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「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ

野口悠紀雄 角川新書 2018.6.10
読書日:2021.4.3

技術の加速化に従って知識の陳腐化が激しくなり、誰もが大学卒業後も独学で新しい知識を得る必要があると主張する本。

独学大全」を読んだ勢いで、野口悠紀雄の独学法も学んでおきたいと手に取ってみました。

野口さんは、わしが勝手に敬愛している経済学者で、けっこう動向をチェックしている人だ。わしはこの人から、暗号通貨や中国の統計に関する知識を学んだ。しかし、こうした知識も、野口さんは独学で得た知識をわかりやすく披露してくれるのだ。何てありがたいんでしょう。

野口さんについて感心するのは、常に一次資料に当たって自分で考えをまとめることだ。だからとても信頼できる。それにしてもいったいどうやってこんなに新しい知識を身に着けることができるのか。

この本を読んでびっくりしたのは、野口さんはもともと経済学者ではなかったのだ。出身は工学部で、大学では実験とかをしていたのだ。

なぜ工学部だったかというと、子供のころから顕微鏡や天体望遠鏡を手作りして、微生物や惑星を観測してたという理科系少年だったからだ。(もちろん、こうした知識は独学で得ていた)。

笑えるのは、天体望遠鏡で鏡筒をつくるのに苦労したので、いまだに筒状のものをみると、「望遠鏡に使える」と興奮するというくだりだ。この気持ちはよくわかる。

では工学部だったのにどうやって経済学者になったのか。経済の仕事をするには、その知識を持っていることが他人にわかることが重要だ。でもそもそも経済学部でなかったので、経済の仕事をするには経済の知識を持っているという証明書が必要だった。そこで取った手法が、経済の分野で公務員試験を受けるということだったというのだ。これで受かれば、経済の知識を持っているという証明になる。なるほど、これはすごく頭がいい。こんな方法が思いつくところがすごい。

もちろん、野口さんは経済学は勉強したことはなかったが、ここでは試験に受かることだけを考えればいい。そこで過去問を解くということだけをして、分からない言葉を経済学事典で調べるということをしたんだそうだ。

これもわかる。わしも学校の勉強はほとんどしなかったが、入学試験は過去問を解くという対応だけをして、入学しているから。なんか似てるなあ。

こういう勉強の仕方を野口さんは逆引きの勉強と言っている。

つまり、なにごともいちから学ぶのではなく、最短で目的を達成することを目指すということだ。この場合、学校のカリキュラムなんかがあると、非常に時間の無駄になる。だから、独学がいいのだ。

野口さんは英語も独学で身につけたが、わしは英語は身につかなかったなあ。英語で世界で仕事をするという気概が足りなかった。

野口さん、おすすめの英語の学び方は、全文暗記、だそうだ。こうすると、単語も他の単語とのつながりの中で覚えるから、定着度が高く、忘れてもその単語と一緒に覚えた単語を思い出せれば、目的の単語も芋づる式に思い出せるという。だいたいの文章は20回も繰り返すと、全文を覚えられるという。

英語も英語学校に行かないほうがいいという。なぜなら、仕事で使う英語は一般的なものではなく、その業界特有の単語が必要で、その単語を習得するということが英語で仕事をするということだからだ。場合によっては、専門用語の単語だけで、仕事が進むことがある。こういう英語を英語学校は教えてくれない。

あんまり英語はやる気がしないが、有名な演説を丸暗記するということはやってみたい気もする。スティーブ・ジョブスの有名な演説とかいろいろ音源やテキストがあるからね。そういうのを丸暗記するのはいいかも。

そして、ある分野を勉強しようと思ったら、わからないままでもとりあえず一番てっぺんまで行ってしまった方が良いという。なぜなら、いちど一番上までいくと、振り返ったときにどこが大切かわかるので、そこをもう一度復習すればいいのだという。

大切なところがどこかが分かるということは、非常なメリットで、大蔵省からイェール大学に留学したときには、図書館で課題図書を借りて、みんなが読んでいるところ、書き込みがあるところを探して、そこだけ読んでいたんだそうだ。こうでもしないと、英語以外の国の生徒はとてもじゃないがやっていけないという。

なるほどねえ。

それにしても、自分のお金で留学していないところが野口さんらしい。そしてそういう機会を最大限利用するところも。

もちろん、現代ではインターネットを駆使して、独学で最先端の知識を学ぶことができる。野口さんも暗号通貨のことは知らなかったが、インターネットで英語の論文を探して、独学したという。中国の経済についても、インターネットでオリジナルのデータを探し出して、独学している。中国語はできないが、幸い中国のデータに出てくる漢字は、日本人なら見ただけでなにが書いてあるか分かるという。

野口さんが学校へ行かないと学ぶことができないと言っているのは、踊りや楽器の演奏などの身体系の学問(これって学問なの?)だそうだ。まあ、たしかに独学は難しいかも。

野口さん、これからも学んだことを、わかりやすくまとめて教えて下さい。野口さんならきっと長谷川慶太郎みたいに、100歳まで仕事ができますよ。

★★★★☆

 


「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ (角川新書)

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