大野正人 文響社 2018.04.27
読書日:2019年9月11日
子供向けの自己啓発本みたいなもの? 偉大と言われている人でもダメダメ人間で失敗をしてるから、君も失敗しても大丈夫だし、この本を読めば失敗によるダメージからの回復方法も教えちゃうよ、という本。
まあ、知ってる話も多かったので特に驚きもなく、それなりに面白く読みましたが、最初のライト兄弟の失敗には考えさせられることが多かった。
この本によると、ライト兄弟の失敗は、飛行機の開発に成功したあと、あとを追いかけてくるライバルたちに特許裁判を仕掛け、裁判にかまけているうちにライバルのほうが良い製品を出したので、ライト兄弟の優位性がなくなり、飛行機事業から撤退せざるを得なくなったというもの。じゃあ、どうすればいいかと言うと、全てを自分たちで独占しようとせず、仲間づくりをすべきだった、という。
これは納得できる話だが、考えさせられたのは、発明というものは、本当に画期的な発明をすると、特許なんか無視されるということだ。
たとえば世界初のジエチルエーテルを使った吸入全身麻酔はアメリカのモートンにより発明され、特許も取得したが、世界中の医師により無視された。目の前に助けなければいけない患者がいるのに、特許がどうしたなどとは、どうでもいいことだったからである。しかも、南北戦争のときには多数の兵士の手術をしなければならなくなり、特許を管理しているはずのアメリカ政府自身に無視された。
飛行機もあまりにも画期的だったため、無視されたのではないかと思うが、やはり仲間づくり、組織づくりをしてそれなりに皆と成果を分かち合えば、ライト兄弟の事業は生き残ったのではないかと思う。
インスタントラーメンを発明した安藤百福は類似品を作るライバルに特許紛争ではなく、業界団体を作る方向で解決した。仲間づくりの方が有効であることを示している。
★★★☆☆