、日本では、1度失敗すると、2度目の取り組みは、ハードルが極端に高くなってしまう。2度目のチャンスがなかなかないということになると、まずは失敗しないようにすることが大切で、したがってリスクを取らない方が基本戦略になる、というのです。

メアリーさんがインタビューした銀行に勤める中年男性の言葉が印象的。「自分の立場はそんなに居心地がいいわけではないけれど、外は寒すぎて出られない」。リスクを取らない生き方というのは、いま自分が属しているメンバーに嫌われないことが重要になり、つまり無難な生き方ということになります。

こういう話が延々と続いて、なにやら身につまされます。

読んでいて、これってベーシックインカムが実現されたら、全て解決されるんじゃない?と思いました。ベーシックインカムがあれば、基本的な生活は確保されているわけだから、日本人だってリスクを負うことができるでしょう。きっと日本はずっと住みやすくなるでしょう。

こうやっていろいろ本を読んでると、ベーシックインカム制度が整うと、日本の問題のかなりが解決するんじゃないの? デフレから日本社会の雰囲気まで、全部変えられる。わしは強力にベーシックインカム制度の導入を支持するなあ。

山岸さんの社会心理学の実験が挙げられているが、そのどちらも面白い。独裁者ゲームとボールペンを選択するゲーム。詳しくは本を読んでください。

(今レビューを読み返すと、独裁者ゲームもボールペン選択ゲームもどんなだったか思い出せない。だから、全部書いとけよ、と過去の自分に言いたくなる。2020.11.8)

★★★★☆


リスクに背を向ける日本人 (講談社現代新書)

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