すべてのマンションは廃墟になる (イースト新書)

榊淳司 イースト・プレス 2019年2月10日
読書日:2019年5月28日


結婚後子供が生まれ、わしは妻にせがまれてマンションを買う羽目になった。

その時のことはここに書いた。

実はわしはマンションを資産として全く評価していない。同じお金を出すのなら戸建てのほうが絶対にいいと思っている。建物の価値はなくなっても最低土地の価値は残るから。

マンションこの本の題名のように、いつか必ず廃墟になる。それは物質である以上仕方のない定めである。ヨーロッパには何百年前の建物を改修して住むという話も聞いたことはあるが、それは全部石造りである。木造建築の日本ではそういう文化がない。神社でも何十年かおきに建て直すように、日本は建て替えの文化なのである。

とはいえ、すでにマンションを買った身としては、マンションの価値をなるべく保つように努力するしかない。管理組合にできるだけ積極的に関与するしかないだろう。

しかし、一方では、この本を読みながら、どきどきする興奮を覚えた。

鉄筋コンクリートのマンションが何10年、何100年持つか、誰もわからない。いま日本全土で実験中なのだという。この実験自体興味深いことである。どうなるんだろうか。個人的にはけっこう長く残るマンションがあるのではないかという気がする。

木造のアパートでも築40年以上の物件が売りに出ていたり、賃貸されている現状から想像するに、鉄筋コンクリートのマンションはそうとう長く使えるのではないかという気がする。

そして人口が減っているいま、たくさんの人の住まないマンションが誕生する。これらを有効活用するビジネスがきっと誕生するだろう。それがどんなものになるかは、いまははっきり分からないが、面白いことがいろいろ起こりそうな気がする。

アイディアが出され、関連法案が成立し、これまでと違った発想の土地活用が生まれるだろう。特に法律で、この本で提案されているような、管理組合の強制的法人化、所定期間の管理費滞納の場合の所有権の強制移転などの法律がどんどん成立するに違いない。制度が変わり、新しいビジネスが生まれるだろう。

手入れが悪いマンションは数10年で確実に廃墟化が進むという。そういうこともあるだろうが、復活するマンションや団地の話もどんどん増えてくるだろう。いろんなパターンの成功例が出てくると、きっと面白くなる。間違いないと思った。

この本の中で唯一出てくる企業は長谷工だ。長谷工のマンションは価値が保ちやすいという。なぜならば、マンションの設計が全部一緒で、いつも同じものを作るため業者に学習効果が働いて、施工の精度が高いのだという。

長谷工はすでに単なるマンション管理業務を越えて、マンションの生涯からサービスを行なって利益を得ようとしている。長谷工はもしかしたら、この業界では先進的な企業なのかもしれない。

個人的には、カチタスという企業に興味を持っている。いまはまだ中古戸建を中心に扱っているように見えるが、こういう企業がマンションにも取り組むと、従来と違った試みがなされるのではないか。

どうも不動産は面白い時代に入ったようだ。

★★★★☆

 


すべてのマンションは廃墟になる (イースト新書)

 

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