銃・病原菌・鉄〈上・下〉―1万3000年にわたる人類史の謎

ジャレド ダイアモンド, Jared Diamond, 倉骨 彰 草思社 2000年
読書日:2011年06月06日

言うまでもなく、ジャレド・ダイアモンドの代表作。インカがスペインに征服された事件が発生した原因を、大陸ごとの発達の違いにまでの根本原因にさかのぼって考察し、人種的な違いによるのではなく、大陸ごとの違いがこのような原因を生み出したとする。ダイアモンド特有のねばっこい、しかし読みやすい語り口で、ぐんぐん読まされてしまう。

上巻を読んでいるうちは、初めて読んだのに、既視感があった。書かれている内容に知らないことがなかったのだ。もちろん、この本の書評を読んだことがあるので、だいたいの内容は知っていた。それでもほとんど知っていたというのは、1998年刊行(原書)のこの本があっというまに古典化し、あちこちで定説として、この本を根拠とした議論が行われて、知らず知らずのうちにこの本の内容を又聞きしていたからに違いない。おそるべき書物である。これほど短時間に定説になってしまった本書の威力はすごいのひとこと。まさしく現代教養人の必読書であろう。

一方、下巻の、ニューギニアやオーストラリア、アフリカの話は知らない内容が多く、非常に興味深かった。下巻ではユーラシア大陸のなかで中国がなぜ世界の中心にならなかったのかという重要な問題も考察されているが、まだ十分でないように思えた。だれかなぜ中国が世界を支配できなかったのか、納得できる考察をしてくれないかな。

日本語に関する記述で、日本人が漢字を捨てられない理由は漢字を使うことの優越感みたいのがある(正確に覚えていないがそんなふうに書かれていたかな)という記述はほほえましい。本当は、漢字かな混じり文は圧倒的に読むスピードが早いからだと思う。

★★★★★

 


銃・病原菌・鉄 上巻


銃・病原菌・鉄 下巻

 

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