ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

わしのブルシット・ジョブ

ブルシット・ジョブを読むと、みんな自分のブルシット体験を語りたくなるらしい。なので、わしも語ろうかな。

大学時代のアルバイトはイオン系の総合スーパーのバイトだったが暇だったな。まあ、時給もすごく安かったから時給に見合ったバイトだった。ワゴンに高い商材を並べて、それが盗まれないようにそこに立ってるだけとか、客がほとんどいないイベント会場の店番とか。

就職してからも、仕事はブルシットだったかもしれない。入社当時は研究開発職だったので、半年ごとに目標を設定して、それを達成していれば何も言われないという環境だった。

その目標を達成するのにどのくらいの時間をかけたかというと、まあ、せいぜい1日2時間ほどだった。周りの人たちはいろんな仕事を忙しそうにしていたが、わしは自分の目標以外の仕事は極力しなかった。空いた時間は、業界誌を読んだり、論文を読んだりしてぶらぶらして時間を潰して、もちろん定時に退社して、お芝居とかを観に行ったりしていた。

わしの仕事ぶりを具体的に言うと、次のような感じだった。

コンピュータでシミュレーションをする仕事が多かったのだが、ある条件の特性を計算するのに、当時のコンピュータで1回1時間ほどかかっていた。なので結果が出るまでは、わしはぶらぶらしていた。そして結果が出ると、次はどうすればいいか考えて、パラメータを少し変えてまた計算をスタートして、終わるまでぶらぶらしていた。

傍目からみて、わしは一日ほとんどぶらぶらして、ときどきちょこっとなにかしている、というふうに見えただろう。じっさいそうなんだけど。同僚から、おまえは何もしていない、と文句みたいなことを言われたこともある。もちろん、だからといって余計なことはしなかった。

暇な時間の潰し方として、わしの好きなものは、特許の検索だった。キーワードを入力すると、いろんなアイディアが次々に出てくるので、わしはそれを読むのを楽しんだ。特許検索を行うと、その技術分野でどんなことが課題なのかがすぐに分かることに気がついて、なにか新しいことをするときにはまず特許の検索をするようになった。ときどき、UFOとか永久機関とかのおバカな特許が引っかかってきて、そういうのも楽しかった。

そういうわけで、わしも特許を書こうと思って、自分の仕事を特許にしていった。そんなに時間もかけず、数ヶ月に1、2件ぐらいだったが、そのうちに取得した特許は100件ぐらいになった。会社が傾いたときに、それらの特許は他の会社に売られていった。いちおう売れるレベルの特許だったわけだ。(発明者のわしにもいくらかお金が入った)。

一方、忙しそうにしている人たちはなかなか特許を出さないという傾向があった。雑多な作業に時間を掛けるよりも、アイディアをちょこっと出したほうが、はるかに簡単で実績になるのに、なぜしないのかわしには不思議だった。特許って、ある意味資産でしょ? 資産を蓄えないなんて、そんな発想はあり得ないよね。

まあ、そういうわけで、余計なことさえしなければ、会社の仕事なんて1日2時間ほどで終わるんじゃないだろうか、と思っている。わしは他の人が忙しそうにしているのをいつも不思議な目で見ていた。まあ、これはある程度大きな会社限定かもしれないけど。

いまでもわしは1日2時間ぐらいしか仕事をしていない。このまえも、何もする気がせず、デスクでボーッとしていたら、同僚の女子社員に笑われたばかりだ。なにしろ忙しいふりすらしていなかったんだから。もちろん残業はほとんどしない。でも別にそれで上から文句を言われたことはない。目標はいつも達成しているんだから。

アメリカの子会社に出張に行かされたときも、何もすることがなくボーッとしていたが、別にわしは気にしなかったな。

そういうわけで、本人が何も気にしていないという点で、厳密にはブルシット・ジョブではないのかもしれない。

こんなぐーたらな仕事ぶりだから、起業には消極的なんだろうな。起業すると、みんなとても忙しそうだからね。

えっ、あなた、起業して夢を追いかけたいんですか? へー、いいね。ぜひ投資させてください。わしはぶらぶらして、成果が上がるのを待っています(笑)。こうしてみると、投資家って、待つのが仕事みたいなものだから、究極のブルシットなのかも。

 

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