ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

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想定外 アフターコロナは戦争の時代?

世界に非常に大きな影響を与えたコロナが、やっと”終わりの始まり”の様相を呈してきて、次はどんな時代だろうとみなが思っていたとき、ロシアのウクライナ侵攻で、にわかに戦争がクローズアップされています。

これに対して、アメリカ、ヨーロッパは反発していますが、制裁が弱すぎるともっとやってもいいという間違ったメッセージをロシアに与えてしまいますし、一方強すぎるとさらなる反発を招いてやっぱり侵攻するので、結局どんな対応をしても同じことなのかもしれません。

そうなると、ロシアの周辺国では自国だけでは対応できないリスクを減らすために、ますます同盟を強化する方向でしょうし、一方で同盟が強化されるとますます一触即発の危険が増すことになるでしょう。一番危険なのはウクライナNATOに加盟したとき、あるいはNATOの加盟国であるバルト3国への侵攻が現実味を帯びたときでしょうか。NATO加盟国にロシアが強硬な姿勢をとると、欧米は軍事行動を取らざるを得なくなります。

問題は中国がこの展開をじっと見ていることで、世界がなにもできないと判断すると、台湾への侵攻が現実味を帯びるので、非常に危険です。中国はついこの前もインドと紛争を起こしましたし、さらには共産党の内部抗争が戦争に発展する危険もあります。今年の秋には共産党大会がありますが、冬季オリンピックもいまいちでしたし、習近平の地位は盤石とは言えないかもしれません。中国はかつて内部抗争の結果として、ベトナムに戦争を仕掛けたことがあります。

このような状況は、まるで絶えず戦争をしていた19世紀のヨーロッパのようです。これは絶対的な覇権国家だったアメリカが衰退して、群雄割拠になった世界情勢を反映しています。アメリカが衰退する結果、このような状況になることは以前から分かっていましたが、事実としてそれを見せつけられると、対応困難な不確実性の高さに愕然とします。

さて、軍事行動に出ることは不可能なら、アメリカにできることは金融制裁しかありませんが、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication国際銀行間通信協会)からロシアを追い出すぐらいのことをしないと弱腰と見られるでしょう。ドル決済から追い出されると、当然、ロシアは中国の元決済システムCIPS(Cross-Border Interbank Payment System)を活用しようとするでしょう。いまのところ元決済は世界でも数パーセントしかシェアがありませんので、力不足ですが、これを機会にシェアを急激に伸ばすことも考えられます。

つまり、どうなろうと、この状況は中国に有利に働くでしょう。

それにしても、なぜ戦争を選択するのでしょうか。国を富ませようと思ったら、国民の教育を充実させ、技術開発を行い、投資環境を整えるなどをすることのほうが、国境の小さな地域を占領することよりもはるかに有益でしょう。

しかし、真面目に働いて富を蓄えるのではなく、一発勝負のギャンブルの方が魅力的な人がいるように、戦争というゲームは現状に不満を持っている人たちに訴えかけるものがあるのでしょう。

アフターコロナが戦争の時代になるとは、わしにはちょっと想定外でした。いや、想定に入ってはいましたが、実感していませんでした。この不確実性はわしには非常に不快で、特に今後の中国の出方に疑心暗鬼です。

ここで言えるのは、今後世界の軍事費用が伸びて関連企業の業績が向上する、ということだけです。ロボットなどの無人兵器への投資も伸びるでしょう。ネットを通じたサイバー攻撃が増えるので、ネット関連のセキュリティ企業もいいでしょう。

なんか大変な時代になってきました。

ともあれ、戦争とともに生きた19世紀のヨーロッパの人たちの生活感覚が参考になるかもしれません。そのへんの本を探してみようかしら。

 

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