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ネオ・ヒューマン 究極の自由を得る方法

ピーター・スコット・モーガン 訳・藤田美菜子 東洋経済新報社 2021.7.8
読書日:2021.11.20

運動ニューロン疾患(ALS)と診断された著者が、自らをサイボーグ化することによって、究極の自由が得られると主張する本。

ALSにテクノロジーで勝つというのはなかなか斬新な発想です。本来ならば、実際にどのくらいサイボーグ化できて、どのくらい自由を得ているのか具体的に知りたいところなのですが、本書を読む限り、サイボーグ化に賛意を示す自分のチームを集めて、声帯摘出手術の前に恋人への最後の言葉(もちろん「愛しているよ」ですが)を出したところで現実の方の話は終了しています。

そのあとは2040年の未来にいきなり飛んで、自分が死んだあと、AIが彼の意思を受け継いで第2のピーターが仮想空間に存在して恋人フランシスと会う架空の話が書かれています。ですので、今プロジェクトがどうなっているのか、この本ではわかりません。

ドキュメンタリーや映画の話も進行しているようなので、そちらで分かるかもしれませんが、ともかくこの本ではわかりません。

話のほとんどは、自分がゲイで、恋人のフランシスに出会ったことなど、これまできた人生のことを述べています。しかも二人はイギリスで初めて法的に夫婦になったカップルのようで有名人らしいですから、まあ、それなりに面白くないわけではありませんが、わしの関心はやっぱりサイボーグ化に向いてしまいます。

ALSになってテクノロジーを駆使した有名人といえば、ホーキング博士になるでしょうが、ホーキング博士のときとどのくらい進歩したのでしょうか。

まずホーキング博士の場合は、無機質なコンピュータ音でしたが、ピーターの場合は自分の声のデータを保管しているので、より自然な自分の声を使って声を出すことができます。(もっともホーキング博士の場合は、あの声が有名になったので、自然な声を出せるようになっても、そのままにしておいたようです)。

それから精巧なアバターを生成することもできます。その画像でひとと話をすることは可能でしょう。アバターは世界中にモニタ上に自分を出現させることが可能なので、出張もできます。

コミュニケーションのスピードですが、動かせるのは目だけのようなので、目を使った入力になりますが、AIを使って文章化を助けることができるので、複雑な内容でなければそれなりのスピードでコミュニケーションを行うことはできそうです。

ALSになったときに死ぬ確率が高いのは、誤嚥性の肺炎とか、喉になにか詰まったときに自分で吐き出せないことらしいです。そこで、声帯を除去して人工呼吸器を肺に直結、栄養の方は食道を切り離して直接食料を胃に送るようにして、死ぬ確率を減らします。また直腸を除去し人工直腸、また膀胱にもカテーテルをつけて、自分の力で排泄をしなくてもいいようにします。

また、車椅子をロボット化して、例えば立てるようにもしているみたいです。最後のスピーチで立ち上がって見せ、スタンディングオーベーションを受けたことが書いてあります。ほんまかいな、という感じですが、この機能がそんなに重要なのかいまいちよくわかりません。

自分の分身のようなAIの構想について書かれていますが、現実の技術はそこまで達していないでしょうから、構想段階でしょう。究極の自由とは、このAIを使った意識のコピーのことを示しているようです。ここでは実物の記憶のアップロードではなく、AIを自分と同じようになるまで育てることを指しているようです。本人は意識を直接コピーすると、コピーするときに物理的な脳は破壊されると確信しています。

さて、こうなると、ホーキング博士の頃からは進歩しているでしょうが、どうもあんまり進んでいないという気もします。でも、必ずしもALSだからといって、悲観しすぎることもないことを示せたのは良かったのだと思います。

ネット記事によると、最後の手術をしてピーター2.0になったのは2019年11月のようです。それから2年経っていますが、本人は元気に活動しているようですから、それなりにうまくいっているのだろうと思われます。

実際にどんなふうなのかはよくわかりませんが(苦笑)。

(2021.11.28追記)

2021.11.24のNHKのクローズアップ現代+(プラス)で、ピーター2.0の実物が出演したので、現在どんなふうなのか見ることができた。まあ、本に書いてあったとおりでしたが(当たり前か)、恋人のフランシスと甥のアンドリューも出演したので、彼らも見ることができた。いまのところはさほどのバージョンアップはされていないようですが、このチームの成果が現れるには、数年はかかるでしょうね。わしとしてはどのくらいのスピードでコミュニケーションがとれるのか知りたかったのですが、そのへんは編集とか予め質問の回答を入力していたとかで、よくわかりませんでした。残念。

とりあえずはピーターは生きていますが、なにかちょっとした事故で命を失う危険性もあると思いますので、周りに人たちは気が抜けないでしょう。何年後かにバージョンアップした姿を見ることができればいいのですが。

 クローズアップ現代+ ピーター2.0 サイボーグとして生きる 

https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4611/index.html

★★★★☆

 

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