ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

本を読む本

M・J・アドラー C・V・ドーレン 訳・外山滋比古 槇未知子 講談社学術文庫 1997.10.10(底本 日本ブリタニカ 1978.6)
読書日:2021.10.17

読書とは受け身ではなく積極的な行為であり、初級読書、点検読書、分析読書を経て、最終的にはシントピカル読書という段階を目指さなければならないと主張する本。

シントピカル(syntopical)という単語は初めて知った。どういう意味かというと、同じトピックという意味の造語らしい。つまり、同じテーマの本を複数読み合わせるということである。

当然、時代や国が異なる著者の作品も読み合わせるので、使っている言葉が違ったり、同じ言葉でも使っている意味や範囲が違ったり、いろいろ難しいことが起きそうだが、それを吸収して読み解くという非常に高度な読み方らしい。

大学のゼミなんかであるテーマについて課題図書を何冊も出されて次の講義までに読んでおくように言われた、そんな感じですかね。この場合、当然、それらの主張の違いもきちんと説明できなければならず、比べながら読むことになるんでしょうね。

でも、そんな読み方ってほとんど研究者じゃん。そんなふうに読むことが目標だなんて困っちゃうな。

シントピカル読書を行うためには、まず同じテーマの本を選出しなくてはいけない。本人も言ってるが、同じテーマかどうかは読んでみないとわからないし、すでに読んでいるなら新しい読書とは言えないから矛盾している。

だったらすでに読んでいる人に聞けばいいかというと、その人の見解を押し付けられる可能性があるので、それも望ましくないという。

ではどうするかというと、1940年に出版された「西欧名著全集」の索引である「シントピコン」を用いるというのである。これをみれば関連する名著同士の関係がわかるという、、、ってそんなこと言われても知らんがな。(苦笑)

現代でもシントピコンに相当するリストのようなものはあるのかしら。アマゾンのおすすめがそうだったりして(笑)。

しかし実際、この本の読み方を読んでいてなんか羨ましくなってきちゃったな。確かにこんなふうに読書ができたらいいかもしれない。

本に書き込みをすることを勧めているけど、図書館から借りた本ではそんな事はできませんね。それに返却期日までに急いで読まないといけないから、精読なんかはるか彼方の贅沢な話です。

本を読む前に急いで内容を大まかに掴んで読むに値するかどうか把握しなくちゃいけないというけど、わしの場合はほぼ新聞や雑誌の書評で読むに値すると判断して借り出していますので、そのへんは省略していいでしょう。

まあ、こういうのはなにかを主張する本とか、ノンフィクションの本の場合であって、文学は別の読み方をしなくてはいけないと言っています。その世界にまずは浸らないといけない、論理的に正しいかどうかではなくてその基準は美なのだから、というのは全くそのとおりですね。わしの意見では小説では飛ばし読み、速読はほぼ不可能なのではないかと思います。

まあ、わしの読書のレベルは、これを読む限りは、点検読書のレベルでしょうかね。とても分析的な読書をしているとは言えませんもの。2回読むこともほぼ皆無ですし。

著者によれば、ほとんどの本は拾い読みで十分で、本当に読むべき本は千冊、1万冊に1冊程度で、全部で数千冊だそうです。えっ? そんなに少ないの?(笑)

(メモ 読書のレベル)
・初級読書 本を読むことができるようになり、読書体験を自分のものにできる段階。
・点検読書 目次や序文、拾い読みで大まかな内容を把握したあと、表面的な読書を行い、本の内容を把握すること。大体の本はこれで済むという。
・分析読書 一冊の本をいろいろな角度から読み解いていく読み方。本の分類、骨格となる構造、著者の言葉の使い方・キーワードに注意を払い著者の意図をくみ取り最終的にはその意見を自分の言葉で言い換えて、最終的な評価を行うような読書。
シントピカル読書 複数の同じテーマの本を読み比べて、あるテーマについて複合的な知識、見解を得る。

★★★★☆

 

にほんブログ村 投資ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ