鈴木涼美 幻冬舎 2016年12月6日
読書日:2019年2月21日
この本は長らく読むべき本リストに残っていて、でも全然読もうとしなかったのですが、どこかのネットのコラムで、この本を読んで考え方が変わった、影響を受けた、とかいうような話がぽろっと書かれていて、だったら読んでみようかと思って読んだものです。
しかし、実際に読んでみると、頭の中に???が乱れ飛びました。夜の街に身を投じた作者やその周りの女の子、男たちのことがいろいろ書かれているのですが、なんかとっても普通です。だって、女の子(男の子でもいいけど)が自分のキャリアというか人生というか、そういうものを、一時的であれ恒久的にであれ、汚すような行動をとるのは、よくあることでまったく珍しいことでも何でもありません。恋愛や友情とかの話もなんか普通。
まあ、この業界の普通の女の子には、このように文章に表現することはできないでしょうから、高学歴で教養もある彼女がそこにいたこと自体が、貴重なのかもしれませんが。
関係ないですが、わしはポストモダンの思想はまったく評価していないし、どちらかというと嫌ってるので、文章中に構築とか脱構築とかの言葉をさらりと混ぜられても、わしには逆効果です。というか、私ってこういうのも読んでるわよ感があって、ちょっとイタイ。
ちなみに文章力は相当高いレベルで、踊るような巧みな文章と書かれている中身とのギャップがかなりあり(つまり中身あるんだかないんだか状態)、そこは素直に楽しめました。
最近人間がスキャンされ情報空間にアップグレードされた時に何が起こるか興味を持っているのですが、そういう電子世界ではこういう生々しい感覚は保持できるのかしら、とふと思いました。
★★☆☆☆