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病の神様 横尾忠則の超・病気克服術

横尾忠則 文藝春秋 2006.4.25
読書日:2023.1.6

病気と常に向かい合っている横尾忠則が、病気との付き合い方を述べたエッセイ。

原郷の森」が、よくはわからないが、なぜか印象に残り、横尾忠則に興味が湧いたので読んでみた本。

いまもいろいろ身体の不調を訴えているらしい画家の横尾忠則ですが、なんか生涯にわたってずっとそうだったらしい。しかし、このエッセイを読むと、なにこれ、というのが多くてびっくり。

歩けなくなったり、痛みに苦しんでいて、仕事にも生活にも支障が出て、仕方なく医者に行くと、「どこも悪くありませんよ」と言われて、その場ですぐに回復する、という系統の話が多すぎる。

単なる思い込みじゃん。すごいのは、病は気からという水準をはるかに凌駕していることか。(苦笑)

本人も、自分は病気に対する執着が強すぎると言っている。一度病気になると、その病気を手放したくなくて、ずっと手元に置いときたくなり、そのせいで症状がなくならないのだ。そりゃ、あっという間に全快するのもあたりまえだ。

しょっちゅう具合が悪くなって、その時はまるで今にも死にそうな勢いなんですが、突然ある食べ物を食べると治るとインスピレーションが湧き、妻に急いで買いに行かせて、食べたら本当に全快する、なんてこともかなりの頻度であるらしい。マロンクレープとかスイカとか、その時々でいろいろらしいが、ともかくその予感は当たるという。

当たるっていうか、どうせ気分から起きた症状でしょうから、気分で選んだ薬が効くのは当然な気がしますが。横尾さんの妻になるって、大変だなあ。

しかしながら本当に入院するはめになる事態にもさんざん陥っている。10年に1回大病を患うそうだ。しかし、入院すると世間から受けるストレスから開放されて、かえってがんがん病室で仕事をしたりする。入院を機会に新しい方向転換を決意することもある。たとえば休業宣言をしたり、デザイナーから画家への転身がそうだったらしい。

どうしようもない老化によるものもある。耳鳴りと飛蚊症に悩んでいるそうだ。いやー、これって、横尾さんだけでなくて、老化のあるあるだから。

喘息が持病で、観劇なんかで咳がでて周りに迷惑がかかると恐縮している。喘息は確かに苦しそうだ。喘息は生涯、治癒しないそうだ。

でもなんとなく、喘息も執着心の為せる技で、医者から治らないと言われて、安心して執着三昧している気もしないでもない。

一番、大変なのは不眠だそうだ。よく眠れた日は、筆の乗りもいいし、気分爽快だそうだ。そりゃそうだ。不眠もなんかも精神的な影響が大きそうだけどね。

横尾さんは死後の世界を信じているので死への恐怖はないそうだが、生きている間の病気については恐怖を感じるようだ。痛いとかの、つらい症状が嫌らしい。

まあ、自分自身で病気を作り出している気配も濃厚なので、一生、病気と付き合っていただければと思います。

でも、あんなに甘いものをたくさん食べても、糖尿病の気配はまったくないそうで、その辺は羨ましいな。こっちは糖質を制限している身だからね。もしかしたら病気どころか、むちゃくちゃ健康なんじゃないの?

★★★☆☆

 

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