アンドルー・ホッジス 勁草書房 2015年2月25日
読書日:2016年02月29日
コンピュータを構想したアラン・チューリングの伝記。
チューリングはコンピュータ業界では有名な人だと思っていたので、この本のあちこちでチューリングが世間的に知られていないことが述べられていたのでびっくりした。実際にはこの本が出版されてからようやく認知されたらしい。さらに知らなかったがこの本は30年前以上前の出版なのだった。もしも映画が作られなかったら、翻訳されたかどうかも怪しいものだった。それまで有名でなかったのは、国家機密のエニグマ解読に関わってその仕事ぶりがあまり公開されなかったことも影響していたのかもしれない。
しかしなあ、こいつもゲイなんだよね。なんか自分が関心持つひとにゲイが多すぎるのに少々うんざりする。(ちなみに著者もゲイ)。
上巻は子供のころとケンブリッジに入って、計算可能性の理論や万能機械で現在のコンピュータの概念に相当するチューリングマシンを構想するまで。下巻は引き続き暗号の話が続くんだが、正直に言って、エニグマあたりの話はあまり面白くない。
下巻の後半はようやく計算機械(コンピュータ)作って、人工知能が作れるかどうかの議論に入って、ようやく面白くなってきたなあ、と思ったら同性愛で逮捕されて、そして落ち着いたな、と思ったら自殺してしまう。なんか、今日あたり死ぬにはいい日だな、という感じでなんら死ぬ前兆もなく死んでしまう。自殺したとは知らなかったので、かなりショックでした。
なにか物悲しいけど、でも全体としてみれば、まあまあの一生だったんじゃないかな。孤独は孤独だったんだろうけどね。
映画の方(イミテーション・ゲーム)は動画配信で観たけど、まあ悪くはないけど、やっぱりゲイの苦悩が中心なんだね。治療のためにホルモンの薬剤投与するとか、あの頃はむちゃくちゃすぎる。そもそもゲイが病気と見なされていた時点で理解できない。
★★★★☆