トーマス・ラッポルト 飛鳥新社 2018年4月25日
読書日:2018年12月17日
ティールの母国ドイツの出版社が発行した、評伝。
「ゼロ・トゥ・ワン」を読んだ時には、ペイパルマフィアのボスということは知ってたけど、それ以外のそもそもどういう来歴の人か分からなかったので、その辺が分かってよかった。
その発想には、ゲイでリバタリアンのティールの思想そのものが表れていたわけだ。ペイパルを作ったのは、自由な通貨を作りたかったから、パランティアを作ったのは、自由主義国家をテロから守るため。なるほど、だから何もない0から1を作れと言ってたんだ。
もともとの発想がそんなに根源的なものだとしたら、実際にできたペイパルは、たぶんティールの理想とは程遠いものだったんじゃないか? メールで送金できるのは便利だとしても、国家からの自由には程遠い。
もっと本質的な革命を起こしたいから、生命科学や宇宙ビジネスに投資をしているんだろう。もはや成功した起業家のお約束だ。
前にも思ったことだが、この人確かに0から1を作ったのかもしれないけど、すぐに模倣されて独占できなくなる危機に見舞われて、それで合併で独占を果たしたわけで、これってどうなの、って思う。そんなに偉大な1だったのかしら。
「空飛ぶ自動車が欲しかったのに、手に入れたのは140文字」
この表現にすべてがあらわされている。
誰もがやったことがなくて、成功すれば独占できる市場を狙って、成功はできたとしても、満足には程遠そうだ。
でもどうすればいいのだろうか。宇宙に投資をして加速すれば、いつか人類は他の太陽系にたどり着けるのだろうか。たどり着けるのは人間ではなく、機械だけかもね。
なかなかもどかしくてじれったいね。