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哲学と宗教全史

出口治明 ダイヤモンド社 2019/8/8
読書日:2021.2.25

出口さんが世界を理解するために重要と考える、宗教と哲学の歴史と特徴をダイジェストしたもの。

ダイジェストと言っても、なにしろ全史ですから、450ページぐらいあります。大部ですが、逆によくこれだけの量にまとめられたなあ、と思います。1万冊以上を読破しているそうですが、その内容をしっかり身につけていないととてもこんなふうに明快に述べることは難しいでしょう。いったいどんなふうに読書をしているのでしょうか。

活字が大きいせいもありますが、中身はストレスなくスカスカ読めます。わしはあっという間に読み終わってしまいました。

出口さんは歴史全体を俯瞰されてるので、時代が遠く隔たる考え方を自由に比較して比べています。このへんが、特定の分野しか知らないタコツボ型の学者には書けないところでしょうか。

自分の意見を押し付けるというよりも、出口さんは読者を自分でこの広大な世界に入ることを誘っているのでしょう。だから、きっと、この本で最も有益なのは、最後に載っている参考文献リスト何ではないかという気がします。図書館に返す前に、ここだけは写真に撮って残しておきました(笑)。

この中では、わしはイスラム教と儒教(と墨子)が面白かったので、この辺をリストに従って深堀してみようかな。

わしは哲学の本をほとんど読んだ経験がないのですが、10代の頃にカントは読んだことがあります。家の中に誰も読まない哲学全集があったのです(笑)。しかし、わしはカントを哲学というよりは科学の本のように読んだのです。人間がどんなふうに世界を認識するのかという認識学の本として。

もちろん、カントの時代には脳科学の知識はなかったのですから、カントはまったく論理的な思考だけで探っていったのです。その論理の進め方には納得できるもので、わしはカントは正しいと信じました。そして思考だけでここまで分かってしまうということに、わしは驚愕しました。

後に、脳科学の本を読むようになりましたが、カントの時代から何も進歩していないのではないかという気がしました。ただ、技術の発展で、実験で確認できるようになっただけのように思えました。

そんなふうに読んだので、カントのその後の道徳的な部分とか、そんなところはまったく覚えていませんね。(そこまでたどり着かなかったのかも)。

さて、ここまで営々と積み上げてきた人類の宗教と哲学ですが、そろそろあらゆるパターンが出尽くした感があります。きっと新しい宗教や哲学が出てきても、過去のパターンの焼き直しになるんじゃないでしょうか。少なくとも、この本を読んだ人は、なんか聞いたことがあるなあ、という気になるんじゃないでしょうか。

★★★★★

 


【ビジネス書大賞2020 特別賞受賞作】哲学と宗教全史

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