ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

サルは大西洋を渡った 奇跡的な航海が生んだ進化史

アラン・デケイロス みすず書房 2017年11月11日
読書日:2018年09月03日

『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』で、ナスDが活躍した「部族アース」なんかを観てると、アマゾンのジャングルにサルがいっぱいいるので驚く。南米はサルの王国なのだ。

普通は南米にサルがいても別に不思議に思わない。だが、どうして南米にサルがいるのか考えると途端に面倒なことになる。アフリカで誕生したサルがなぜ南米にいるのか。人類みたいにユーラシア、ベーリング海峡を経由してようやく南米まで行ったのだろうか。でもまさか大西洋を越えて渡ることはあり得ないように思える。大西洋はあまりに距離がありすぎる。

この疑問を救ったのがプレートテクトニクス理論。昔、アフリカと南米はくっついて、ゴンドワナ大陸を作っていた。当然、アフリカと南米の生物は行き来していた。そのまま生物を乗せたまま2つの大陸は分裂したので、両方の大陸に同じような生物がいるという。まったくすっきりした理論で、長年、疑問にも思われずに信じられてきた。

しかし地質学的情報、化石情報が集まると不都合な真実が明らかになってきた。そもそも大陸が分裂したのは白亜紀のまだ恐竜のいたころで、まだサルはいなかったのだ。決定的なのは、遺伝子工学の発達。遺伝子を解析して、生物の近縁関係や種として分岐した時期が分かるようになってきたのだ。そして、遺伝子の研究では南米とアフリカのサルは種としては分かれた時期と大陸の分裂は一致しない。

どうやったかは不明だが、どうもサルは大西洋を渡ったらしい。

サル以外にもそういう事例がたくさん出てきた。ニュージーランドフォークランド諸島、ハワイ、マダガスカルニューカッスル・・・。(とくにアフリカで起きたらしい、海に入ると死ぬはずの両生類が、海を渡る可能性について述べた章は衝撃的。)

動物たちは、海を越えて拡散するのか? それを信じた科学者たちは、多数の証拠を携えて、主流派に反旗を翻した。

戦いは現在もなお進行中で、決着はついていません。

この本では科学者同士の戦いが生々しく(罵倒や政治力で排除は当たり前)、その犠牲になった人たちもたくさん登場して、おのれのキャリアをかけた科学者も命がけだなあ、と思いました。

★★★★☆

 


サルは大西洋を渡った――奇跡的な航海が生んだ進化史

 

にほんブログ村 投資ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ