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反日種族主義 日韓危機の根源

李栄薫 文芸春秋 2019.11.20
読書日:2019.11.16

韓国の反日運動が根拠のないことを、韓国の歴史学者自身が実証的に明らかにした本。韓国では10万部を越えるベストセラーになり、昨今の日韓激突から日本でも緊急出版されました。

「種族」という言葉を使うのは、近代的な「民族」という概念に対して、いまだ韓国は民族というレベルになく、部族や種族というレベルだからだといいます。部族や種族の世界はシャーマニズムに彩られた物質主義の世界であり、このようなシャーマニズムの世界では嘘に寛容なのだそうです。

実際、韓国では嘘はすでに国民病と言っていいレベルになっており、偽証罪は日本の430倍、誣告(ぶこく)は500倍、保険詐欺はアメリカの100倍、アンケートによる「人は一般的に信頼できるか」という質問では26%でアメリカよりも低い水準だそうです。

こういうシャーマニズムが蔓延している世界では、その歴史に対しても何ら実証的ではなく、荒唐無稽の連続であり、韓国国内のローカルでは通用しますが(するのか?)、グローバルにはもちろんまったく通用しません。

そこで実証的な研究を行っている歴史学者たちによって、自国に蔓延している日帝に関する幻想の歴史が再検討されています。もちろん慰安婦問題や徴用工問題も再検討されるのですが、このへんは日本でもさんざん言われていることとほぼ同じであり、書いてくれて感謝はするけど、実際はあまり面白くありません。

どちらかというと、日本ではあまり知られていない、高校の教科書にかかれてある内容を検証した例の方が面白かったです。

でも、わしが爆笑したのは「鉄抗騒動」の話でした。

この話を理解するには、まず韓国人のシャーマン的な発想を理解しなくてはいけません。韓国人は国土を人間や動物の身体のように考えるのだそうです。現在では、朝鮮半島を虎に似せて考えるらしく、まるで朝鮮半島は大陸に向かって吠えている虎のような形状をしているらしいです。そして中国との国境にある白頭山が虎の頭であり、そこから気脈が地下を通じて各地から湧き出している、と考えるんだそうです。

さて、日本が朝鮮を併合したあと、当然のように朝鮮半島の全土の測量を行いました。昔の測量は三角測量であり、基準になるところに三角点を設置します。ところがこの三角点を韓国人は、「この杭は白頭山から流れる気脈を封印して、朝鮮から優秀な人材がでないようにするための杭だ」と思ったんだそうです。なので、韓国人たちはその基準点を掘り出して、ばらばらにしてしまったというんですね。日帝鉄抗による風水侵略、という伝説の誕生です(笑)。まあ、これは昔の話ですから、まだ分かります。

さらに時は流れて1990年代。金泳三政権は日帝の風水侵略に対抗すべく、日帝鉄抗を韓国からすべて除去する運動を起こしたんだそうで(苦笑)。その結果、全国から日帝鉄抗がぞくぞく発見され、除去されたんだそうです。それは日帝鉄抗ではなく、自分たちが縄を結わえるために打ったものだという地元民の言葉も無視されて、日帝鉄抗と断定され、盛大な風水のセレモニーとともに除去されたものもあったそうです。あまりのバカらしさに呆然としますね。

まあ、こういう愉快な話もありますが、全般的にあまり面白いと思えない本です。単に実証しているだけで、個人的に有益な内容があると思えません。でも、韓国人自身がそれを知らしめているということから政治的には有用ですから、ぜひ英語版も出してほしいですね。欧米のマスコミが韓国の言うことを真に受けて、デタラメを垂れ流しているのにはもううんざりですから。

また、こんな本を出した著者の歴史学者の皆さんが、韓国国内で不当な目に合わないことを願うばかりです。

韓国はもう先進国と言ってもいいのだから、はやく考え方もグローバルスタンダードになってほしいなあ。無理でしょうか?

個人的にはあまり面白くなかったけど、意義がある本ということで、評価は高めです。

★★★★☆

 


反日種族主義 日韓危機の根源 (文春e-book)

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