米韓同盟消滅(新潮新書)

鈴置高史 新潮社 2018年10月17日
読書日:2019年1月11日

鈴置さんを知ったのは日経ビジネスオンラインのコラム「早読み 深読み 朝鮮半島」です。

ここでのあまりにも深い洞察に驚愕し、ずっと読んできました。読みながら、まさかこんなことは起こらない、と思っていましたが、予測が次々的中するので、鈴置さんの読みには絶大な信頼を置いています。

そのコラムが2019年1月で終了してしまい、今後何を指針に朝鮮半島情勢を考えてよいのか、困惑しています。

この本は基本的にはコラムの内容をまとめたものです。本のタイトルの通り、米韓同盟が消滅することを予告していますが、実際はすでに消滅したも同然です。その状況を詳細に述べています。

現在は

1)韓国大統領・文在寅ムン・ジェインは反米であり、北朝鮮との統合を目指している。
2)トランプ政権は朝鮮半島から米軍を撤退させたい(米韓同盟終了)。ただし、北朝鮮の非核化の取引としたい。
3)北朝鮮は核を手放す気はなく、米国に届くミサイルの放棄にとどめたい。

となっていて、非核化交渉は膠着状態です。

北朝鮮だけでなく、韓国も核兵器廃棄を望んでいないようです。統合後に核がないと周囲の大国に対抗できず、困るからです。韓国が「民族の核」(核兵器は韓国を含むすべての朝鮮民族のために開発した)という北朝鮮の言葉を信じているのは明らかです。

ムン・ジェイン政権は半島統合を強力に進めようとしており、国連決議無視の北挑戦への経済協力を行っています。韓国国民もそれを支持しています。

ムン・ジェインとしては、米国に出ていってほしいと思っているので、アメリカを怒らせる態度を取っています。おそらくは、米国が怒って自分から出ていってくれれば好都合ぐらいに思っているのでしょう。

アメリカに対してすらそうなのですから、日本に遠慮するはずはありません。そもそもすでに日本への関心はあまりないような気がします。米国と離れる以上は、その子分への配慮は必要はないので、単なる韓国国民のうっぷん晴らしの卑日ショーをやっていればよい、ぐらいじゃないでしょうか。

こうして、事態は最悪な結果、つまり半島の非核化もされず、韓国がなし崩し的に北朝鮮と統合し、米韓同盟は明確な宣言があろうがなかろうが終了する、という結果に向かっているようです。

これは日本にとっては最悪な結末で、対馬海峡をはさんで強力な核兵器保有国家が出現します。

このとき、吸収されるのは北朝鮮ではなく韓国の方です。なぜなら統合された朝鮮の軍隊は北朝鮮軍が主力になるので、軍隊を掌握しているほうが強いのは明らかだからです。

気が付いたら、専制的で人権無視の国家の国民になっていた、そう分かったときの韓国国民の気持ちはいかばかりでしょうか。でも、時はすでに遅いようです。着々と統合は進んでいるのです。(しかも自分から望んで。。。)

これは、左派のムン・ジェイン政権だから起きるのでしょうか。

違います。

この本では、韓国人の考え方、発想について紙幅を多く割いていて、たとえどんな政権であろうとも、遅かれ早かれ起きていたということが分かります。これは韓国人の精神に深く根差した行動原理により起きており、政権は関係ないのです。

すでに日本政府は、米韓同盟が終了し、米国が半島から撤退することを前提に行動しているように見えます。レーダー照射問題でも、たんたんと事務的に処理していますが、そこから何か起きることは期待していないようです。

そして、ロシアとの平和条約締結を急いでいます。目の前に、中国と統合朝鮮という2つの強力な仮想敵国が出現し、対峙しなくてはいけないのです。これに加えて、ロシアとも対峙する余裕はありません。北方4島すべての返還はもはや目標にしていないのではないでしょうか。

日本にとって本当にタフな時代がやってきました。

まあ、考えてみたら、明治維新のころに戻ったわけで、当時、明治政府がどれだけの外的環境ストレスにさらされていたか、ということが想像できます。

★★★★★


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