クルベウ 訳・藤田麗子 東京ダイヤモンド社 2021.4.13
読書日:2021.9.22
がんばっても結果ができないときは、一度休んでから新たな道を目指そう、と自己再生を呼びかける本。
最近、韓国系のこうした自己再生を目指すコーチング的な言葉を綴った本が熱い。おそらく韓国の民衆レベルの現状が厳しいからだと察せられる。
たとえばこんな言葉が書かれてある。
人生は長いから、今日1日ぐらい無気力でも大丈夫よ。
明日も明後日もやる気ができないように思えても
絶対にそんなことはないから。
なるほどねえ。
以前読んだ、「あやうく一生懸命生きるところだった」は完全な脱力系だが、この本では再生を目指しているのであり、いったん休むとしても再び歩みだすことが前提で、基本的には、頑張れ!系なのだ。なので、ちょっと厳しめの言葉もある。
たとえばこんな感じ。
何事も一生懸命にやらない人はいつまでたってもがんばれず、
がんばる人はどんな環境や状況に置かれても努力を続けて、
結果を出します。
(略)
もしあなたが自分を変えたいと思っているのなら、
いま変わらなくてはなりません。
いますぐには変われない?
それでは一生変われないでしょう。
人はなかなか変われないんだそうだ。まあ、そうだけど、なんで変わらないといけないんだ、という気もするけどね。
人間関係では、その関係を終わらせることの勧めも多い。まず自分を疲れさせるような人とは付き合ってはいけない、とか、人生は短いのだから、気の合わない人と付き合っている時間はない、とか。
これは恋愛でもそうで、安心と自由を天秤にかけて、割に合わないのなら関係を断つこともよいという。
そして仕事をするのなら自分のしたいことをするように勧めている。とくに若いうちは失敗してもいい頃なのだから、チャレンジを勧めている。
お金に関してもそうだ。とくにビジネスでは他の人を非難することなく信頼できる人間であることが成功の秘訣らしい。信頼と安心だ。
装丁のイラストもとても良い。女性と女性を守って包み込んでいるトラの左目に青く輝くインクのリングが描かれていて、まるでそれが涙にも、もう一つの世界を見つめる魔法の目のようにも見える。
なんでトラ?という気もするが、韓国的な発想では、内なる自分はトラなのかもしれない。
ちょうど仕事が切羽詰まっているときに読んだせいか、けっこう心にしみてしまった気がする。
でも読んでいるときも思ったけど、元気になったらまたがんばるんじゃなくて、ずーっと逃げっぱなしじゃだめなんですかね。それでもぜんぜんオッケーだと思うんですけど。あなたはいまちょっと疲れているだけ、とかいわれて、また激しい競争に送り込まれるのはちょっとなあ。(笑)
また愛についての文はどうかなと思う。わしは幸福という概念は信じないし、愛も基本、信じてないです。どっちもヨーロッパの概念ですからね。
ああ、9月はたくさん仕事したなあ。10月は少しゆっくりできますように。
★★★☆☆