ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした

クルベウ 訳・藤田麗子 東京ダイヤモンド社 2021.4.13
読書日:2021.9.22

がんばっても結果ができないときは、一度休んでから新たな道を目指そう、と自己再生を呼びかける本。

最近、韓国系のこうした自己再生を目指すコーチング的な言葉を綴った本が熱い。おそらく韓国の民衆レベルの現状が厳しいからだと察せられる。

たとえばこんな言葉が書かれてある。

  人生は長いから、今日1日ぐらい無気力でも大丈夫よ。
  明日も明後日もやる気ができないように思えても
  絶対にそんなことはないから。

なるほどねえ。

以前読んだ、「あやうく一生懸命生きるところだった」は完全な脱力系だが、この本では再生を目指しているのであり、いったん休むとしても再び歩みだすことが前提で、基本的には、頑張れ!系なのだ。なので、ちょっと厳しめの言葉もある。

たとえばこんな感じ。

  何事も一生懸命にやらない人はいつまでたってもがんばれず、
  がんばる人はどんな環境や状況に置かれても努力を続けて、
  結果を出します。

  (略)

  もしあなたが自分を変えたいと思っているのなら、
  いま変わらなくてはなりません。
  いますぐには変われない?
  それでは一生変われないでしょう。

人はなかなか変われないんだそうだ。まあ、そうだけど、なんで変わらないといけないんだ、という気もするけどね。

人間関係では、その関係を終わらせることの勧めも多い。まず自分を疲れさせるような人とは付き合ってはいけない、とか、人生は短いのだから、気の合わない人と付き合っている時間はない、とか。

これは恋愛でもそうで、安心と自由を天秤にかけて、割に合わないのなら関係を断つこともよいという。

そして仕事をするのなら自分のしたいことをするように勧めている。とくに若いうちは失敗してもいい頃なのだから、チャレンジを勧めている。

お金に関してもそうだ。とくにビジネスでは他の人を非難することなく信頼できる人間であることが成功の秘訣らしい。信頼と安心だ。

装丁のイラストもとても良い。女性と女性を守って包み込んでいるトラの左目に青く輝くインクのリングが描かれていて、まるでそれが涙にも、もう一つの世界を見つめる魔法の目のようにも見える。

なんでトラ?という気もするが、韓国的な発想では、内なる自分はトラなのかもしれない。

ちょうど仕事が切羽詰まっているときに読んだせいか、けっこう心にしみてしまった気がする。

でも読んでいるときも思ったけど、元気になったらまたがんばるんじゃなくて、ずーっと逃げっぱなしじゃだめなんですかね。それでもぜんぜんオッケーだと思うんですけど。あなたはいまちょっと疲れているだけ、とかいわれて、また激しい競争に送り込まれるのはちょっとなあ。(笑)

また愛についての文はどうかなと思う。わしは幸福という概念は信じないし、愛も基本、信じてないです。どっちもヨーロッパの概念ですからね。

ああ、9月はたくさん仕事したなあ。10月は少しゆっくりできますように。

★★★☆☆

 

日本、ついにインフレ? 100円ショップにインフレを見た

日本はデフレが常態化し、値段が上がらないということで有名だった。値段は需要と供給で決まり、いままでは過当競争で供給が圧倒的だったから、値段は上がりようがなかった、と思われていた。

最近あちこちで値段がちょくちょく上がり始めているという話は聞いていた。しかし、わしの生活の実感として、それは感じられなかった。

なにしろわしの家の周囲にはオーケーをはじめ、安売りを謳う大きなスーパーがひしめきあっており、常に安売り状態なのだ。そしてなにか買うとしても、ネットで最安値を買ってしまうので、インフレは実感しづらかった。

ところが今日、久しぶりに100円ショップのダイソーへ行って、驚いてしまった。ダイソーは以前から100円以上ものも売っていて、それは問題ない。しかし、ついこの前まで100円で売っていたものまでも200円、300円で売っていたのだ。そうなると、考えてしまう。

たとえば、食器だ。わしがこの前、たぶん半年ぐらい前に見たときには、100円以上の食器はほとんどなかった。しかし、今回は200円の札がついている食器が多数あった。体感的には半分ぐらいは200円だった。わしは最近、マグカップを割ってしまったので、マグカップにどんな物があるか見てみたが、すべて200円であり、100円のマグカップは1つもなかった。

ほかにもある。たとえばプラスチック製のボックスだ。A4サイズぐらいの大きさになると、200円、300円の値札になっている。これはとても驚いた。A4サイズは、ある意味一番良く使うサイズである。これが100円では買えないということになると、100円ショップのお買い得感は激減してしまうのではないだろうか。

いままでは円の価値が下がってもなんとかやっていけたが、ついに円の価値も下がりすぎて、とても100円では賄えなくなってしまったということらしい。

100円ショップでこれなら、今後いろんなものの値段が上がるのは必至だ。安すぎる日本は終わり、インフレの日本が帰ってきたわけだ。

いまのインフレ傾向は需要に対して供給が限られているという供給制限的な部分と、原材料が値上がっているというスタグフレーション的な部分と2つあるのだろう。原料高は企業努力でどうしようもないとしても、供給制限的なところはどうなんだろうか。

いちばん問題なのは人手不足だろう。

緊急事態宣言が解除されたあと、近所の街を歩きまわって見てみたが、店を再開できていないところが多数あった。退店したところもあるだろうが、多くは人手不足と見た。アルバイトが集まらないので、開店する店を制限しているのだと思う。

これが飲食にとどまるということならまだしも、この人手不足は今後いろんな産業で顕在化してくるんじゃないだろうか。慢性的に供給が不足する事態になるかもしれない。

そんなわけで、どうも「失われた30年」で固定化されたデフレマインドを変えなくてはいけないという気がしてきた。それにしても供給過剰の日本があっという間に供給制限的な状況になってしまうとは。

そうすると、もしかして、本当に、金利が上がる↑、などという状況が訪れるのだろうか。本当に? 本当に? 30年ぶりに??

いやー、なんかあり得る気がしてきた。

わしはインフレがないこと、金利が低いことを怒っていたが、いざそれが解消されるかもしれないと思うとちょっと戸惑ってしまう。しかも、このインフレはきっと悪いインフレだ。需要が増えてのインフレなんじゃなくて、供給制限的、原料高のコストアップのインフレだからね。

なんか難しい経済局面のような気がする。いまの日銀に対応できるだろうか?

株価的にも、需要増によるインフレならいいけど、スタグフレーション的なインフレだと、なかなか上がりにくいんだよね、きっと。(スタグフレーションを経験したことがないから分からない)。


(別の話)100円ショップ ダイソーとキャンドゥ

わしは100円ショップは主にキャンドゥを使っている。

家からいちばん近いこともあるが、単純にわしはキャンドゥの株主であり、株主優待で年間20枚のチケットをくれるからだ。この20枚という枚数は、わしが1年間で100円ショップを使う回数と合っていて、毎年8月に使い切る頃に次の優待が送られてくるという、ちょうどいい具合になっている。

さて、キャンドゥではダイソーと異なり、200円、300円のものもあるかもしれないが目立たず、ほとんどが100円の値段を守っている。どうしてなんだろうかと思うが、まあ、キャンドゥはもともとダイソーよりも値段が少し高いということがあるのだろう。

ダイソーでは、たとえばスプーンなんかも(以前は)5本で100円というのが普通だった。でもキャンドゥはずっと2本で100円だった。そういうわけだから、もともと利益率が高い製品が多いのだろう。それでいまでも100円を守れているのかもしれない。そんなキャンドゥを使っているので、わしはダイソーの値上げにはなかなか気が付かなかったのかもしれない。

しかし、日用雑貨はキャンドゥで間に合うが、電気小物は圧倒的にダイソーのほうがいいので、ダイソーにときどき行く。

日用雑貨ではダイソーは値段が上がってしまったが、ほかの100円ショップで売っていない電気関係は、たしかにまだ競争力がある。

今回はLED電球を買いに行ったのだが、60WのLED電球が200円で買えた。これはかなりお買い得だ。他の45Wとかは300円だったから、これが最後の200円のLED電球で、今後は300円になるような気がする。

しかし少し前までは45Wなら100円で買えたような気がするんだが、記憶違いだろうか。が、まだそれでも300円ならお買い得感があるのではないか。最近LED電球を買わないから相場がよくわからんが(だって一度導入すると、なかなか壊れないからね、LED電球)。

今回、ダイソーで驚いたのは、USBのPD(=Power Delivery、最大60Wまでの電力供給が可能な規格)対応のACアダプタが700円で売っていたことだ。これは20Wの商品だが、それでも普通安くても1000円はするので、これは安い。PDタイプをさっそく商品化するとは、すごいんじゃないか。

わしは会社から支給されたノートパソコンを在宅勤務で使っているのだが、これは別に在宅勤務専用ではなくて、会社に出勤するときには毎回持っていかないといけないのだ。まあ、それは仕方がないとして、そのときに電源ケーブルを持っていくのは非常に面倒なのだ。なにしろものすごくかさばる。

で、パソコンのAC電源は会社に置きっぱなしとし、家では45WのPDを買ってそれをUSB type−Cのケーブルでつないで使っている。45Wというのは、PCに書かれてある消費電力から判断して選んだのだが、そもそも45Wなんて必要なのか疑問だった。だって単にブラウザやオフィスを使っているだけで、CPUをぶん回すような使い方は全くしていないのだから。

それで機会があれば20WのPDでも使えるかどうか試してみたかった。そういうわけで、700円なら無駄になってもいいか、と思って思わず買ってしまった。

さて、家に帰って、会社のパソコンにつないでみると、普通に使える上に、80%だったバッテリーがどんどん充電されていくではないか。やはり、普段使いでは、このパソコンは20Wで十分らしい。

じつは我が家ではPDのACアダプタが足りず、家族で取り合いになっているので、ちょうどよかった。PDが必要というよりも、単に3Aで急速充電できるアダプタが家にはこれ1つしかなかったというだけなんですが。(3Aの充電はやっぱり早い)。

それにしてもパソコン用のACアダプタがダイソーで買えるとはねえ。

ちなみに、わしは格安のクロームブックを持っていて、この記事もそれで書いてるんですが、このクロームブックは5Vの普通の電源で充電できるんですよね。スマホとかに使うメディアテック製のCPUを使う機種だからかしら。5V充電できるパソコンって、PDとか特別の電源が必要なくてすごく便利ですよね。PD電源、まだちょっと大きいから、持ち歩くには躊躇するからね。

今後、5Vで充電できるノートパソコンが増えるんじゃないかしら。

固定資産税をクレジットカードで支払ってポイントをもらう

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2021.9.19 

わしは税金に関してはおとなしく支払う方だと思うが、所得税や消費税はともかく、どうも固定資産税だけはなんとなく払いたくない。この税はとてもよろしくない。好きになれない。住んでいるところのせいか、少しずつ上がっていくのも憂鬱だ。

きっと買いたくもなかったマンションを買わされ、住宅ローンも抱えているのに、さらに税金まで払わされるのが我慢できないのだろう。住宅ローンを払っている間は、自分のものというより正確には銀行のものなので、銀行が払うべきじゃないか、という気もしている。

ともかく固定資産税を支払うときは、日本国土の本当の所有者、大家さんは日本政府だと実感するときだ。わしらは賃貸料を国に払ってなんとか使わせてもらっているにすぎない。そこが一番嫌いなところだ。おかげでぜんぜん自分の所有物という気がしない。

支払い方法は、ほとんどの人は銀行引き落としにしていると思うが、わしはそうしていない。簡単に相手にお金をあげる気がしないからだ。もちろん、あらかじめ振り込みの用紙が一年分送られてくるが、無視する。

すると督促状が送られてくる。それも無視していると、また送られてくる。以前は3回目の督促状を無視すると、延滞金が取られるので、3回目の督促状で支払っていた。最近は、どうも支払猶予は2回までになったみたいだ。そうなるとしかたなく督促状をコンビニに持っていって、支払っている。

この方法の難点は、支払うのを忘れてしまい、本当に延滞金が発生して、しかも市役所に呼び出されて支払うハメになることだ。わしは一度そうなってしまったことがある。

さて、コンビニで支払うときにまた頭にくるのは、クレジットカードが使えないことだ。しかたなくコンビニのATMで現金を引き落として支払っていた。固定資産税をクレジットカードで支払う方法はないわけではない。国税庁が指定するサイトで支払いが可能だ。この場合、クレジットカードの使用手数料を税額に応じてこちらが支払わなくてはいけない。しかも入力する項目がやたら多くうんざりする。だったら誰だってコンビニに行って現金で払うよね。

ちなみに、わしは日常生活でほとんどコンビニを使わない。単純にコンビニの商品は高いからで、すぐそばのスーパーやドラッグストアで買えばすむものを、コンビニで買う動機がないからだ。なのでセブンイレブンnanacoとかそういうものは持っていない。

7月のある日、いちばん近いコンビニのファミマで、わしはたまたまATMを使っていた。すると、へんなおっさんがにこやかに話しかけてきて、クレジットカードを作りましょうと言ってきた。ファミマTカードの勧誘だった。

「このクレジットカードにはなんのメリットがあるんですか」とあまり興味はなかったが、いちおう聞いてみた。
「公共料金の支払いができますよ」という。そりゃ普通できるだろう。電気代とかそういうのだったら。
「固定資産税は?」
「固定資産税はちょっと分かりませんが、だいたいの税金は払えます。固定資産税もいけるんじゃないですか?」
「それはコンビニで支払うときに使えるということ?」
「そうです」
「すると、税金を支払った上に、その支払いにポイントが付く?」
「おっしゃる通りです」

半信半疑だったが、税金の支払いにポイントが付くということは、税金の割引を受けていることと同じだ。これが本当ならとても愉快だ。そういうわけで早速、カードを作ることにした。

さて、ファミマTカードが届いて、固定資産税の督促状も無事に届いた。この日本で税金の督促状が届かないことはないのだ。わしは支払期限をさらに無視して、10日以上過ぎた今日やっとコンビニに行った。なに、少し遅れてもなんの問題もない。向こうもそのくらいは待ってくれる。

使い方はこうだ。

まずファミペイというアプリをダウンロードして、そこにファミマTカードを紐付けする。すると、ファミペイにカードからチャージができるようになる。そしてチャージしたファミペイで、固定資産税の支払いをする。なお、このチャージしたときにポイントが付くので、間違っても現金でチャージしてはいけない。

もちろん無事に支払いができた。

このときのチャージは、9月末にしめられて支払い金額が確定し、10月に支払金額の通知が来て、11月に引き落としがあるようだ。すると、督促期限ギリギリに支払って、さらに2ヶ月弱の支払い余裕があるということになる。支払いはなるべく遅いほうがいいに決まっている。そしてそこにポイントが付く。

わしは感激して(笑)、高校生の息子にそのことを伝えたが、「そんなことに1ミリも共感せんわ。国民なら税金は黙って支払うもの」という。まじめだなあ。まあ、いいや。

調べてみると、セブンイレブンnanacoでも同じことができるらしい。他のコンビニでもできるかどうかは知らないが、きっとできるんじゃないだろうか。すると、わしはずいぶん気がつくのが遅かったらしい。コンビニをあまりに使わなさすぎて、その進化に遅れてしまったのだ。

どうもnanacoのチャージ上限は5万円のようだ。ちょっと心もとない金額だ。しかしファミペイは10万円のようだ。これなら、まあ、わしの利用には十分だろう。

と、喜んでいたら、実はいつの間にかわしの住んでいる自治体はペイペイで固定資産税を支払えるようになっていたようだ。(今年の8月かららしい)。あれま。これなら、コンビニに行く必要もなく、バーコードをスマホでスキャンするだけなのだ。すばらしい。

ともかく、今後は少しは気分良く固定資産税を支払えそうだ。こうなると、所得税地方税社会保険も年金も全部クレジットカードで支払いたいなあ。まあ、源泉徴収されている間は無理なんじゃないかと思うが、もしかしたらできるのかな?

 

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ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論

千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太 講談社
読書日:2021.9.20

書く悩みを抱えている(いちおう)プロの書き手たちの座談会で、最初はアウトラインプロセッサとか最新の便利ツールの話をしているが、そもそも書けない、書くネタに困る、モチベーションが上がらない、などの精神的な問題を話し合い、諦める、完全を目指さない、締切が最強のモチベーション、旅をして日常を離れる、などの結論に至る本。

こういうブログを書いているせいか、ライティング技術とか、構成の作り方とか、まあそういうのが自分でも気になるらしく、アマゾンさんにそのへんのところを見透かされて、この本がおすすめに出てきた。今後も役に立つかもという気持ちで購入したわけです。(紙が嫌いなのでもちろん電子本で)。著者のなかに「独学大全」の読書猿さんが入っていたのも大きい。

しかしねえ、こういうふうになんとなく買ってしまうと、ハズレを引いてしまう確率が高くなるんですよね。昔から、小説家とか漫画家を扱った本で、書くネタがないとか、どうやってネタを出すとか、どうしたら締切を守れるかとか、最終の締め切りはいつかとか、出版社から缶詰にあったとか、そういう記事や本が世間に氾濫していますが、その手の本や記事とほとんど変わりがありません。まあ、当然なのかもしれませんが。

最初はそういうライティングのためにツールについて話し合ってるんですよね。でも、ここでわかったのは、ここの人たちはみんなアップルを使っていて、マックで使えるツールについて語ってるんですよね。わしは全くリンゴ派ではないので、あれは良かったとか、これはこういうところがダメとか、そんなこと言われてもまったくわかりません。どうしてアップルを使う人がこんなに多いんでしょうかね。

しかも、わしはこういうツール自体にほとんど興味がありません。なんだっていいじゃん、という心境です。長い文章を書く場合(少なくとも数万語の話ですが)、わしもいきなり書かずに構成を別に作ることもあります。が、それもほとんどは普通のエディタで文章で項目を書き出して終わり。もう少し複雑な構成が必要になっても、エクセルのような表計算ソフトを使いますね。

ライターさんで表計算ソフトで構成を考えるという話をほぼ聞いたことがないんですけど、どうしてなんでしょうか。超便利ですよね。わしは無料のグーグル・スプレッドシートを使っていますが、オンラインでどこでも使えてとても便利です。なにより無料だし。

なので、執筆に使うツールはエディタ一本で終わり。場合によっては表計算ソフトを使うってことで、わし的には決着がついています。

で、ネタがなくて困るとかいう話を読んでいると、私小説家の葛西善蔵の話が思い浮かびますね。私小説家はだいたい自分の人生に起きたことしか書かないから、一度いままでの人生を書いてしまうとすぐにネタがなくなってしまう。なにも書けないまま、何日も過ごして、ある日2ページも書けると、嬉しくなってメス犬のおしっこをする真似をして喜びを表したというかぐわしい話が伝わっています。

書くネタがないなら書かなければいいと思うのですが、ここのひとたちもいちおうプロでしょうから、執筆の依頼があって、引き受ければ、なにか書かなくてはいけないというのは、それはそうでしょうね。

ちなみに読書猿さんだけは、一生書ききれないほどのネタがすでにあるそうで、すこし他の人とはベースが異なるようです。

わしのこのブログに関しては、単に読んだ本の内容をまとめているだけですから(感想すらあまりないよね)、わしが本を読んでいる限りはネタに困ることはないでしょう。ただわしの場合は、単なる本の紹介じゃなくて、本当に中身全部書いてしまっているので、よく文句を言われないな、という気は少ししますけどね。全部書くのは基本的に自分のためにまとめてるから。

こういう本が出てくるのはわからないではないけど、でも、読まされる方も困っちゃうな。

えっ、読まなければいいって? そこが貧乏性なので、とりあえず全部読むんですよ。読まない自由はわしはなかなか行使できません。(苦笑)

★★☆☆☆

 

新ジャポニズム産業史 小ネタ

新ジャポニズム産業史」を読んで思い出した小ネタを書く。

たぶんほとんどの人はこの本を読めば自分はどうだったかな、と考えるんじゃないだろうか。そしてなにか思い出すのではないだろうか。

わしはポケットモンスターのアニメについて読んでいて、ちょっと感慨にふけってしまいました。この本ではほんのちょっとしか述べられていないんだけど。

じつは10年くらい前に、アニメのポケットモンスターの構成、脚本を手掛けていた首藤剛志が亡くなったという新聞記事を見つけたことを思い出したのです。

首藤剛志の名前は「魔法のプリンセス ミンキーモモ」で知りました。80年代の1期のやつですね。たまたまミンキーモモを見て、なぜか気になって時間が合えば見るようになりました。

なんかこれってすごいんじゃないの、という気がしてたんですね。どこか戦略性を強く感じました。で、首藤剛志の名前もこのときに知ったのです。

もちろん、最終回も見ました。最終回に物議をかもして記憶に残る作品になったものって結構ありますよね。(興味のある方は、「ミンキーモモ 最終回」で検索)。

でもまあ、別に追っかけていたわけでもなく(だって別にアニメオタクじゃないですからね(苦笑))、久々に死亡記事で名前を見たという次第です。

ちなみに90年代のミンキーモモの2期は見ておらず、ポケットモンスターをやってたこともこの記事で知ったくらいです。

でもミンキーモモから20年以上たっていたのに、まだ名前を覚えていたわけですから、そうとう印象に残っていたということです。自分でもすごいと思いました。

これは首藤剛志が職人としてきっちり仕事をした上で、なにかフックのある作品を作り続けたということを意味しているのでしょう。ともあれ、アニメ関係でいろいろ有名人はいますけど、首藤剛志ミンキーモモただ1作でわしの記憶に残ってしまいました。

うん、いや、まあ、ただそれだけなんですけどね。なんか首藤さんの名前を残しておきたかったの。

ちなみに妻はわしをアニメオタクと信じているようですが、ぜんぜんそうではありません。妻は結婚後、わしが「涼宮ハルヒの憂鬱」とか「魔法少女まどかマギカ」を熱心に見ていたというだけで、そう決めつけています。だけど、どちらもアニメというジャンルを越える傑作でしょ? ああ、「アキラ」も繰り返し何度も見てあきられてるけど。それに「Re:ゼロ」とかも見てるけど、べつにこのくらいではオタクと言えないでしょう。

それにしてもアニメ以上に本を読み漁ってるのに、読書オタクとは言われないのはどういうことなんでしょうか。

 

新ジャポニズム産業史 1945−2020

マット・アルト 訳・村井章子 日経BP 2021.7.26
読書日:2021.9.19

80年代のアメリカで日本の文化に耽溺して成長した著者が、戦後の日本文化がいかに世界、特にアメリカに影響を与えてきたかを検証した本。

いちおう2020年まで書かれているけど、中身のほとんどは本人が経験した80年代のアメリカに関係したエピソードが大きく取り上げられているのは、まあ、仕方がありません。

取り上げられているのは

・1945−1990まで おもちゃ、アニメ、カラオケ、キティなどのかわいいデザイン、ウォークマン
・1990−2010 女子高生、アニメ新世紀、ゲーム、2ちゃんねる
・2010年代 とくに何もなく総括

などだが、1990−2010年の話をしていても、すぐに80年代に戻ってしまっているので(特にアニメとゲーム)、ほとんど80年代を書いた本だと言ってもいいくらいです。日本人ならいまさら目新しいことはないですが、どんなふうにアメリカに影響が及んだかというのは、まあ面白いかもしれない。

とはいえ、戦後直後の模型のおもちゃを開拓した小菅さんとか、カラオケの発明者が何人もいるとかは全く知らなかったので、そういうところは面白かった。

おおむね明るい話が多いけど、このなかで異質な感じがするのは、2ちゃんねるについて述べたところ。ちょっとアニメやゲームにくらべて熱量が足りない気がする。たぶん本人は、さほど2ちゃんねるの文化にのめり込まなかったのじゃないかな。

もちろんきちんと調べてあるが。

それに他の文化が明るくて、輝かしい頃の日本を代表しているのに比べて、2ちゃんねるは低迷する日本を表している上に、アメリカに与えた影響の書き方もかなり暗いということもある。

なにしろ、2ちゃんねるを真似した4chがアメリカで誕生したが、その文化は結局、トランプを生んだ貧困層の白人を惹きつけて、トランプ大統領の誕生や人種差別の激化にもつながったかのように書かれているのだ。

やっぱり人種差別につながるように書かれると暗く感じる。

たしかに、匿名掲示板の文化が日本由来で、白人貧困層のトランプ化を用意したということはあるかもしれないが、これが日本文化の影響と言われてもちょっとピンとこない。プラットホームは日本の文化だったかもしれないが、匿名掲示板はなんでも入る入れ物だから、もともとアメリカにあった人種差別の要素が入っただけだろう。

まあ、いろいろあるが、日本の文化は常に世界の一歩先を行っていたというのが著者の主張だ。だが、今後も一歩先を行き続けるのか著者も確信はないようにみえる。

そこで、わしが持ってる今後の日本の印象を書いておこう。

少子高齢化がこれまで日本を暗くしてきた。しかし、今後は少子高齢化なのになぜか明るい日本が話題になるのではないかな。日本はすでに気分的に少子高齢化を脱出しているのではないかと思う。現実にはこれからますます悪くなるわけだが、気分のほうが先に転換しているような気がするのだ。もうそれは分かったから次にいこう、てなノリで。そういう意味では日本はやっぱり一歩先を行ってる。

えっ? 楽観的すぎる?

知らなかったんですか。投資家のわしは常に楽観的なんですよ。

★★★☆☆

 

アクセスランキング 2021.9.19

非常にアクセス数が少なく(みなさんご想像の通りです)、駄文を書き散らしているこのブログですが、1年も経つと、さすがに何やら薄っすらと変化というものが現れてきます。

そうです。アクセスランキングが変わるのです。

アクセス数の多い他のブログでしたら、毎日のように変化するんでしょうけど、わしのところはそんなに注目記事が変わることはないのです。でも1年経つと結構変わります。

まあ、おおむね、上位5位は「注目記事」と一緒なので、目新しくはないでしょうが。

しかしですねえ、大きな変化といえば、1年前はGoogleからのアクセスがほぼなかったんですよ。ほとんどがbingからでした。ところが、いまはGoogleが逆転しています。Googleにやっと認められたんでしょうか。

実は特定の記事に中国からのアクセスが多いんです。なんなんでしょうか。

ともかく、ランキングです。2019.9.19時点でのランキングです。

1位 全裸監督 村西とおる

このサイトは経済学とか、未来学とかそんなことをテーマにしていきたいのですが、やっぱりこういうのが人気集めちゃうんですね。好きな作品ですから、いいんですけど。これは圧倒的にGoogleから来てます。

www.hetareyan.com

2位 財政赤字の神話 MMTと国民のための経済の誕生

うーむ。さすがにこのサイトの訪問者たちはお目が高い。MMTとは言われないまま、いま世界ではMMT的な政策が実行されつつあり、今後この本はますます注目を集めるでしょう。

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3位 グレッグ・イーガン順列都市」の<塵理論>について

順列都市」はずーっと読まれている本で、読んだ人の頭がかならず???になる作品ですから、この記事もずーっと読まれ続けるんでしょうかね。ロングセラーでありがたいです。中国からこの記事にアクセスが多いんですが、日本語が読めるんでしょうか?

www.hetareyan.com

4位 われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか 進化心理学で読み解く人類の驚くべき戦略

社会脳仮説を調べようとしてこの記事に来られる方が多いようです。社会脳仮説、来てるんでしょうか。

www.hetareyan.com

5位 情動はこうしてつくられる 脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

最近アクセスが減ってるんですけど、これも長く読まれている記事ですね。

www.hetareyan.com

6位 LIFE3.0 人工知能時代に人間であるということ

これも長く読まれていますね。マックス・テグマーク、最近ますます名前を聞くようになってきましたね。そのせいかアクセス多いです。

www.hetareyan.com

7位 反脆弱性(はんぜいじゃくせい) 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

うーん、この本がランキング入りするとは、しぶすぎる。長く読まれてほしい本ですよね。

www.hetareyan.com

8位 デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

この本がなぜランキング入りするのか、じつはさっぱり分かりません。栗城史多ってそんなに有名な人でもないような気がするし、なにしろ読んでいて痛い本だし、それともその痛さが人々の関心を呼んでいるんでしょうか? 

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9位 三体Ⅲ 死神永生

三体がランキングに入るなんて、本当かなあ。じつはこれも中国からのアクセスが多いんです。それにしても、わざわざ中国からなぜ日本の弱小ブログにアクセスするのか、やっぱり分かりません。

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10位 最も賢い億万長者 数学者シモンズはいかにしてマーケットを解読したか

最強のファンド、メダリオンが10位を獲得。いやほんと、メダリオンすごすぎますからね。ぜんぜん日本では有名じゃないと思いますけど。

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同率10位 マーダーボット・ダイアリー

いやうれしいなあ。だって弊機、好きなんだもん。はやく続編が読みたいなあ。図書館の予約が埋まらなきゃいいけど。(やっぱり借りて読むのか(笑))

www.hetareyan.com

ではみなさん、今後もよろしくお願いいたします。
1年後にまた会いましょう。

 

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