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認知バイアス事典 世界と自分の見え方を変える「60の心のクセ」のトリセツ

情報文化研究所(山崎咲紀子/宮代こずゑ/菊池由希子) 監修・高橋昌一郎 フォレスト出版 2021.4.26
読書日:2022.4.12

いろいろな認知バイアスを論理学、認知科学社会心理学から20ずつ全部で60を集めて解説した本。

事典ということになっているが、最初から順番に読んでいっても面白かった。

1番目の「二分法の誤謬」からいきなり頭が痛い状況になった。この認知バイアスは、AかBかという2つを対比させて選択を迫られた場合、他の可能性に思い至らないという認知バイアスだ。

本の例では、「この壺を買えば、不幸にならない」と言われたとき、その反対の「壺を買わないと不幸になる」という、壺を買うか買わないかの2項対立のように見えるが、じつはほかの可能性もあり、そこに目が向かないという認知バイスだ。

このとき見逃している可能性は、「壺を買っても不幸になる」「壺を買わなくても不幸にならない」という他の2つの可能性を無視しているのだという。

このようにたくさんの可能性があるにもかかわらず、二者択一の選択を迫られる場合は、この認知バイアスを相手は利用している場合があるので、気をつけるべきだという。この可能性の組み合わせの数は、項目数の数がn個なら、(2のn乗)を計算してみればわかるという。上記の例では、n=2だから、4つの組み合わせがある。

さて、どうしてわしが頭が痛くなったかというと、このブログでもこのような二者択一ふうな議論をよく組み立てているからだ。こういう可能性もある、こういう場合もある、と可能性を全部あげていくと、読んでいてちっとも面白くない。どうも議論がぴりっとしないのだ。なので、ポイントを絞った議論をしなくてはいけなくなる。

そういうわけで、このブログを読んでいるみなさんは、わしがわざとそういうふうに議論を組み立てていることを念頭において読んでいただければと思います。

他にも、チェリーピッキングの誤謬(自分に都合のいいデータだけを取り上げる)とか、ギャンブラーの誤謬(同じ目が続くと次に反対の目がでる可能性が高くなると考える)とか、希望的観測(好ましい結果の方が起こりやすいと考えること)とか、投資家として頭が痛すぎるものもある。

他にもあげていくと、心的バイアス(先入観に左右される)、確証バイアス(仮設に反する情報は認知しにくい)、迷信行動(偶然おこったことに因果関係があると考える)とか、世界公正仮説(良い行いには良い結果が、悪い行いには報いがあると考える)とか、こういうものも読んでいて頭が痛くなる。

面白かったものをもうひとつあげよう。チアリーダー効果だ。

これはチアリーダーのように集団になっていると、一人のときよりも魅力的に見えるというバイアスで、なるほどたしかにそんな気がする。

これはなぜかというと、集団になっていると一人ひとりをじっくりと吟味できないので、個性が平均化されるからだという。魅力的な容姿というのは、バランスがとれた平均的なものになるということがわかっていて、集団だと一人ひとりの個性が平均値のほうに引き寄せられるから魅力的に見えるのだそうだ。

なるほどねえ。だから芸能界でもグループを作るのかな。

この本を読んだところで、認知バイアスからは逃れられないかもしれませんが、知っておけば役に立つかも。しょうがないよね。人間って、そんなふうにできているんだから。

★★★☆☆

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