デヴォン・プライス 訳・佐々木寛子 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2024.5.24
読書日:2024.10.8
生産性をあげて仕事の成果を上げるということが自分の価値、という生産性競争から脱出しようと主張する本。
中身を読んで驚いた。まったく同じ内容の本を最近読んだから。
どちらも仕事をしていると、自分のしたいことができず、ただただ生産性競争に巻き込まれて自分たちが疲弊していくことを訴え、そのような生活をやめようと主張している。(下記参照)
ここで2つの本の著者の生まれ年を比較すると、デヴォン・プライスが1988年、三宅香帆が1994年。まあ6年違うけど、日本では米国より4,5年遅れるのが通例みたいだし、だいたい同じ世代と見ていいだろう。ミレニアル世代(1980年〜1995年)と言われる世代だ。
わしは三宅香帆が、新自由主義の結果、日本の社会が自己責任の能力主義に陥り、労働者が終わりなき生産性競争に陥ったと主張していることを、まあ、そんなこともあるかな、と軽く考えていたが、アメリカのこの本にもまったく同じことが書かれている。ということは、新自由主義って本当によろしくない考え方だと納得できる気がする。
わしが青春をすごした80年代って、だいたい誰もが、なんとか楽をして一生を生きていきたいなあ、などと怠惰な発想しかなかった気がするんだけど、違う?(笑) まあ、もしかしたらそう思っていたのはわしだけかもしれないけど、新自由主義的価値観に生きた人たちって本当に真面目すぎて、めまいがしそう。というか気の毒すぎる。
なお、題名の「怠惰なんて存在しない」というのは、自分の時間のすべてを仕事に費やさずに、自分の健康を守るくらいに休んでもそれは怠惰ではありませんよ、ぐらいの意味に使っていて、これはなんというか、わしの基準ではこれでもまだ働きすぎる。もっと積極的にさぼれ! と、わしはいいたい。
この本では人間が一日に集中して働けるのは3時間だそうだ。わしはおおむね、1日2時間ぐらいしかまじめに仕事はしなかったが、別に問題はなかった。まあ、実際このくらいでいいんじゃないの? そのためにはそうしても文句を言われない環境を作る必要があるが、そういうふうに持っていこうと努力することが大切だ、たぶん。
というわけで、みなさんも、ほどほどに頑張って生きてください。人生は楽しむためにあるんですから。
(参考)
★★★★☆