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21世紀の資本

トマ・ピケティ みすず書房 2014年12月9日
読書日:2015年06月01日

資本の増益率rと経済成長率gを比べると、歴史的にr>gの関係になっており、放っておくと資本が蓄積していき、一部の人間に富が集中することを、各国の納税記録などを丹念に調べて検証した本。

久しぶりに超面白い本を読んだ。歴史的に資本と経済成長の関係を確認したというのは素晴らしいです。

いままでまったく気にしたことはないが、成長率が低い方が富は蓄積されやすく、格差が広がるというのは、言われてみるまでは全く気が付かないことだった。(所得はGDPの成長率gにあわせて増えるから、成長率gがほぼ0なら、所得は利子rにまったく追いつけない)。

逆に言うと、資本さえあれば、特に人口が減って低成長率のような日本においては大いに生活を楽しめるということだ。資本さえあれば、だが。。。

そういうふうに考えると、バブル崩壊後の失われた20年の日本においてどうすればよかったかというと、資本を蓄えるような行動が正解だったのだ。

ご存じのように、実際は真逆の行動が取られた。経済は低成長に陥り、物価は下がるデフレに陥ったこの時、ほとんどの人がとった行動は、投資を行わず、ひたすら貯金をするということだった。デフレの場合、物価が下がるほど現金の価値が上がるから、ある意味これが最適の行動だったわけです。

しかし本当なら、投資を行うべきだった。低成長の時ほど、その利子の効果が大きくなるから。そうすれば、きっと資本の蓄積は急激に高まっていたでしょう。

だが、どこに投資すべきだったのか。バブル崩壊で株はこりごりと思った人は多かっただろうが、それは日本株だけの話で、おそらく外債、外国株、商品市場に投資すべきだったのだろう。そうすれば数%の利益をかなり手堅く得ることができ、資本の蓄積を行うことができたのではないか。つまり普通に国際分散投資をしていればよかったのだ。

そして、それは今でもそうなのだ。この本はマクロ的な全体の話をしているのだが、個人的な戦略でも正しいと言える。貯蓄から投資へというのは証券会社のお題目ではなく、本当にそうあるべきことなのだ。

ピケティは資本家に富が集まることを証明した。なので、平等化を進めるために累進課税や資産課税を主張している。しかし、個人がこれを読めば、皮肉にも資本家になれと言われているように読めるのではないだろうか。少なくとも、わしはそう思った。

★★★★★

 


21世紀の資本

 

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