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個人投資家目線の読書録

8週間語学の旅 水先案内人はずれっちと様々な言語の海へ

山本冴里 KADOKAWA 2025.8.21
読書日:2025.10.29

初めての国へ行ってもその日のうちからその国の言語を話し始めるという、日本人としては規格外れの外国語習得能力を持つ『はずれっち(外れ値)』こと山本冴里さんが、新しい言語を習得するしきい値を大幅に下げるコツを教える本。

はずれっちの山本さんは別に言語の天才でもなんでもないという。しかし、言語を習得する最初のとっかかりについて熟知しており、それを大学で教えているのだ。学生はこの8週間で自分にとって未知の言語を習得するのだという。このコースは非常に人気で、学生は好きな言語を選択し、8週間後にはその言語の発表会を開けるまでになる。

そのコツは、一言でいうと自分の知っている言語と重なっているところから始め、推測によってどんどん侵食していくというスタイルだ。現代では、昔と違って世界中で共通している単語がある。外国から入ってきた外来語というのがそれで、日本に入り込んでいる外来語はほかのほとんどの言語にたいしても入り込んでいるというのだ。たとえば、グローバリゼーションとかコミュニケーションとかいう言葉は、多くの言語に入り込んでいる。そういう言葉を目標言語で調べるだけで、なんとなくその言語の性格が分かったりする。

外来語という意味では、日本人が使っている漢字は、ほとんど中国から入ってきた外来語である。だから、中国周辺の国では、同じような言葉を使っていることが多いそうだ。たとえばベトナム語には中国語から入った言葉が多く、観察、意見、注意などは発音が日本語と似ている。こういった重なっている部分から入っていけるのだ。

同じように、多くのヨーロッパ系の言語は、英語を通じてかなり類推することができる。

ともかく大切なのは、その言語の教科書を読んで覚えるのではなく、その言語をじっくり観察して自分で仮説を立ててから、それが正しいかどうか調べるという手順を踏むことである。たとえば疑問形になるためのマーカーをその言語を観察して見つける。日本語では、それは、「……か」で終わり、語尾が上がるというのが、疑問形のマーカーである。

こんなふうに、自分で観察して仮説をたてて発見していくというプロセスを経ることで、その言語が身につく速度が上がるらしい。まるでその国に初めて来た外国人のように対応するわけだ。

もちろん、ただ覚えるしかないこともある。たとえば数字を1から100まで言えるようになることとか。数え方のルールは各言語によって様々だから、これは慣れるしかないらしい。数字に慣れるためには、ひたすら数字をその言語で言えるように訓練するしかない。おすすめは通りすがりの車のナンバープレートをその言葉で読み上げる訓練をすることだそうだ。ただし運転していないときに限るけれど。

行く、持つ、などの基本的な動詞も身につける必要がある。日常生活でよく使う雑貨など呼び方も調べる。発音については、動画よりもラジオなどの音声だけのほうがいいらしい。

こうして8週間後には、日常生活がなんとか送れるくらいにはなるようだ。新しい言語を身につけた生徒たちは、その国へ実際に行ってみる人も多く、中には留学するひともいる。新しい言語を学ぶことは、その国の文化や歴史を学ぶことでもあり、実際に体験したくなるらしい。

なるほどねえ。でもやっぱり相当その言語にのめりこまないとだめなんだね。

まあ、AI翻訳アプリにすっかりお世話になっているわしにはちょっとできないかな。AI、便利だよね。なんていい時代なんでしょう。

でも、高野秀行みたいに、どこかの国へ行くときに、その国の言語を学んでから行くと、なかなか楽しいだろうねえ。

www.hetareyan.com

★★★☆☆

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