ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

カラスは飼えるか

松原始 新潮社 2020.3.20
読書日 2020.7.20

カラスを巡るエッセイ。いちおうどの話もカラスを絡めているが、カラス自体の話は半分ぐらいで、学生時代のサルのフィールドワークの話まで入っている。

肝心の「カラスは飼えるか」という題名は、ウェブ連載時に一番反響があったものだそうだ。その答えは、「基本、飼えない、以上」みたいな簡潔なものです(笑)。

一番意外だったのは、カラスは頭がいいということになっているが、実際にはそうではないらしいこと。鏡に映った自分を見ても自分と認識できない。線路の上に置き石をするのは、賢いのではなく、食事を線路わきに隠そうとして、たまたま石が線路の上に乗ったというのが正解らしい。

実はあまり賢くないが、けっこういろいろやって成功するのは、ともかくしつこくやりつづけるかららしい。カラスは絶望的に諦めが悪いのだそうだ。諦めるまでは失敗ではない、とよく言うけど、カラスの世界では当然のことらしい。

また、わしなんかはカラスの太くて尖ったくちばしに恐怖を感じて、攻撃されたら怖いなと感じるのだが、じつはカラスは戦闘能力が低く、ヘタレなんだそうだ。攻撃するときには、前からではなく必ず後ろからだそうで、相手に向かって前を向いているうちは攻撃してこないんだそうだ。カラス、ヘタレイヤンに認定です。

またカラスの身体には毒はないけど、肉は固くてまずいそうです。まあ、見るからにまずそうだから意外でも何でもないけど。

東京は世界でもカラスが多い珍しい都市だそうで、学会のためにヨーロッパから来た鳥学者が盛んに写真を撮ってたとか。

せっかくなので、個人的なカラスの思い出を書きます。

マンションの前でカラスがトラックに激突して死んでしまったことがありました。その周りでそのパートナーらしいカラスがカァカァと鳴いていました。カラスの死体はじきに役所に処分されたんですが、パートナーカラスは諦めずに、一週間ほど毎日そこでカァカァ鳴いて、パートナーを呼び続けていましたんですね。(死んでもう会えないとは認識できないらしい)。カラスのペアの絆は深いんだなあ、とけっこう感動しました。

でもたぶん、そのカラスは、すぐに元気になって、別のパートナーを見つけて子作りに励んだと思います。この本を読む限り、諦めは悪いけど、意外に忘れっぽいみたいなんで。

★★★☆☆ 


カラスは飼えるか

にほんブログ村 投資ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ