かぶ1000 ダイヤモンド社 2021.1.21
読書日:2022.4.3
バリュー株投資を極めた著者がその技を惜しげもなく公開する、日本でバリュー株投資を行うときの教科書的な決定版。
いやー、これは素晴らしい本だ。題名がちょっと一般受けするような軽いものになっているが、内容はもちろんそんなことはなく、超一流の個人投資家の知恵が詰まっている。
株式投資家のパターンにはバリュー投資とグロース投資の大きく2つに分かれるが、わしはグロース投資である。というのは、バリュー投資というのがよく分からないからだ。
どこが分からないかというと、(1)銘柄の選択方法、(2)いつ上がるのか分からない、というところである。
グロースだとこの2つは簡単である。なぜならグロース株は株価がすでに上がっているのですぐ見つけられる。具体的には新高値をつけた銘柄だ。新高値銘柄の中から、その株価上昇がビジネスモデルなどに基づく本質的なものなのか、それともたまたまなものなのか、そのへんを見分けるのは比較的簡単である。(わしにとってはだが)。この上がった原因が今後、数年に渡って継続的に当てにできるものなら、投資対象である。そしてすでに株価は上がっているので、いつ上がるかは問題にしなくてもいい。すでに市場から発見されているのだから。
ところがバリュー株の銘柄の場合、その対象はあまりに広すぎる。PBRが1倍以下の場合にしてもいったいどれだけあることか。ともかく日本市場にはバリュー銘柄がものすごく大量にあるのである。そしてその銘柄を仕込んでも、いつ上がるのかさっぱりわからない。こういうことは、まいにち四季報を読んで飽きないような人物以外には難しいのではないかと思わせる。
しかし、この問題について、作者はかなり明快な回答をしている。
まず銘柄選択については、PBRの基準をかなり厳しくする。そして、利益をだして内部留保が積み上がっていく一方なのに、株価が上がっていない銘柄を選択肢にするという。
そして何より、著者である”かぶ1000”流の銘柄選択のスクリーニング機能を備えたサイトがあるんだそうだ。え〜、それはいいなあ。
そしていつ上がるかだが、あまり気にしなくてもいいらしい。その代わり、配当利回りも考え配当の多いものを買う。さらに株価は低位でもそのなかでボックス的な動きをするから低いところで買って高いところで売るという取引でそれなりに収入を得ながら待つ、ということをするらしい。
なるほどねえ。配当利回りが高いものを買うと、株価が上がるまでは高利回りの定期預金をしている気でいればいいんだ。1億円あれば利回り5%で税金を引いても400万円が入ってくるからね。その点、グロース銘柄は配当利回りが低いものが多いから、株価があがらないとイライラしちゃうよね。それに株価のボラティリティが大きいから、大きく動きすぎてこちらも精神的に悪いかもしれない。もっともわしは慣れましたが。
うーん。バリュー株かつ高配当銘柄への投資はいいかもしれない。
すこしバリュー株投資を検討してみようかしら。
★★★★★