田中修治 幻冬舎 2018年8月
読書日:2019年9月19日
この本はベストセラーなんだそうだ。オンデーズの話はテレビ東京のカンブリア宮殿にも出ていたので、読んでみることにした。
借金が14億円あり、事実上の倒産状態のオンデーズを田中さんが買ってから再生して債務超過状態を脱するまでの話だが、眼鏡の話はあんまりなくて、ほぼ全編、資金ショートをいかに切り抜けてきたかという話である。
数千万円、数億円の資金ショートが続いてギリギリで切り抜けているのに、なぜか投資のチャンスがあると無謀とも言える投資をしてしまい、また資金ショートに陥るという、成長企業にありがちな話が延々と続く。
これからもオンデーズの成長は続くのだろうが、すでに債務超過を脱したのだから、明日会社がなくなるかもしれないというひりひりした緊張感はなくなるだろう。事実上、冒険(ベンチャー)時代は終わったのである。
読んでいて、既視感があった。最近似たような話を読んだなあ、と思いながら読んでいたのである。なんだっけと思っていたら、それはナイキのやっぱり創業者の自伝「シュードッグ」だった。フィル・ナイトもランチ代もないくらいの資金ショートを切り抜けてきたのである。本当にこの2冊はそっくり。もしかしたら意図的なんじゃないかと思うくらい。
これらを読むと、ベンチャー企業というのは、安定とは程遠いという印象を受ける。
しかしながら、それはこれらの企業が製造小売という業態だからだ。投資をしないと成長しないし、投資をすると資金がショートする、そんな業態なのである。しかしながら、過大な投資をせずに起業したり成長できる場合もあるのだから、普通の人はそういうふうにすればいいと思う。(たとえば、「しょぼい起業で生きていく」、なんかを参照のこと)。
いやもちろん、倒産するかしないかのひりひりした状況を味わってみたいとか、そうじゃないと生きている感じがしないという人は、やってみればいいと思いますが。
まあ、同じようなひりひり感覚はギャンブルでも味わえます。でも、企業経験は失敗しても何かが残るでしょうが、ギャンブルにはまって破滅しても、たぶん何も残りません。ギャンブルするくらいなら、投資のほうがまだましだと思いますので、ぜひ投資でひりひりした感じを味わってください。(笑)
★★★★☆
破天荒フェニックス オンデーズ再生物語 (NewsPicks Book)