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モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた 進化心理学が教える最強の恋愛戦略

ジェフリー・ミラー タッカー・マックス 監訳・橘玲 訳・寺田早紀 河合隼雄 SBクリエイティブ 
読書日:2022.11.13

進化心理学者のミラーとモテ男のマックスが協力して、モテるためには進化心理学の知見に従うのが最強と主張する本。

原題は「MATE:What Women Want 」である。つまり女性がパートナーとしてどんな男性を選ぶかという話である。それを知っていれば、男性としてはそうなるように努力すればよい。ここで進化論が入ってくるのは、女性は自分の子供が生き残ってさらに子孫を残すようにパートナーを選ぶからだ。そのような選択を女性は何十万年も繰り返してきて、その結果生き残ったのがわしらなので、女性がパートナーを選ぶ基準は遺伝子に刷り込まれているわけだ。

でも、女性がどんな男性を選ぶかは、常識的に考えても明らかではないだろうか。つまり収入があって(生活の安定)、頭が良くて(話が面白い)、優しくて(自分を気にかけてくれる)、清潔で(生活環境に気を配る)、誠実で(裏切らない、嘘をつかない)、身体能力が普通以上で(健康)、できればイケメンといったところだろうか。

まあ、概ね予想通りのこうした特性を進化論的にはどういう意味があるのかを述べながら話は進んでいくのだが、特筆すべきは女性の立場からこの世界がどう見えるかということを中心に述べていることだろう。女性から見ると、なかなかこの世界で生き抜いて子供を育てるというのは大変だということがわかる。

まずは女性から見て、男性は恐怖でしかないという。体力では勝てないし、危険でサイコパスのような異常な性格かもしれない。女性はそのようなぞっとするような男性から付きまとわれかねない生活をしているから、一目見ただけで危険を検知する技術を自然と身に付けているのだ。そういうわけで、第一印象で危険を感じさせるような雰囲気を漂わせているようでは、出会った瞬間に恋愛対象の候補から排除されてしまう。

そして第1関門を突破したあとも、女性の厳しいチェックは続くわけだが、ここで著者たちが何度も強調するのは、健康に関することだ。ともかく健康であることは重要で、見た目に関係するのはもちろん、それ以外の例えば知性にもおおいに影響するという。心理的な安定やユーモアのセンスなどにも健康が必須なのだ。健康であるためには、食事に気をつけて十分な栄養を摂り、適度な運動をして、そして繰り返し強調されるのが睡眠のことで、8時間から10時間のたっぷりの睡眠を取るべきだという。

あと、社会的評判とかも大事で、その男と付き合うことで自分の評判が上がるのか下がるのかなどということももちろん女性は計算の対象とする。

しかし、まあ、これらはなんかモテるという語感からはちょっと違う気がする。だって、これって夫としての条件じゃない? たくさんの女性と関係を結ぶたぐいのモテるとは違う気がする。まあ、MATEという原題自体が、人間のつがいを作るときの話なんだからしょうがないのかもしれないが。

しかし著者によれば、一時的な(たとえ一夜限りの)関係だろうが、長期的な結婚だろうが、どんな男性に魅力を感じるかの基本は同じなのだという。男性が短期の関係を望んでいるのと同様に、女性も短期の関係を望んでいる場合があるので、そのような女性を見つけることが可能なのだという。

そうなんだ。でもどうやってそれを見分ければいいんだろう。非常に困ったことにその辺は書いてない。それどころか、短期的な関係はリスクが高いなどと脅かしにかかってる(苦笑)。

ともかく、うまく付き合いが始まっても、どう思っているか自分の気持ちは相手に正直に述べたほうが良さそうだ。付き合いはじめてしばらくしたら、結婚をふくめた真剣なものなのか、それともセックスがしたいだけで結婚は考えていないのか、その辺の気持ちを正直に話せば、女性に選択肢を与えることができる。また自分がその気がないのに、相手が長期的な関係を望んでいることが分かったら、すぐに彼女から離れてあげることが大切だそうだ。なんかとっても倫理的(笑)。

そしてたとえセックスしたあとでも、違うと思ったら、女性から離れることも必要だという。女性にも選択権はあるけれど、男性にもあるのだ。なるほど。

ところで、誰かと長期的な関係を結んでいるのに、他の女性と短期的な関係はだめなのかしら。端的にいうと不倫や浮気のことなんですけど。

この本は長期的なパートナーを得ることが目的なので、得たあとのことは書いてありませんが、しかし、倫理にうるさいこの本の著者から見れば、もちろんそんなことは考えるまでもなくNGなんでしょうね。それは裏切りであり、誠実さに欠ける行いということになるでしょうから、パートナーを失うだけでなく社会的な信用も失墜するというところでしょうか。

興味深いアドバイスとしては、女性と付き合いたいなら女性のたくさんいるところにいないとだめだと、明言していることです。そりゃそうだよね。

わしがミュージカルを夢中で観ていた時期(こちら参照)、個人的な知り合いは女の子のほうが多かったです。なにしろ当時はミュージカルを観劇するような男性はほとんどいませんでしたから。というか、もっと正直に言うと、現在の妻はその頃の観劇仲間です(苦笑)。だから、まあ、どこにいるかが大切というのはそうだと思います。

原著には、どの都市が女性が多いかのリストすらついているそうです。ただし、もちろんアメリカの都市の話ですが。

原著は600ページの大著だそうで、訳者のお二人が訳したあと、橘玲が大胆に日本では関係ないところをカットしたんだそうです。訳された方は大変ご苦労さまでした。

****メモ****
モテを実現する5つの原則
(1)(進化心理学などの)科学的に基づいて決める。先入観は排除。
(2)女の子の視点を理解する。
(3)自分の魅力を装備する。
(4)正直であること(自分に対しても相手にも)
(5)ウィンウィンの関係を築く。

5段階のプロセス
(1)(デートやセックスについて)頭の中を整理する。
(2)魅力を身につける。
 身体の健康(シェイプアップ)、心の健康(メンタルヘルス)、賢さ(知性)、意志力、優しさ男らしさ
(3)魅力を示す(シグナリング
(4)女の子のいる場所へ行こう
(5)行動して経験から学ぼう

★★★★☆

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