歴史で読む中国の不可解

岡本 隆司 日本経済新聞出版社 2018年10月10日
読書日:2019年3月27日

中国に関して、何か事件が起きるごとに、歴史学の著者が言葉を求められ、それに応えて書いた文章をまとめたアンソロジー。うまく編集ができていて、いちおう、読むと中国人の捉え方が少しはわかったような気になれる。

この本のまとめをいうと、結局のところ、中国の行動には長ーい過去のいきさつがあり、その歴史と19世紀に突然現れた西洋文明との間には齟齬が生じるのは仕方がない、ということろだろうか。

例えば領土である。

かつては中国は世界の中心で、周辺国との間には国境なんてなかった。そんなものはどうにでもなったからである。ところが近代になって西洋の列強に分割されそうになって、慌てて国境を定めた。それは死守すべきラインであり、中国人の考える自分たちの権威が及ぶと考える範囲よりもかなり狭かった。彼らの意識の中では、沖縄も台湾も東南アジアも入っていた。意識の上では属国全部を含む、とても広い範囲になるので、尖閣諸島や沖縄も自分たちの領土だと主張するのに特に違和感は中国人にはない、という。

役人の腐敗も、そもそも腐敗が中国社会のなかにビルドインされているという。

中国はずっと小さな政府であり、役人の俸禄はとても少なかった。その代わり、庶民から巻き上げるのを黙認していた。だから腐敗は、中国の不可欠の要素になっていて、今の共産党の中国でもそれは変わらない。ただ節度というものがあって、その時々でそこまでやったらアウトみたいな基準があった。豊かになると腐敗が進む社会構造が組み込まれているので、いい悪いの問題ではなく、程度の問題で、そこに近代国家の基準を当てはめてもうまくいかないという。

そのほか、中国は昔からずっと輸出超過の国だったから、貿易黒字は今に始まったことではないとか、また中国はテクノロジーになじめない組織構造をしているから、技術大国の状態を保てるのか疑問とか、書いている。

中華思想日清戦争の優しい解説があり、その辺も有益。

★★★☆☆

 


歴史で読む中国の不可解

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