高野秀行 小学館 2009.1.13(文庫版)
読書日:2022.6.1
高野秀行が世界の辺境で経験した、ありえない経験をつらつら書いた爆笑エッセイ。
いやー、特に何かあったわけではないが、なにか気分が優れないときには高野秀行の本を読むに限る。まあ、アマゾンがむちゃくちゃ安い値段を提示してきたので、思わず買ってしまったものだが、長らくこの快感を忘れていたなあ、と一気読みした次第です。
しかし、コンゴでの初体験の「追記」の部分で、思わず二度読みしてしまった。わしはサルなんかで、メスは熟女の方がモテるという話を読んでいて、その辺が若い女性に価値がある人間と動物の違いだと思いこんでいた。
サルの場合は、子供が産めることの確実性が大切で、その点、熟女は子供を産む健康さと育てる技術が確実なので、モテるということだった。なにしろ遺伝子を残すことが最も大切なのだから当然である。
逆に、人間の男は若い女性のほうが好きという暗黙の了解があると思いこんでいた。橘玲も、人間の女性にはエロチック資産を持っていて、その資産価値は歳とともに少なくなっていく、と書いてなかったっけ?
ところがアフリカでは、女の子は初体験を済ませて、子供を産むとモテモテになるという。理由はサルと同じで、子供を産めることが確実だからだ。
そういうわけで、女の子は意外にあっさりと男と関係を持って、シングルマザーになってしまうけど、そのほうが女の子の価値が上がるから家族は喜ぶというのがすごい。生まれた子供はその女性の弟、妹として育てられるのだという。
いやー、もしかしたらこのくらいゆるい方がいいのかもしれない。夜這いが普通だった昔の日本では、いったいどんな感覚だったんでしょうか?
というわけで、人間の価値観も普通に他の動物と変わらないんだということが確認できました(笑)。
しかし子供を持つことが負債と感じられるほど育てるのが大変な今の時代の方がおかしいのかもしれません。子供を育てるのが社会全体の責任、教育費も完全無料、というシステムを構築して、気軽に子供を作れるほうがいいんじゃないでしょうかねえ。ベーシックインカム(もしくは負の税金)と一緒に導入されませんかねえ。
ほとんどの世界のシワで体験できる大変なこととは、エロ、食べ物、排泄、病気、役人の腐敗、酒、お金、犯罪、思いがけないタブーですかね。
ああ、面白かった。
この本で唯一の問題は、せっかく電子本で買ったのに、文庫本からの画像ファイルでできていてフォントも大きくできないし、文字検索もできないってところですかね。電子本の意味ないです。
★★★★☆