ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

異形の超大国、中国をなんとしても理解しなくては---中国を理解するためにヘタレイヤンが読んだ本

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中国は、考慮するにも無視するにも大きすぎる国。

だが、なんとか片りんだけでも理解しないと、今後世界がどうなっていくか、想像することも不可能です。こういう場合、ネットが中心になった今でも、読書が手っ取り早いのは真実だと思う。とはいえ、そこはただのサラリーマン投資家に過ぎないので、読書の冊数自体が限られており、その限られたなかの何冊かを中国関連に振り向けることぐらいしかできないのですが。

その結果、読まないよりも確かに読んだ方が、今後の展開が想像できるようにはなってきました。やっただけのことはあると実感しました。

中国を理解するにはいくつかの視点から眺める必要があります。

 

(1)歴史的な視点

・貝と羊の中国人 

 細かい歴史の話はいいから、中国の歴史の展開するパターンを知っておく必要があります。中国は非常に豊かな土地ですが、それゆえに平和が続くと人口が増えすぎます。すると世の中がうまくいかず、乱れて戦乱になります。すると人口が減って、時には半分ぐらいに減って、それでようやく国が治まり、新しい王朝が始まるのだそうです。こういったパターンを繰り返してきたわけです。(なぜ一人っ子政策を中国共産党が進めたかよく理解できます)。このような変革の時に、中国人が持ち出すのが天の概念で、天命が誰のもとに訪れるのかは分からず、血統や身分の上下といったことはあまり重要になりません。したがって、身分の低いものが次の皇帝になっても良いのです。つまり立ち上がるのは民衆であり、民衆が立ち上がった時が、王朝の最大の危機となります。中国共産党が倒れるときは、中国民衆が立ち上がる時になるのは確かで、中国共産党はそれをもっとも恐れているでしょう。

毛沢東 日本軍と共謀した男 (新潮新書)

 では、今の中国共産党の統治は、過去の中国王朝と比べてどうなのでしょうか。それが見事に、過去のパターンに当てはまりそうなのです。毛沢東の愛読書は「資治通鑑」でした。これは最も詳しい中国歴史書と言えるもので、つまり毛沢東は、共産主義とかそういう理念で思考していたのではなくて、歴史的な視点から戦略を練っていたのです。資治通鑑には自分の保身ために、民衆を虐殺する話が大量に出てきます。これを教科書に政治を行うのだから、共産党は自らの存続のためには、何千万人を殺戮しても、躊躇することはないでしょう。

本当に残酷な中国史大著「資治通鑑」を読み解く

 毛沢東が愛読した資治通鑑の解説書。

 

(2)地政学の視点

 地理と軍事戦略が結びついた地政学だが、中国を地政学的にとらえるとどうなるのでしょうか。

100年予測 

戦略専門の民間会社ストラトフォーは地政学的に世界情勢の情報を売るのが仕事です。ストラトフォーの創立者が書いたこの本では、100年単位の世界覇権の展開の予測を行っています。中国も当然視野に入っており、地政学的に中国がどんな特徴があるのか理解できます。米国と中国を地政学的な見地から比較すれば、圧倒的に米国が有利になります。米国は大陸を東から西まで覆っており、北と南は友好国であり、超安定な構成になっています。(東と西に分裂していれば、非常に不安定になるが、それは回避された)。おそらくは今後200年の間、地政学的になんの問題もないでしょう。一方、中国は、沿岸部と内陸部で分裂しやすい地形になっています。また、中国は歴史的に外に出た経験がないということもあり、対外協力はあまり上手とは言えないようです。さらに、歴史的には北からの遊牧民の侵入にも悩まされています。(なので、首都は北の守りのかなめ、北京にあります)。なお、この本は中国に視点を合わせたものではなくて、なんと日本がまた戦争をおこすと主張する内容になっており、ちょっとびっくりな本です。

自滅する中国

 多国間の取りまとめが苦手な中国は孤立し、中国を警戒する同盟が進み、中国は覇権を取れないと主張しています。対中国の同盟が進みそうであることは、現時点(2018年12月)では的中していると思います。

 

(3)軍事的な視点

米中もし戦わば 

 もうこの本でとどめを刺すんじゃないでしょうか。戦争になるとアメリカもなかなか厳しくて、潜水艦の優劣で決まりそうという内容。ただし、米軍基地のある日本は猛攻撃を受けること必至です。

 

(4)経済的な視点

チャイナ・エコノミー: 複雑で不透明な超大国 その見取り図と地政学へのインパクト

 中国経済が崩壊するとか不動産がバブルであるとか、統計も信頼できず、疑心暗鬼になってしまう中国経済ですが、非常にバランスの取れた視点から中国経済の現状を教えてくれる本。これを読む限り、中国経済崩壊論はあり得ません。米国がいくら経済制裁しても崩壊はないと思います。もっとも、覇権が遠くなることはありえるでしょうが。

 

(5)民衆の視点

 中国共産党は人権無視の過酷な統治という意味で、ひどい政権だと思いますが、中国の一般民衆は、為政者とは全く異なります。理不尽で強権的な政権に慣れていますので、自分たちで助け合って生きています。政府を頼りにしない生き方というのは、ある意味ですがすがしく、見習いたいところ満載です。

スッキリ中国論 スジの日本、量の中国

 たぶんいまもっとも中国人の発想を紹介してくれる本。とくにメンツ関する説明は素晴らしい。

失敗のしようがない 華僑の起業ノート

 華僑なので、本国と違って、「継続する」、「目立たないようにする」、という違いはありますが、そのほかはおおむね一緒なんじゃないかな。

3億人の中国農民工 食いつめものブルース

 発展から取り残されているひとたちもたくさんいる。

 

(6)図解

これまでの内容がすべて載っていて、分かりやすく図解してあるのが、これ。

図解でわかる 14歳から知っておきたい中国

ほかにもいろいろありますが、2010年以前よりは、中国の本は多様性に富んできて、手に入れやすくまりました。

この中国の読書リストは、重要な本を読んだ後は随時内容を更新の予定です。

 

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