ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

日本のなかの中国

中島恵 日経BP、日本経済新聞出版 2024.9.9
読書日:2025.3.19

日本に住んでいる中国人が80万人以上になり、すでに独特のコミュニティになっていることを報告した本。

わしが住んでいる町はこの本でも中国人が多い町として名前が上がっている。中国人が多いとは思っていたが、そんなに多いとは知らなかった。

わしは特に中国人に悪感情は抱いていない。個人的に知っている中国人には優秀な人が多いからだろう。しかも、彼らはとてもアグレッシブで、好感が持てる。(こっちがあまりやる気が無なくてぼんやりした日本人で申し訳ない(笑))

やっぱりこれだけ数が多くなると、以前の在日中国人とは違った特徴が出てくるのだそうだ。

まず、日本語が話せなくても中国語だけで十分生活ができてしまうということがあるという。なので、せっかく学んだ日本語もどんどん忘れていくそうだ。

もちろん、そういう中国人は日本自体にもあまり関心がないので、日本のニュースはほとんど読まないんだそうだ。彼らが情報を得るのはほぼウィーチャットなどのSNSのみで、中国本土ともつながっているから中国にいるのと変わらない。

中国人はウィーチャットですぐにグループを作るんだそうだ。グループを作るとすぐに100名ぐらいの人が集まるという。グループの中では上下関係もなく、やめるのも自由で、お互いに有益な情報の交換を、ものすごく高速にやりあっているという。

中国人向けのサービスも充実しているから、食べるものもサービスも中国と変わらない。こうした中国人向けのレストランはいまでは日本人も「ガチ中華」として知られている。ただし、本当のガチ中華は予約サイトでの予約はできない。ウィーチャットなどで中国語で予約をしなくてはいけないから、日本人にはかなりハードルが高いそうだ。(まあ、無理していく必要もないけど)。

いっぽう、中国本土ではありえないが日本で起きるのは、戸籍制度を超えた恋愛だ。中国では、地方の農村の戸籍と北京や上海のような都会の戸籍は明確に区別されていて、不可能ではないが、結婚はなかなかむずかしい。しかし、日本ではそのハードルは低くなり、戸籍を超えた結婚が実際に起きる。これはいいことじゃない?

さらにこれだけの数がいると、中国人の間でも階層が生じる。中国を脱出した一部の富裕層の話はよく聞くけど、実際には彼らは世界中を回遊魚のように放浪していて、日本に根付いて住んでいるほとんどの中国人との接点はあんまりなさそう。

一方で、中国政府の権威を求めてやたら大使館などに接近する層もいるそうで、こういう人たちはそういうふうにしかアイデンティティを確立できない人たちなんだそうだ。

いつ日本に来たかによっても、いろいろな場合があるそうで、80年代や90年代に来た人たちは、その後の中国の発展の成果を得られなかったからちょっと屈折していて、中国人は経済的には発展したが、まだ田舎者だとか欠点をあげつらう人もいるそうだ。

そして長く日本にいたり、世代が何世代にも渡ると、中国人も日本人化してしまい、最近来た中国人には馴染めないとか、いろいろあるみたい。

中国人が日本で不動産を買ったりすることが問題だとして取り上げられるけど、わし的にはまったく問題はないと思う。なにしろ、土地は買っても持っていけないからね、どんどん投資してもらえばいいんじゃないでしょうか。京都の町家をたくさん買って宿に転換している中国人が紹介されているけど、その人はこの町並みが好きでそれを救おうという精神でやっているのだから、もうありがたい話である。

中国政府のスパイとか出先機関みないなものもあるかもしれないけど、わしは中国人はもっと来てもらってもいいと思うな。

★★★☆☆

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