ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

事実vs本能 目をそむけたいファクトにも理由がある

橘玲 集英社 2019年7月31日
読書日:2019年9月12日

なんか日々橘玲ばかり読んでる気がする。この本は、基本的に週刊プレイボーイに連載されているものをまとめたものだが、たぶん、ほとんど全てを読んでいる。プレイボーイを買っているわけではなく、橘玲のコラムはネットで人気で、あちこちで配信されているからである。なのに、本を買ってしまった。どういうこと? まあ、いくつかは読んでいないものもあるし、追記の記載もあるから、読むことが無駄ではない。

橘玲は自分で言ってるようにリベラルであり、リベラル的な発言が多い。そしてリベラルは普遍的な原理に根ざしているはずなのに、というかそのせいか、深刻な矛盾に突き当たるもののようである。

例えば、リベラル原理主義者は「民意こそ民主主義のすべて」であるから、沖縄の基地問題では沖縄の人が基地はいらないと言えば、いらないのだ、と主張する。一方、韓国の徴用工の裁判で大法院の判決を韓国民の大部分が歓迎しているから、韓国の民意は「もと徴用工に賠償すべきだ」というものである。ところが、この判決に関しては日本のリベラルも反発しているという。そこで、橘玲は、リベラル原理主義者は沖縄の民意は認めるのに、韓国の民意を認めいない、これは外国人差別ではないか、と疑問を述べる。

わしはリベラル原理主義者でないので、このような葛藤は理解はできるものの、リベラルは大変だなあと思うだけである。リベラルは正義を根拠に議論を仕掛けてくる。すると、こちらとあちらにいろいろ矛盾が出てくるのであろう。リベラルを突き進めると、解決できない矛盾に突き当たってしまうのである。なかなかリベラルも大変なのである。

ところで、橘玲は韓国人の民意は認めるのに、日本人の民意は認めないのだろうか? 韓国と日本の民意が異なった場合はどうするべきだと考えているのだろうか? リベラル原理主義ではこの葛藤は解決できないであろう。

★★★☆☆

 


事実vs本能 目を背けたいファクトにも理由がある (WPB eBooks)

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